「テイルズオブヴェスペリア」国内でもXbox360で発売決定

世界的には大きなシェアを持ちながら日本では低空飛行を続けているXbox360。一方、いち早くHDゲームに対応し、MSならではの開発のしやすさが要因なのか、本体販売台数の割にはソフトがそろって来ていたりします。

先日、海外雑誌でバンダイナムコのテイルズオブシリーズのHD第一弾、「テイルズオブヴェスペリア」がXbox360で発売されることが報じられていましたが、国内でも週刊少年ジャンプのフラゲによりXbox360で発売されることが確定したようです。

ゲーム＆情報ブログ（ＳＦ＆ＮＦ）ＸＢＯＸ３６０「テイルスオブヴェスペリア」国内発売正式決定ショット。

発端はジャンプフェスタ〜公式HPソースに「Xbox360」の文字

今回、国内でのXbox360版テイルズオブヴェスペリア（以下ToV）発売決定までには、いろいろそれを匂わせる出来事があり、そのたびにいろいろと物議を醸し出していました。まず商標登録の段階で名前は判明していましたが、その後ジャンプフェスタ2007で映像と共に正式公開されました。

この動画では対応ハードは未定だったのですが、時期を同じくして公開された公式HPのソース内で「Xbox360」という文字があるのが判明し、大きな話題となりました。

TRASH-NEWS:テイルズオブヴェスペリアはXbox360で発売決定?

公式HP：テイルズオブヴェスペリア　 HD版PV

元々、テイルズオブシリーズというと、PSの正負の両面を象徴するようなシリーズ。そもそもの第一弾テイルズオブファンタジアはスーパーファミコンであり、シンフォニアもGCで最初に出ていたので、別にPSオンリーなシリーズという訳ではないんですけど、テイルズファン＝PSファンという印象もするシリーズでした。それが、HDゲーム化するあたり当然PS3かと思われたところでXbox360という情報が出てきて、混乱が起きた感じですよね。

海外雑誌でXbox360での発売が判明→ファミ通が追確認→ジャンプで独占スクープ

その後、情報はずっと出ていなかったのですが、最近の海外ゲーム雑誌でXbox360でのToVの発売が正式に発表、PS3版は否定はしないもののまだ手つかずというコメントが出てまた一騒動となりました。

テイルズオブヴェスペリアはXbox360？〜ディレクターが海外雑誌インタビューで - わぱのつれづれ日記

とくに、この手のサードの独占情報はいつも優先的にもらえていたファミ通が出し抜かれた形になったためか、その後ファミ通がわざわざバンナムに問い合わせをするという、モンスターハンター3のWii移籍の時を思わせるような展開を見せたのも記憶に新しいところです。

「テイルズオブヴェスペリア」海外でXbox360発売をファミ通が確認 - わぱのつれづれ日記

この確認では、日本での発売は未定と返事をはぐらされていましたが、そもそもの初公開がジャンプフェスタであったことから、「ジャンプ独占公開だからファミ通が情報もらえないのでは？」といった推測もネットではされていました。ファミ通が独占公開するために他のマスコミが報じられないという、逆の例もありましたし（世界樹の迷宮のときに他のマスコミが記事削除（参考））、コロコロ独占公開の前にポケモン情報をファミ通がフライング発表してしまい、一旦公開取りやめてコロコロ発売後に再掲載とかありましたしね。

そして、案の定週刊少年ジャンプにて、ToVがXbox360で発売される件が独占スクープとして発表されたわけです。先日のケツイのスクープのように未だにゲーマー向け独占スクープはファミ通が多い感じですが、子供向けの独占スクープにコロコロが、中高生向けの独占スクープにジャンプが使われることも最近はかなり多くなっていますよね。今回のToVの件については、バンナムの発表無しに「海外での発表を問い合わせで確認」という形で先行報道できましたし、今週のファミ通の読者アンケートでもこの件について触れていたので、面目はかろうじて保てたのかもしれませんが。

気になる他機種への展開〜あってもXbox360版より大幅に遅れる可能性大

そもそも、日本での正式公開にあたり、対応ハードがXbox360のみなのかどうかは、かなり注目されていました。普通に考えれば、海外雑誌のインタビューにおいてXbox360版のみ開発中であり、PS3版は否定しないが今はXbox360版を仕上げることで手一杯というコメントがあったので、日本でもXbox360での発売というのが現実的ではありました。PS3での発売があるとしても、Xbox360版完成後に移植していては半年〜1年ぐらいは作業がかかってしまうでしょうからね（もちろん私個人の推測にすぎませんが）。あるとしたらXbox360版の発売を見送り、PS3版移植が完了してから同発マルチぐらいか、と思っていましたが、ジャンプフェスタで2008年発売と発表済みなこともあってか、無難にXbox360での発売となった形です。

それでも、今日のジャンプフラゲでの国内Xbox360確定の情報でまたまた大きな騒ぎになっているのを見ると、それだけテイルズファンがPSというプラットホームに思い入れを持っているということなんでしょうね。ただ、上記でも述べたように、現状Xbox360向けにToVを作っており、カプコンなどのようにマルチ展開用のプラットホーム上でバンナムは開発してないようですから、PS3版を後から作るにしてもどうしても時間はかかるわけで、「PS3でテイルズHD最新作をやりたい」という人の希望は当分叶えられないことになるでしょう。まだ次世代機に手を出しておらず、PS2にとどまっているテイルズファンは、Wiiでのシンフォニア2も含めて、慎重に次のハード購入を検討されるといいでしょうね。

和製RPGが充実してきたXbox360〜飛躍の可能性は？

さて、ToVの発売でなんだかんだいって今世代のゲーム機で一番和製RPGが充実してきたXbox360。RPGは開発期間が長いだけに、1年先行して開発環境が充実していたXbox360に利はあったんでしょうか。PS3はただでさえ発売が遅れ、余裕を持って提供すべき開発テスト環境もかなりおしてしまったみたいですからね、この出遅れがPS3のソフト不足を生んでいるような気もします。また、MS自体が先代XBOXの日本における壮絶爆死の主原因が、日本で人気のRPGを集められなかったこと、という分析をしていたので、相当RPG獲得に熱意を燃やしていたのだとは推測します。坂口氏のブルードラゴン、ロストオデッセイなどもMSが相当金かけてましたからね。

とはいえ、MSの目論見が狂ったのは、日本のRPGも相当に保守的で定番タイトルの続編しか売れないこと、そしてそもそもマンネリ化してきていてパイが減っていたことでしょうね。今回、ToVの誘致に成功しているわけですが、このToVだけでは正直Xbox360はさほど伸びないでしょう。コアなテイルズファンは本体購入して遊ぶでしょうが、PS2時代になんとなく買っていたレベルのライト層ではそこまで大きな動きはないのではないでしょうか？せめてドラクエかFFのどっちかを誘致するぐらいしないと、業界の勢力図を変えることはできないと思います。

「アイマス」のようなオタクゲー、「ケツイ」のようなシューティング、「HALO3」のようなFPS、そして今回の「テイルズ」のようなRPGと、各々コアなファンを抱えている様々なジャンルをそろえているXbox360。それでもこれだけ爆死状態なのはある意味すごいですね。やはり、そもそもMSが日本で嫌われている、Xbox360という名称がださい、壊れやすい、騒音が大きいといった、根本的なところで「イメージが良くない」というのが、単純にして最大の理由のような気もします。

現状のXbox360ソフトラインナップに満足できるなら

まあ、Xbox360の不調はともかくとして、純粋に現在のソフトラインナップを見て魅力を感じるのであれば、Xbox360はおすすめのハードだとは思います。もちろん、騒音などには我慢しなければならないので、この部分で嫌な人は無理でしょうが。

北米でXbox360が強く、日本と欧州でPS3が強いという傾向があり、とにかく世界規模で数を売らないと利益が上がりにくいHDゲームでは、これから計画されるものはPS3とXbox360のマルチが基本になってくるでしょう。マルチであれば一応Xbox360でも遊べるということですからね。MGS4やFFXIIIなど魅力的なPS3独占タイトルもありますが、それらタイトルにそこまで強い思い入れがない人ならば、Xbox360でもある程度満足できるとは思います。（逆に「たくさん売れているハードでないと満足できない」という人には間違いなくお薦めできません。）

テイルズファンとしては、判断が難しいところでしょうね。「テイルズHD最新作をいち早くやりたい」というのであれば、Xbox360本体購入してプレイするのもありだと思います。逆に「Xbox360は買いたくない、PS3でやりたい」という人は、とりあえず半年〜1年ぐらいは余裕を見て、カリカリせず気長に待っていた方がいいのではないでしょうか。（もっとも、RPGでそれだけ時間が立ってしまうと、ストーリーなどの新鮮味はかなり失われてしまいそうではありますが。むしろさらに違うテイルズオブシリーズがPS3で出てくれた方がいいのかもしれませんね。）

また、すでにXbox360のユーザーである自分などから見れば、ソフトがどんどん充実してくることは当然歓迎すべき傾向ですよね。やはり、ゲームハードはソフトが出てなんぼですし。ToVだけでなく、今後も継続的に面白そうなソフトが出てくれればいいな、と思います。