「PS Business Briefing 2006 March」開催。新サービス、新機能でPSPの可能性が広がる

PS Business Briefingが開催され、PS3の新しい情報が出てきましたね。ただ、どちらかというとPSPの方がサプライズが多かった印象です。まずはこちらからふれていきたいと思います。

○現状分析

まずおもしろいと思ったのが、現状分析。これは、任天堂の岩田社長がカンファレンスでよく行う手法です。現状を分析し、何が効果的で何が間違っているかを分析する、商売の上では当たり前のことですが、ソニーは基本的に、市場に左右されず自らのポリシーを貫くことで、結果として世の中がついてくる、ということを有言実行してきた会社。こうした市場分析を重視したというのは、久多良木さんとしては一つの転換ポイントではないでしょうか?(単に任天堂意識して対抗しただけ、というのかもしれないけど。)
とりあえず、分析として家で使われていることが多いことを「重いということかもしれない」としたり、女性層が少ないことにふれていたりするのは、PSPがDSに圧倒されている状況を素直に受け止めて挽回しようという意図が見えていいですね。
ITmedia +D Games:「いまから5年後にはすごいことが起きそう」――久夛良木氏 (2/5)
上記でも、女性層へのアプローチや、ゲームの定義の拡大を、PS1時代はできていたのに、現在できていないことを反省していますし。とはいえ、それに対するアプローチが特に見えてこないところが問題でしょうけど。なんか、分析しただけ?
あと、おもしろいのは年齢層のPS1、PS2PSPへとの推移。
ITmedia:/games/articles/0603/15/l_ki_psb17.jpg
見事に頂点の推移が数年おきにうしろにずれています。PSを支えるメインのユーザ層が、PSの代替わりごとにそのままスライドしてついてきていることがよく分かります。そして、最近のPSゲームの売り上げ不振を見る限り、そうやってスライドしていった世代がゲームを引退してしまったんだろうな、ということがよく分かる感じ。PS3も同じソフト戦略とってたら先細りになるのは目に見えますね。

○メモリスティックブート&PSエミュレータ&オンラインゲーム販売

PSP関連でのサプライズはまずこれでしょう。ある意味禁じ手、諸刃の剣を抜いてきた感じです。メモリスティックブートをSCE自らが行うと言うことは、その分自作エミュレータなどが最新ファームでできる可能性が増します。本当にざるのように自作アプリがメモリスティックブートできてしまうのならば、それはSCEによる実質的なエミュ公認となるわけで。ユーザにとってはうれしいのかも知れませんが、任天堂は歯がゆい思いをするところでしょうね。何らかの抗議ぐらいは入れるかも。
また、PSエミュレータも、これまで期待されていた機能ではあります。へたに横にのばされてしまうこともないですし、ポポロクロイス物語のように、シナリオが削られたりバグが混入されることもありません。なにより、うざったいUMDのロードを回避して快適なプレイができます。しかし、いいことづくめかというとそうでもなく。というのも、現状PSPで唯一成功しているのはPSソフトの移植なわけです。元のPSソフトに多少おまけを付けたような内容で、それなりに安定した売り上げを上げているわけです。ところが、PS1エミュレータが公に用意されてしまうと、こうしたリメイク商法がつらくなります。かといって、全くアレンジされてないPS1のソフトを4000円とかで売るわけにも行かないでしょうし。
とはいえ、うまくいけば任天堂がレボリューションでやろうとしているエミュレータ機能をPSPで先取りできるわけで。ソニーとしてはしてやったりというところいかもしれません。(もっとも、これはあくまで将来像にすぎず、いつ頃PS1エミュレータが完成するのかとか、具体的にどう売るのかとかが全然明らかになっていないところが、いかにもクッタリなところではありますが。)

FlashRSS対応

Flash対応は、純粋なプラスでしょうね。通常の利用では、バナー広告ぐらいしかFlash利用をしていませんが、Flashフリーゲームなどはいろいろ世の中にあるので。もっとも、これはますますPSP専用ソフトが売れなくなる方向に行ってしまうのですがw。
個人的には、PSPが率先してFlash対応してきてくれたおかげで、ニンテンドーDSブラウザーにもFlashが対応されるが出てきたのがうれしいですね。後付、有料なのにFlashなしという機能でPSPに劣るのでは、正直厳しいでしょうし。Macromediaへのライセンスが別途必要になるのかもしれませんが、ぜひともDSでもFlash対応してほしいところです。タッチパネル+Flashという自作ゲームの可能性をぜひ実現してもらいたいので。
RSSはまあ、便利といえば便利なのかもしれませんね。PSPの利用法からして、本格的にブラウジングするのではなく、ちょっとしたタイミングでちょろっと情報をチェックする、という用途に向いていそうですし。とはいえ、RSSに詳しくない人間も多いので、一般人へのアピールにはとくにならないと思いますけど。あれば便利な機能な気がします。

○テレビ電話

マイク+カメラの合わさった周辺機器を出し、テレビ電話を実現するとのこと。うーん、正直微妙。PSPは電話機能はないので、結局無線LANが必要です。また、テレビ電話相手も同じ環境を持っている必要があります。無線LANの利用のメインは家の中、相手も同じ環境が必要、ということになると、正直Messengerのビデオチャットとレベルが変わらないというか、そっちの方が安上がりだと思います。PCだったらちょっとしてWebカメラとやすいマイク付きヘッドセットでいいわけだし。PSPが本当に国民機になれば別ですが、現状では微妙かと。

GPSeyeToy

うーん、これはまあ、正直どうでもいい感じかなぁ。GPSは、簡易カーナビ、歩行者ナビなどに使えそうですが、携帯についているものも結構ありますしね。使う機会は限られて来ますし、値段次第というところでしょうか。
eyeToyも、携帯機では微妙な印象。そもそも、PSPを手で持った状態では、カメラで認識できることは限られています。せいぜい顔を写す程度。それでは、ゲーム内に顔を取り込む程度しかできないのでは?顔を写しただけでどの程度のインタラクティブなゲームができるか想像できません。単に、上記テレビ電話用カメラを出すから、eyeToyと言ってみたかっただけと違うかと。

○まとめ

全般的に、意欲的に戦略を売っていることは素直に評価できると思います。現状でうまくいっていないところを振り返っていたりするところも。ただ、全体的に新しい提案はどれも既存のSCEの路線の踏襲で、目新しいものではありません。他のマルチメディア端末でもできることを、PSPでもやってみました、という感じで。周辺機器が1万とかするのだと、ほとんど売れない気がします。何でもできることをアピールしたいだけなのかもしれませんが…。
PSエミュレータメモステブートは、その手の人には大いに受けそうな機能で、自分もいいな、と思う機能です。ただ、これに喜ぶユーザというのは、いわゆるこれまでにPSPをかって来たユーザ。そうしたユーザの満足感は得られるかもしれないけど、SCEとしてのメリットは少ない気もするのですが。どうなんでしょうね。かなりマニアックな感じですし。個人的には、展開次第ではPSPに手を出すのもありかな、という機能です。自分のPSP購入をとどまる最大要因はロードですし。