「PS Business Briefing 2006 March」開催。久夛良木氏、PS3の11月上旬全世界同時発売を実現するための施策を説明

さて、残りのPS3についてです。こっちは正直はったりオンパレードでしたね。延期の発表を、はったりで塗り固めている感じ。予想通りと言うところです。とはいえ、馬鹿正直に行って大失敗しているXbox360とか見ると、これぐらいはったりをできることは重要だと思いますね。いかに各要素について見ていきたいと思います。

○60G HDD搭載前提の設計

HDDについて、当初は標準ではつけない、といったコメントをしていましたが、ここに来て標準搭載に傾いているようです。とはいえ、まだ標準搭載とは言い切っていませんけど。
個人的に、ロード時間ほどうざいものはないと思っているだけに、HDD搭載は歓迎ですね。バグがあったときの対処もしやすいでしょうし。ただ、60GBの2.5inchHDDって、大量に搭載するにしてもかなりのコストだと思うんですが。内製品でもありませんし。ただでさえ高くなりそうなPS3の価格の向上要因がまた一つ増えた形なのは心配なところです。でも、HDD前提のゲーム開発で、結果としてロード時間が減る方向に行くのであれば歓迎したいです。

○全ソフトBDで提供

これまた、コスト増加につながりそうな決定ですね。PS2でも、初期はCD、後半からDVDとなっていたのに、いきなりソフトメーカーにメディアコスト増加を押しつけますか。たしかに、ゲームソフトをBD限定にしてしまえば、映像のBD作成と併せて、大量生産によるコスト削減効果が大きくなり、一石二鳥でしょう。でも、当然コストがさがってくる前の初期の段階では、どこかが負担をかぶるわけで。ソニーがそれを負担するのならいいでしょうけど、それがソフトメーカー、果てはゲームソフトそのものの値段に跳ね返ってくるようなら本末転倒です。
また、上記でHDD搭載前提としているなら、よりいっそうBD固定にする必要は無いような。別にDVD複数枚ぐみでも、HDDにインストールしてしまうのならOKな訳ですし。PCゲームのように、1枚ディスクチェック用に使えばいいだけですから。
また、著作権保護を声高に訴えてますけど、PSPではエミュ放置、へたしたらメモステブートでエミュ公認になる可能性すらあるんですよね。それなのに、PS3ゲームだけ著作権を主張しても、説得力弱いです。任天堂ファミコンソフトとかPSPでプレイされていい迷惑なんでしょうから、そっちの対策もしっかりしてもらわないと。日本を代表する大企業なんですから。

○次世代HDMI対応

これはPS3のグラフィック性能をフルに利用する上では、効果的なのかも知れません。現状の映像メディアでは、なかなか10bit、1080pといったものはコンテンツそのものが用意できませんが、PS3のゲームであれば新たにつくりだすわけなので比較的容易にできます。ディスプレイ側の表示能力も、最近は映像コンテンツ以上の性能を持つものも増えてきていますから、将来性を考えたら次世代HDMIを乗せるメリットはあると思います。
…とはいえ、基本的にこれもニッチな需要ですし、PS3を使ってより高性能なディスプレイを売り込みたい、というメーカー側の都合なんですよね。これを待つために発売が遅れたり、コストが向上などにつながるならば、純粋にゲームをやりたいユーザからしてみたら、「よけいなことを」と思われても仕方ないかもしれません。

○ネットワーク機能

一応、XboxLiveのようなサービスと基本部分は無料で提供、という意志は表示した形です。実際の利用画面も、仕組みも示されていないので、絵に描いた餅です。でも、少なくともネットを通じた通常ゲームの対戦がおもしろいことはたしかなので、それを公言したことは歓迎したいですね。

○ゲーム画像およびコントローラ

これらについては一切公表なし。おいおい、こっちのほうは遅れる理由が特にないんですけどw。これを公表していないってことは、やはりPS3の根本的な開発が遅れているんだろうな、と類推できちゃいますね。特に、コントローラを隠しているのは、こないだのコントローラ振動特許訴訟の影響か、それともレボリューションのコントローラ待ちか。ネットワーク機能といい、エミュレータといい、任天堂がアピールしている機能をあっさりパクって来ているだけに、コントローラも、にたような機能を無理矢理載せる気まんまんなんでしょうね。はったりがかませれば言い訳ですから。任天堂としては特許でがちがちに固めたいところなんでしょうけど、特許出すと公開時に情報が漏れる危険もあるし、いろいろ難しいところでしょうね。

○まとめ

いろいろ細かなつっこみをいれてますが、基本的にはったりの仕方は悪くないと思います。HDD搭載やネットワークなどはユーザにメリットとしてかえってくるものなので。
ただ、結局のところ、すべては価格ですね。これだけ価格が向上する要因をなりふり構わず取り入れて、本当に定価がばか高くなってしまったら、「何やっているんだ」「付加機能減らしてやすいの出せ」と言う声が出るのは当然でしょうし。4万円以下という公約を守っていただきたいものです。もっとも、そんな値段付けしたものを月に100万台も売って、ソニーが儲かるかどうかしらないですけど。


とりあえず、PS3ははったりレベルで情報をだしてきました。GDC任天堂がどの程度情報を出してくるか、注目ですね。発売時期がかぶったことで、完全に腹の探り合いになってしまったので。これまでは後出しじゃんけんのつもりだったのが、PS3の延期でPS3側が後出しできる状態になってきましたし、先行しただけでは特にメリットでないことはXbox360が実証済み。かといってE3で大々的に発表といった手前、そろそろ情報は出さないといけない。でも、出し過ぎるとPS3にぱくられる。なかなか厳しい状態です。PS3に先行されて先行逃げ切りをされる危険性が無くなったのはいいんでしょうけど。GDCの情報公開の取捨選択が興味深いところです。