任天堂、岩田聡氏が基調講演でRevolutionのコントローラが初公開! 片手で遊べる、さわる感覚の斬新なコントローラー

本日から開催の東京ゲームショウ2005。そのプレスカンファレンスで、任天堂の岩田社長が講演しました。講演の内容は、スライド付きで公式HPで公開されています。このあたりのポイントの抑え方は立派ですね。とにかく、この動画は必見です。他のニュースだけでは感覚的な内容は伝わってきませんので。
http://www.nintendo.co.jp/n10/tgs2005/index.html


さて、このゲームショウには例年出店していない任天堂、この講演では現状のDSの考察+レボリューションの現状、程度の発表かと思いましたが、なんと、このタイミングで一番のキモであるコントローラの発表がなされました。

そしてそのデザイン。これがオドロキの「リモコン型」!これは予想しませんでしたねぇ。というか、最初2chで画像見たときは「はぁ?」という印象。なぜに片手?という感じです。正直、印象はかなり悪かったですね。「iPod Shuffle?」って感じで。レボのデザインやゲームボーイミクロなど、最近の任天堂は相当Appleの戦略を意識しているように思われますね。悪くはありませんが、ジョブスのカリスマは任天堂にはありませんからね。

さて、肝心のリモコン型コントローラ「ゲームリモコン」。これは只のリモコンではなく、かなりの先端技術の塊。以下に、ピックアップしてふれていきましょう。

○ダイレクトポインティングデバイス

まず、先端にはポインティングデバイス。これにより、画面を直接ポインティングできるようです。仕組みは具体的には明らかにされていません。伝送方式は赤外線とも言われていますが、IRだけで位置まで取れるものでしょうか?かといって、無線で場所を把握するのも難しいと思うのですが…。正直、これをメインのUIにしてくるとは想像していませんでした。

○ボタン

本体がリモコン型ということであり、メインのボタンは表のAボタンと、裏のBボタンのみ。非常にシンプルです。でもRPG程度ならこれでプレイできそうです。また、横に持った時用に小文字のa,bボタンも。ゲームボーイミクロのボタンが小文字だったのは、これにあわせるという意味があったんですね。でも、これって口で言い分けるときは面倒ですよね。別の名前にすればよかったのに。
しかし、横にもってもファミコンのコントローラ程度。攻めてSFCのLR+4ボタンぐらいは用意して欲しかったものです。これじゃ、せっかくのエミュでも、ファミコン以外は別途コントローラを準備する必要がありそうですから。(拡張コネクタ経由でつなげるみたいですが。
しかし、この縦横切り替え、というのは実はすでに飛行機などでは実現されているんですよね。それも任天堂のゲームが遊べますし。そういう意味では、このコンセプト自体は任天堂としても使い慣れたものだとも言えます。

○フリースタイルコントローラ

本体にケーブルでつないで使う、アナログコントローラ。標準搭載のようです。左手で移動しながら、右手のポインタで視点移動、入力という感じですかね。PCでも、マウスとキーボードの組み合わせで視点+移動をうまく操作していますから、この二つに分かれた入力は3Dゲームとの相性がいい気がしますね。
ただ、むやみに分かれてしまっているだけに、手が遊んでしまうそう。普通のコントローラであれば、包み込むように持っておくことで、手を固定できます。しかし、こうして両手が遊んでしまうと、逆に疲れてしまうのではないでしょうか。手を浮かせて持つのもそれはそれで疲れますし。せめて、HORIのコントローラみたいに、分割と結合、両方できるとよかったのですけど。


以上、各要素についてふれてきました。たしかに、従来のコントローラにはない、斬新な取り組みがいくつも含まれており、興味深いですね。任天堂自らが殻を破ってきた、というのもなかなか好印象ではあります。
ですが、自分はそのポジティブな印象以上に、ネガティブな面も今回の発表を見て感じられました。それを、これ以降でふれていきたいと思います。

○懸案事項

個人的に、ヒューマンインタフェースには造形の深い方だと思いますが、このポインティングデバイスというのは、昔から言われているいくつかの問題点というものが存在します。

▽入力による疲れ

まず大きな欠点としてあるのが、「手が疲れる」ということ。たしかに操作は直感的なのですが、手を浮かし続けるというということは相当に疲れる行為です。少なくとも肘をつき、手首の小さな動作で操作できるようでないと、ちょっとした時間の操作でもすぐに疲れてしまうのです。また、大きな動作でしか認識しないようだと、小さな部屋で細々とゲームをするユーザでは使いにくくなってしまいます。

▽自由度と精度

もう一つの懸念点は「自由度と精度」です。長年、ヒューマンインタフェースの世界では三次元的な、直感的な入力手段というのは多数研究されてきました。パワーグローブのような装着型もその一つですし、eyeToyのようにカメラでジェスチャを認識するのもその一つです。しかし、これらはどうしてもボタンのオンオフのようなシンプルな入力とはなりません。非常に複雑で、自由度の高い入力を認識し、操作として反映させる必要があるのです。
今回の講演で流されたイメージビデオ、この中では非常に自由度の高い、大げさな動きが多数行われていました。しかし、これらの入力を、一体どの程度の精度で、どのように判別して整理しているのかが、非常に気になります。ポインタの操作でゲームをするというのは、いわばマウスカーソルの見えないマウスの動きだけでゲームするようなもの。つまり、そうした動きから、「ユーザが何を意図した動きなのか」をどうやって判断するか、が非常に難しくなるわけです。
こうした、非常に自由度の高い入力に対して、どのように判別するか、これはかなりインテリジェントなものとなります。まずは任天堂が手本をしめし、場合によってはいくつかの入力パターンはライブラリ化してサードに配布するなどの仕組みが必要では無いかと思います。タッチペンやマウスよりも次元が増えますし、さらにヌンチャクコントローラなどの別の入力も加わるのですから。
また、こうした自由度はユーザにとってもネックになる可能性もあります。結局、上記の「入力の判別」が高い精度でできなかった場合、結果的にユーザ側がゲームにあわせて動く必要があります。そのときに、どう動けば思い通りの入力になるのか、それが明確に分からない可能性があるのです。


○まとめ

このように、このポインティングデバイスには直感的な入力を実現する反面、クリアしなければいけない課題も多数あります。とはいえ、任天堂、そして宮本茂氏なども当然これらは把握しており、大丈夫だとおもったからこそ採用したのでしょう。任天堂が実際にどのようなお手本を示してくれるかが楽しみです。
正直、Xbox360PS3のパワーゲームの争いには、技術メーカーではない任天堂はついて行けなくなったというのが本音だとは思います。同じ路線では勝負にならないと。ただ、それだけでなく現在の据え置き市場の衰退を見て、あながちそのものの見方がずれているようには思いません。今回のこのコントローラ、非常に賛否両論が入り交じってますけど、とりあえず話題性という意味でのつかみはOKということでしょうか。
とりあえず、既存のゲームの延長で、より綺麗な迫力のあるゲームがしたいのであればPS3Xbox360を購入し、まったく新しい感覚のゲームをしたいのであれば、レボリューションを買う、という形になるのではないでしょうか。なんとなく、PS3とレボリューションの両方を持っているユーザが増えそうな予感もしますね。レボだけじゃ、従来の続編はなかなかできないでしょうから。
今回のTGSではプレイアブルはありません。明日出かけようと思っている自分には酷なことですw。おそらく来年ぐらいでしょうかね?できれば、去年見たくニンテンドーワールドを開催して欲しいところですが。レボコンを実際に体験できる日が楽しみです。