E3速報--価格発表で拍手消えたPS3 (デジタルエンタメ天気予報):NBonline(日経ビジネス オンライン)

価格発表以降、批判的な論調が多くなってきたPS3ですが、特に強烈なものがこの記事でしょうか。まず、実際にかかるお金についての指摘が的確です。せっかくソニーがわかりにくいようにいろいろな工夫を凝らしていたのに、非常にわかりやすく書いてますねw。

しかも、6万2790円という価格は、無線LAN機能や各種接続端子、メモリーカードスロットなどが大幅に省略された、いわば廉価版モデルの価格なのです。通常モデルの価格は、さらに高額。日本での販売はオープンプライスですが、北米での廉価モデルと通常モデルの価格差が100ドルあることから、実勢価格は7万3000〜7万5000円になるでしょう。

さらにこれは本体だけの話で、実際にソフトを買うこともふれて考察してあることもすばらしい。

しかもゲーム機は、ハードと同時に最低でも1本のソフトを購入する必要があり、対戦プレイ用のコントローラーなどの周辺機器を購入することも多いわけです。となると…。
PS3を家族や友達と普通に楽しむには、初期投資額は8万5000〜9万円に跳ね上がります。これでは、「大衆向けエンターテインメント機器」としてのトップの座を取るのは、極めて困難だと言わざるを得ません。

ちなみに、同様にWiiでもかかるコストを予想すると以下のような感じでしょうか。(本体にWiiリモコン・ヌンチャクが一つずつ同梱、という予想で見積もっています。

  • 本体:25000円
  • 追加Wiiリモコン:3000円
  • 追加ヌンチャク:2000円
  • クラコン:2000円
  • ソフト:5000円

 →計37000円


まあだいたい初期投資は3万5000円〜4万円ぐらいでしょうか。これぐらいは貯金しておけ、ということでしょうね。それでも、PS3の9万という値段は相当なものですよね。


ちなみに、この記事の最後はかなり痛烈。

情勢は、大きく変わりました。現時点では、七分三分あるいは八分二分で、任天堂陣営が優位に立ったでしょう。既に大成功を収めているニンテンドーDSと、新マシン・Wiiのコンビは、日本市場では極めて強力です。PS陣営は、一転して苦境に立たされることになった、と断言しておきましょう。

現時点で、多くの人が感じている感触かも知れませんが、マスコミ関連でここまで言い切るとは。あとでソニーから干されそうですw。こういった批判的な声をどう押さえ込んでいくか。ソニーのマスコミ影響力を試すいい機会なのかも知れませんね。


P.S.
コメント欄で指摘をもらいましたが、この記者の方、野安ゆきお氏は別に日記を持っていて、そこで以下のようなコメントをしているようですね。

お。本来は明日アップ予定だったデジタルエンタメ天気予報が、すでにアップされていた。原稿提出時、「PS3に対してキツく書きすぎたかも……」と不安になっていたら、むしろ、もっとキツさを強調する方向での修正依頼を受けて書き直したという、いわくつきの原稿である(笑)。

なにか、日系編集側の意図を感じてしまう内容です。後ほどこの日記の記事が削除されていたら、かなり日経が確信犯である可能性が高まります。
とはいえ、この人の過去の日記を見るとかなり見方が鋭いですね。5/5の日記では以下のような記述。

DSのヒットソフト群が凄いのは、ユーザーに「つい電源を入れる」という行動をとらせ、つまり「ゲームを楽しむことを習慣化させる」ことに成功した点にある。居間にいるとき、ついテレビの電源を入れてしまうかのように、ユーザーにDSの電源を入れさせていることが、なにより凄いのだ。それこそがDSソフトの革命的なところであり、DSが爆発的にヒットした最大の理由なのである。
 ならば次は、据え置き機であるWiiで、「習慣化する楽しさ」を用意してくるのだろう――と想像している次第である。

これはまさに岩田社長がカンファレンスでコメントした内容そのものです。さらに、5/7の記事でも同様の予測をしています。

予想1:今回のE3の主役は任天堂である。
予想2:新マシン「Wii」は、電源ONを習慣化させるエンタテインメント機である。
予想3:入力側(コントローラー)の情報だけが流れていたが、もしかすると、本当の謎は出力側(モニター)の隠されているかもしれない。

予想3は現状はずれてる感じですが、予測2はまさにWiiConnect24。コンセプトの予想からして大正解ですね。
さらにすごいのが、この人の5年前の日記の記事。
TVゲームの部屋(本館) - 最後の手 (2001年12月30日更新)

いつの間にか、21世紀の最初の1年が終わる。
そろそろ、肉体が気持ちよくなるゲームを、ぜひプレイしたい。
頭の中が気持ちよくなるゲームだけじゃ、ちょっと物足りないのだ。

それは「ボタンを押す」という行為から、
ひとまず脱却したところにあるのでは、と考えたりしている。

この予想は、まさに任天堂が目指したWiiリモコンの概念ですよね。さらに最後の結びもすごい。

5年後。
もし、この文章を読み直したとき、
「ああ、オレって、けっこう鋭いこと言ってたじゃん」
と、思える日がくるといいなぁ。

今は2006年5月12日。ちょうど5年ぐらいです。ちょっと背筋がぞっとするような的中具合ですね。(ちなみに、ファイルのプロパティ見ると、最終更新日は2004年1月18日 18:46:59となっていますが、もしその日に改変されていたとしてもまだ任天堂レボリューションが発表される前の段階なので、すごいことには変わりませんね。このファイルの日付も、たぶん2001年にいったん休止していたページを2003年8月以降に復活させた際に更新されたもののような気がします。)