日本のPSN再開を阻む「カード情報不正利用時の補償」問題
海外ではすでにオンライン対戦機能などが再開されているPSN。一方で、海外ではオンラインストアも24日には復帰するような情報も出てきています。
ソニー、海外でPlayStation Storeを5月24日に再開予定 | インサイド
一方、本拠地であるはずの日本では未だ再開時期が未定のままとなっています。これまで、朝日新聞の記事で経産省がソニーに追加報告を求めているという情報が報じられていましたが、具体的なものは依然報じられていませんでした。
カード会社から対策について要望
これについて、また朝日新聞でもう少し詳しい内容が今朝の朝刊で報じられていたようです。
PSN障害:ソニー「流出の有無はまだ調査中だが、カード会社側に顧客情報を提供する準備を始めた。できるだけ早く対策をとって、国内のサービスを再開したい」 | とりあえずゲーム速報(Live)
こちらによれば、どうやら経産省の他にカード会社の件もからんでいたようです。海外では、カード情報も含めた個人情報漏洩に対して、その流出監視・補償を行う専門の保険会社と契約し、実際の被害が出ることの防止と被害があったときの金銭支払などを一括で依頼していました。
ソニー個人情報流出:最大8000万円補償 米利用者カード被害に − 毎日jp(毎日新聞)
これに対して、日本では未だこれに値する補償がソニーから報告なし。日本にこういった会社がなさそうなので、どうするのだろうと思いながらも、海外では提供しているものを日本には提供しないというのは公平でないと思っていました。まさにこの件が、現状の日本におけるPSN再開を阻んでいたようですね。
補償に対する専門会社の無い日本〜カード会社が個別対応
日本では、元々それほど過度なカード社会ではなかったこともあってか、カード不正利用の補償を専門に扱うような会社無し。原則カード会社が個別対応で補償ということになっていました。しかし、今回の流出では件数も多く、欧米のように補償関係をソニー負担で対応することなく、ある意味日本のカード会社に丸投げする形で再開することに、カード会社の協会から苦情が行っていたようです。経産省の報告要請も、それとリンクしているイメージですね。
少なくとも、カード会社で不正利用を監視するにも、具体的にどういったカードがPSNで登録されていたかという情報が必要です。これについて、海外では全ての情報を一括で保険会社に渡すことでソニーの手間が省けていました。一方日本では「個別のカード会社に必要な情報だけ渡す」という体制がとられていなかったということ。その理由が「まだ流出可能性の調査段階だから」というもので、問題先送り感が否めませんね。結局、今はソニー側で顧客情報をカード会社に渡す準備を急ピッチで進めているとのこと。
求められる適切な情報公開
こうした件について、結局のところソニーからしっかりとした情報公開がないのも、利用者の不満が募っているところのようです。復帰しないことのストレスが、経産省やカード会社に八つ当たり気味に行っているのも見かけますし、純粋に日本向け発表が不足しているソニーに対する不満を口にしている方もいます。
世界中で個別の対応、とは言っていますが、今のネット社会、海外でどういった対応をとっているのかの情報はすぐ伝わります。特にこの補償提供では海外と日本で大きく差があり不満が出ていたところ。そしてPSNの復帰にもこれが関連していたわけで、そういった情報をソニーはもっと日本で情報を出していく必要があったように思います。こんな、新聞にすっぱ抜かれるような形でなく。
いずれにせよ、海外では補償も復旧も行われる中、取り残されている感じのする日本PSNユーザーのストレスは溜まっています。一刻も早くカード会社への情報提供、ユーザーへの補償内容提供、そしてPSN復帰までのスケジュール提供などを期待したいものです。
P.S.
日経でも今回の件の記事が掲載されました。
ソニー、カード会社に情報提供 不正利用を効率監視 :日本経済新聞
タイトルを見ると、すでに情報を渡したのかとも思いましたが、本文を見るかぎりは「提供する」と書いてあるところを見ると、朝日新聞の記事と状況はあまり変わっていないように見えますね。朝日新聞の記事で今回の件が露呈してしまったため、新たに提供することの発表を行った、という感じでしょうか。一刻も早い実行を期待したいと思います。