ニンドリ9月号 ピックアップ

7/21には発売されていたニンドリ9月号を、遅ればせながら購入してきました(宮本茂氏のインタビューが思った以上に読み応えがあったので)。宮本茂氏のインタビューについては、別途触れることとして、まずはニンドリの記事の中で気になったところをいくつかピックアップしてみたいと思います。

任天堂の質問箱

まずは任天堂公式Q&Aコーナー。毎回ネットで話題になっているようなネタを任天堂の萩島氏が返答する形ですが、その中で気になる記事がありました。

Q WiiのリモコンはGCソフトでも遊べるのですか?
A 遊ぶことは出来ないですね。

WiiのコントローラをGCに使えない、というのはまあ分からなくも無いのですが、続く解説部分が意外。

ゲームキューブのソフトをWiiに入れた時点で、Wiiは本体の機能がゲームキューブに切り替わりますから、センサーバーも機能しなくなりますし、Wiiリモコンにも反応しません。
その逆で、Wii版の『ZELDA』を買ってきて、ゲームキューブのコントローラで操作しようとしても、それもできません。Wiiのソフトを入れた時点で、Wiiになるからです。Wiiって賢いですね(笑)。

思わず、読んでいて「えっ?!」となってしまいました。どうやら、WiiモードとGCモードはディスクに応じて切り替わり、ゲームコントローラの互換性もその時点で無くなってしまう模様。じゃあ、スマブラXGCコントローラを捨てないでって桜井氏が言っていた発言はなんだったの?と言う感じです。これについてのニンドリの補足文章は以下の通り。

Wiiはひとつのゲーム機に見えるけど、実はWiiだけでなくゲームキューブも入っていて、ソフトはそれを切り替えるスイッチのような役目をしているということなんですね。あと、ゲームキューブのワイヤレスコントローラ「ウェーブバードは使えるの?」と言う質問もあったけど、受信部のレシーバーをWiiの丈夫に差し込めば使えるようになるから安心してね。ただし、Wiiソフトにもウェーブバードはもちろん使えないので、ご注意を。あっ、『スマブラX』はOKかな?

ニンドリの方では『スマブラXはOKかな?』みたいな補足をしているけど、ソフトがハード仕様の切り替えになっているのだとすると、正直納得できません。Wiiの場合、クラシックコントローラWiiリモコンに有線で接続するかっこ悪い仕様ですので、個人的にはクラコン代わりにGCの無線ウェーブバードでも使おうかな、と思っていただけに、それができないとなると「話が違うじゃん!」と感じてしまいます。『Wiiって賢いですね(笑)』のコメントがすごい神経を逆なでされた感じです。

そもそも、あの小さなWiiの筐体において、わざわざGCのコントローラ接続端子、メモリ端子を載せるのに、かなりの場所、デザイン面での妥協が入っているわけです。それが、完全にGCでしか使えないものだとすると、GCを持っていなくてWiiを購入する自分のような立場の人には、なんだか納得いかない感じです。
ゼルダについても、Wii版での操作に疲れてきたら、GCコントローラに切り替えればいいや、という安易な考えでいたので、このWiiGCの互換性のなさは結構痛いですね。せめてVCぐらいでは、GCコントローラを使えるといいのですが…。


そのほか、Wiiに同梱されるリモコンの本数やDVD機能、DS用ヘッドセットなんかの情報は新規情報は特になし。スーパーペーパーマリオの延期も、「いつ、どんなカタチで出るの?」という質問に返答せずと、公式Q&Aだけあって都合の悪いところへのコメントはなし。毎回、このQ&Aは貴重な任天堂の公式見解が聞ける反面、都合の悪いところの正当化とか言い訳に不快にさせられることがある感じですね。Wiiが乾電池式なのは、充電型だとリモコンを置く位置が固定されるのが煩わしかったからとのこと。ニンドリ記者は「これ以上コードだらけになるのは嫌だから」と同感してフォローしているけど、ヌンチャクやクラコンが有線な時点でWiiでもコードだらけになることは変わらないわけで。自分も充電型のみは前にも言ったように駄目だと思っているけど、かといって充電スタンドの可能性まで否定されるのは、正直気分はよくないですね。

○インタビューで振り返るニンドリ&64ドリーム10年の軌跡

つづいて、巻頭の10周年特集の2つ目の記事。先日のファミ通の記念号でも似たような企画がありましたが、ニンドリで過去にインタビューを取った人の中で印象的だったコメントが顔写真付きで載っています。岩田聡氏が若かったり、肩肘張らず気楽な感じで笑っているのが、今の社長としての姿とギャップが感じられますね。今はかなり貫禄がついたという印象でしょうか。

それ以外の人も、今から見ると若いなぁという印象や、こいつこんなことを言っていたんだ、というのが色々あって面白いですね。いくつか自分が面白いなと思ったコメントをピックアップしてみたいと思います。

まずは、「巨人のドシン」の開発者だったバーラム 飯田和敏氏のコメント。

N64の苦戦っぷりって手塚治虫のスランプ時代に…』
1998年8月号(1998年6月21日発売)

任天堂手塚治虫にたとえる話は、自分も以前ポップコラムに書かれた記事を紹介したことがあります(2006/6/16の記事)。
ポップ・コラム [No.0347] GC『メイドインワリオ』レビュー
こちらの記事の日付は2003/10/29ということですので、その5年以上前の段階で、同じように感じていた人がいたと言うことですね。昨日の15年前にされたWii予想などもそうですが、過去の雑誌記事のコメントというのはなかなか面白いものですね。


続いて、自身のブログHisakazu Hirabayashi's Blogでもいろいろ発言されているゲームアナリストの平林久和氏のコメントをいくつか。

サードパーティに対するソフトウェア政策などで0点を取ろうものなら、やぱり不合格なんですよ』
2000年12月号(2000年10月21日発売) <ゲームキューブ発表を受けて>
『ライセンス制度の改革について触れられてませんでした』
2001年8月号(2001年6月21日発売) <E3任天堂発表会を受けて>
『僕はニンテンドーDSを完璧な答えだと思います』
2004年11月21日号(2004年10月21日発売)

厳しめなのと絶賛の両方ですね。ゲームキューブの時はサードパーティ対策でかなり苦言を呈し、実際、その課題をクリアできずGCは失敗してましたよね。DSのどこを絶賛していたのか、この特集記事ではよく分かりませんが、結果的にはDSは成功しているわけで、目利きは確かということでしょうか。


もう一個印象に残ったのは、E3 2004後のキャメロット 高橋宏之・秀五氏のコメントでしょうか。

『日本に帰ってきてびっくりしたんですよ。アメリカではDS一色だったのに全然盛り上がってなくって』
2004年7月6日(2004年6月5日発売)

この発言に続けて、次のような発言も。

『すごく問題に感じたのは、E3の会場で何が起きているか理解できなかったこと』

E3でのDSが起こしたムーブメントを、マスコミが理解できなかったことについて怒っていたようです。たしかに、今年のE3は各種マスコミで盛大に騒がれ、Wiiの好評なども珍しく一般にまで届けられていますが、2年前だとたしかにそれほど話題じゃ無かった気もしますね。PSPもありましたし、当時はPS2絶頂期ですし。最近ではファミ通の提灯っぷりなどが各種掲示板やブログで叩かれることも増えてきましたが、DS前のゲーム業界は極度に保守的だった印象がありましたからね。現状では変化に対してはネットメディアの方が過敏な気がしますし、そうした微妙な変化に敏感にならないと、雑誌ベースのマスコミは生き残っていけない気もしますね。

○デス仙人の教えてあ・げ・る

最後に取り上げるのは、デス仙人というキャラが読者の質問に辛口で答えるコーナー。今回の質問は以下の質問。

よく「子どもっぽいゲーム」と言いますが、ゲーム自体が子どもっぽいのではないでしょうか?マリオがよくそう言われますが、じゃあFFは大人っぽいのでしょうかね?

この子は、友達に「マリオなんて子どもっぽいw」とかバカにされたんですかねw。まるで2chとかで見るような光景がリアルでも繰り広げられているということでしょうか。まあ、FFも十分中二病ゲームだという印象は自分も同じですけど。
これについてデス仙人、一応マリオが親しみやすく、FFはある程度大きくならないと楽しめないという解説はしているが、最終的な切り口が実に端的で的を射てますね。

「子どもっぽい」「じゃあ○○はどうなんだよ」なんて、ゲームを好きな人同士が口調を荒げて論争をする、そのこと自体が非常に滑稽で「子どもっぽい」と、わしは思うんじゃがのう。

いやぁ、実に正論です。自分もいい大人がゲームについて熱く語っていたりするので、耳が痛いですけどw。重要なのは各々が何を楽しいと思えるかと言うことなんでしょうね。


以上、ニンドリから自分の気になった記事をピックアップして紹介してみました。興味がわいた方は雑誌を購入してお楽しみください。