風評と煽り

しかし、ちょっと最近の流れは行き過ぎな感があります。あくまで、PSP初期不良で、フライングディスクとか言っているうちは、ネタとしておもしろかったのですが、自分も取り扱った□ボタン問題、ソニーの「不具合を確認していない」報道と、ソニーの誠意のなさが伝わり、PSPを題材にした「ネタ」から、ソニー「叩き」へと転換してしまったように思います。
こうなると、これまでよくあった、いわゆる「大企業叩き」と大差が無くなってきます。ようするに、「出る杭を打つ」という流れな訳です。雪印とかの時と同じ流れです。基本的に判官贔屓で上のものをたたくことを好む国民性、こうした「大企業叩き」は徐々に秩序を失い、只単に「大企業をたたくこと」だけにおもしろみを感じて暴走し始めます。その思想は次第に過激になり、最後は「倒産してしまえ」とまでなります。
今回の件も、下手をすると、そういったところまで行ってしまう可能性があります。個人的には、ソニーを批判する人も自制心を持ってください、とお願いしたいです。現状で、はっきりと荒らしコメントとIPが一致しているのは少ないように思います。IPによるアクセスログも、社員だったら気になって見てしまう人もいるでしょうから、「アクセス数=工作員」というのは、はっきり言って飛躍しすぎだと思います。「ソニーの非がある点を追及したいから、荒らしコメントのIPを調べて晒す」というのは理屈としてまだ分かりますが、「ゲートキーパーのIPをさらすのが楽しいから、IPを探す」というのは、完全に目的と手段とが入れ替わってます。
そもそも、IPをさらす、というのは昔はネットでは最終手段に近いものがありました。IPは、本人が特定できないまでも、結構な情報をもつ「個人情報」な訳です。HPにアクセスする「客」の個人情報を、HP管理人がさらっと暴露しまうようなら、もうそのページには安心して訪問することができません。管理人としてもそんなことをしては信用を失ってしまうので、あくまで荒らしなどに対抗するための最終手段として、IP晒しがあるわけです。
今回、ゲートキーパーの件で、企業のIPが非常に注目されています。しかし、このために、今後安易に企業IPを収集して晒し、罵倒するサイトが出てくるのではないかと危惧しています。いつまでたっても初期不良などのまともなコメント・対応を見せないソニー、その姿勢を糾弾することは、今後も重要だと思いますし、自分も発言していくでしょう。ただ、手段と目的の逆転、ただ上のものをたたきたいだけ、と言った短絡的な行動が広がらないよう、皆の良心に期待します。