テイルズオブシリーズ新作、PS3で始動〜グレイセスもPS3に移植

だいぶ勢力図が落ち着いてきた感じのある現在の国内ゲーム機市場。そんな中、その勢力図争いの中で存在感を示していたものの一つとして、テイルズオブシリーズがあります。その最新作などの発表が本日なされました。

『テイルズ オブ』の完全新作『Next Tales of(仮題)』がプレイステーション3で始動 - ファミ通.com

すでに先週の段階でジャンプフラゲの情報であらかた内容が流出していましたが、発表内容として大きいのはPS3テイルズオブシリーズの新作、そしてWiiででたグレイセスのPS3への移植です。

以下、これまでの経緯を振り返りながら、自分なりのコメントをしてみたいと思います。

アニメ調RPGの代名詞的シリーズ〜据置3機種を渡り歩く形に

アニメ調RPGとして固定ファンを抱え、その固定層の動向を左右するソフトとして注目され続けていたのが、テイルズオブシリーズ。最初はスーファミからスタートしましたが、その後はPS、PS2でファンを増やし、今世代での動向が注目される中、劣勢だったXbox360で発売となったときは、Xbox360も大いに活気づいたものです。(もっとも、その発売日にXbox360のモデルチェンジが重なり、本体が極度に品切れになるというMSの失態があったりもしましたが。)

テイルズ オブ ヴェスペリア - Xbox360

テイルズ オブ ヴェスペリア - Xbox360

Xbox360も、本体販売台数の割には貢献、なにより作品のレベルが高く、非常に丁寧に作られていたこともあって、購入者の満足感も高く、高評価が与えられたソフトでも有りました。自分も初テイルズオブでしたが、非常に楽しめた作品です。

テイルズ オブ ヴェスペリア(特典なし) - PS3

テイルズ オブ ヴェスペリア(特典なし) - PS3

ただ、その後PS3で追加要素・キャラありで発売が決まり、そのキャラのネタ要素やキャラ配置などがXbox360版でも匂わされていたことが明らかになってからは、なまじXbox360版に惚れ込んでやりこんだプレーヤーから反感を買ってしまいました。

テイルズ オブ グレイセス(特典無し) - Wii

テイルズ オブ グレイセス(特典無し) - Wii

一方、ヴェスペリアの後にマザーシップタイトルとして発売されたテイルズオブグレイセス。こちらも、やはりHDで質の高い映像を見せられたあとだっただけに、ファンにとってもちょっと抵抗感があったからか、そもそもWiiがテイルズオブファンにはあまりうけにくいハードだったからか、販売数は本体台数と比較してあまり伸びず、Wiiの弱点を露呈した形にもなりました。

そうした、いろいろ変遷があったテイルズオブシリーズなのですが、本日PS3での発表となりました。グレイセス移植も含め、結果的に、PS3で全ての据置テイルズオブシリーズが帰ってきた形ですね。最初からPS3に絞って全て出していれば、いらない反感をかうことは無かったんでしょうが…。元々、テイルズオブシンフォニアの時にGCでの発売後にPS2に移植、そして次のアビスをPS2のみで出していますので、まさに歴史は繰り返す、と言った形です。

国内ではプラットホーム決め打ちの展開をするバンナム

アイマス2Xbox360専用となっていることで、ある意味バンナムの中で大きなシリーズが二つのプラットフォームに割れた形に。自分は、海外のソフトメーカーが皆マルチ展開を基本としていたので、日本のメーカーもそうなっていくのかと予想していたのですが、国内においては結構ユーザー層を見極めた決め打ち的な展開になっているようですね。特に国内でしか売れないこれらアニメ調ゲームでは、マルチ展開するほどの余裕も市場規模もない、ということなのかもしれません。

本発表が与える影響は?

現在のゲーム機市場については、携帯ゲーム機が市場を牽引し、DSがまんべんなく、PSPPS2の受け皿的に学生を中心に幅広い指示を集めています。据え置きゲーム機に関しては、販売台数ではWiiがダントツなものの、Mii関連のパーティゲームおよびマリオにかなり偏っており、PS2の延長にあるようなアニメ調ゲームが今ひとつ弱い形。一方で、PS3ではソフトの開発困難度などからソフト数は少ないですがアニメ調ACT、RPGがそろい、Xbox360はギャルゲ、シューティングという形で、層が分かれていますね。

こうした中、今回のテイルズオブシリーズの展開についての発表ですが、すでにアニメ調RPGPS3に集まる風潮はできていましたので、それの念押しをするといった形でしょうか。国内のゲーム市場、特に据置ゲーム機での一人用の大作ゲーム自体が、軽いゲームやネット通信ゲームに押される中で比重を落としてきているところもあるので、この発表は自然な感じはあっても業界動向を大きく変えるほどのインパクトはないようにも思います。もっとも、この層の取込にやっきになっていた任天堂にとっては痛手かもしれませんが。何だかんだ言って飽き易いライト層と比べ、アニメ調ゲームはガッツリとした固定需要があって計算できる客層ですからね。

PSに注力した成果は

元々Xbox360版のTOVを熱中してプレイした自分としては、とりあえずはゲーム内容の発表待ちというところでしょうか。PS3も持っているのでプレイ出来ることは出来ますが、正直購入者層を振り回してばかりの追加要素商法について、印象はよく有りません。自分はTOVからのファンなので、それほどどっぷりとはまっていない分、少し引いた視線になっているところもありますね。一方で、PS3ユーザーは元々テイルズ好きの方も多いでしょうし、TOVPS3版の売れ行きを見ても十分な売上は期待できるでしょう。純粋にテイルズオブシリーズを楽しみにしている人たちに、おもしろい作品を提供していただければ、と思います。あと、いい加減追加要素とかでハードを渡り歩くような、迷惑な展開は控えていただければ、と思います。