岩田氏・宮本氏の語る Wii開発秘話 by EGM

アメリカの大手ゲーム情報誌、EGMにて、任天堂岩田聡社長、宮本茂氏に対してのインタビューが掲載されているようです。インタビューの内容は、すでに海外ニュースサイト経由でゲーマーホリックさんのところやinsideなどでも紹介されています。

[Wii] 「Wiiリモコン」に「マイク」機能は搭載せず - ゲーマーホリック
Wiiコントローラにはマイクを搭載しない - Nintendo iNSIDE

また、engadgetさんのところでも、要約された文章が出ていますね。
任天堂 岩田聡&宮本茂インタビュー at EGM - Engadget Japanese
マイクやバーチャルコンソールに関する発言のニュアンスは、こちらの方が正しいように思います。(元々の海外ニュースサイトの要約の仕方がちょっと微妙だったわけですが。)

オリジナルは下記の3ページにわたる長いインタビューなのですが、とくに序盤のWiiコントローラ開発に関わるところがなかなか興味深かったので、訳した内容を以下に記します。

Revolutionary Warfare: EGM Goes Behind the Scenes with Nintendo Wii from Electronic Gaming Monthly

EGM:Wiiプロジェクトの歴史について話していただけますか?

岩田:2004年初め、我々は新しい据え置き型機におけるコントローラを何にするか真剣に議論していました。その当時に、DSのコンセプトも一緒に生まれました。我々がDSとWiiについて持っていた共通の意見は、「どうすれば、普通にゲームを遊んでくれる人を広げることができるのか」という考えでした。
これについてどうアプローチしたのかということの例としてあげると、まず家に据置機を持っているハードコアゲーマーについて考えました。彼らと一緒にすむ家族のみんながその据置機を使うでしょうか?自分はそうでないと思います。Wiiの背景にあるコンセプトは、家族の誰もが関わり、興味を持ってくれるような何かを生み出すことなんです。

我々が抱いた一つの疑問は、なぜ人々はTVのリモコンを喜んで手に取り、インタラクティブに操作するか、ということです。面白いことに、当時我々はTVリモコンについて議論したのにもかかわらず、決してそれをコントローラのデザインに反映させようとは思いませんでした。我々は当時、たくさんのコンセプトスケッチを描き、併せてたくさんのプロトタイプコントローラを作りました。その中には、人々が見てとてもビデオゲームのコントローラに思えないようなものもありました。我々はこのプロタイプを作り、大量のコンセプトを生み出すプロセスに一年近く費やしました。

任天堂の最大の強みの一つに、一つのビルにハードとソフトの開発者がおり、彼らが継続的に協力して努力しているということがあります。ハード開発者はアイデアを思いついたら、ソフト開発者にと提案して「これで何が出来ると思う?」と聞くことができます。彼らはそのアイデアに関する、非常にシンプルでゲーム的な機器をともに素早く作成し、それが自分たちの探し求めるゲームプレイにおける鍵となる要素があるかどうかを、素早く評価することができます。


2005年初め、コントローラ開発チームにおける若いリーダーが、この片手で操作できるコントローラのアイデアを提案しました。それより少し前に、我々はすでにダイレクトポインティングデバイスの技術を開発しており、それを使って画面内のオブジェクトをポインティングしたり、叩いたりすることを考えていました。チームにおける大部分は、「それ(リモコン)では、標準的なゲームがプレイ出来ないじゃ…どうやって(ダウンロードできるクラシックな)バーチャルコンソールのゲームを遊べばいいんだい?」と言いました。そのように、そのデザインにはいくつかの疑問があったわけです。しかし、宮本氏がそのとき言ったんです、「それでやってみたらどうだろう。そのリモコンを小さくコンパクトにして動作するようにし、そのほかの機能のために拡張ポートを持たせてはどうだい?」と。そして、クラシックスタイルのコントローラの形状を作り出すことで、標準的なゲームのためのすべての機能を得ることが出来たのです。

こうして、我々はともにプロトタイプを作ることが出来、それをゲームプレイデモに実装して、実際にこの種の操作が、索敵したりポインティングしたりすることでFPSを本当に楽しくするすることに気づきました。…しかし、移動はどうすればいいんだろう、ということにも気づいたのです。このことが、拡張ポートの利点をヌンチャクの組み合わせ(第2のデバイスをコードで接続したもの)へ利用したきっかけです。ヌンチャクの設定は、メトロイドプライムシリーズにおけるNCLのプロデューサーにより提案されました。

開発の流れがまずポインティングデバイス、それから若手開発者提案のリモコン形状、宮本氏提案の拡張ポート+クラシックコントローラ、最後にメトロイドプライムプロデューサー提案のヌンチャク方式、という流れがなかなか面白いですね。残りの記事もなかなか興味深いので時間があればまたふれてみたいと思います。