新選組!「愛しき友よ」

1年間、熱中して追いかけてきた新選組!。それが、今日最終回を迎えました。最終回の率直な感想としては「悲惨」というものでしょうか。救われる要素がないです。特に、お孝、捨助の死は余計だったように思う。これまで、一つ一つの死を大事にして、ふさわしいエピソードを用意していた三谷幸喜だっただけに、最後はなにか、演出のためにとってつけたように殺してしまって、ちょっと残念。
…ただ、さすがに今回は泣かされました。今までうるうるまでは来たことは何度かありましたが、泣くまでは言っていなかった。今回はちょっとぬぐえるほどの涙が浮かんでしまいました。
そのシーンは、近藤が処刑場に入ってきたシーン。その騒々しい様子が、いかにも見せ物という感じで哀れで哀れで。そこで、母ふでが、「近藤勇、よく、戦いました!」と涙ながらに語り、宮川音五郎が「おまえは、多摩の、ほこりだー!」と叫ぶ。この言葉はまあ、想像できたところだったのだけど、感動したのはその後。
「そうだ、近藤、よくやったぞー!」
「あんたは本当にサムライだ!」
「よくやった!」
口々にあがる、近藤をたたえる声。そして、その中に女性の声で、
「助けてあげてぇ!」
と悲鳴じみた、リアルな叫びも。単に見せ物にされて殺される、と思っていたので、このシーンの民衆の叫びには感動しました。
なおかつ、だめ押ししたのは、そのあとの尾形俊太郎の言葉。助けに行こうとする原田左之助を、すでに除隊してた尾形が引き留めます。これまでずっとクールで、島田魁にも読めない人と言われていたのだが、ここに来て熱く語る。「おやめなさい!」と止めた後、なぜここにいるかを原田に問われて、答える。
「山南さんに言われたことを思い出したんです。新選組の行方を見届けるのが、私の仕事。」
…ここでも山南イズムが息づいているのですね…。そして、原田が、俺の行く末も見届けておけ、とつっこもうとするところで、さらに叫ぶ。
「ここであなたが死んでも、局長は喜びはしない!…生き延びるんです。生き延びて、官軍に一泡蒸かせてやるんです。…それが、残されたもののつとめ。」
ここで、涙がこらえきれなくなりました。ずっと冷静だった尾形さんが最後の最後で熱くなるのも、ずるいよ・゜・(ノД`)・゜・。。その後のシーンで、原田が叫んだ後、楽しそうに振り返る姿もよかった。
そのほかにも、いいシーンはありました。それは、勝海舟と山岡の会話。
「せめて武士らしく切腹させてやりたかった」
という山岡の言葉に対して、勝海舟がぷるぷるふるえながら言った言葉。
「武士『らしく』、ってなんだよ!…大事なのは、どう死んだか、じゃない。どう生きたか、だ。…あれ、武士だよ、紛れもない。そして、最後のな。」
これも、言いシーンでした。武士らしく死ねなかったら、武士じゃないのか、ということですよね。なんともひねられた、感動する場面でした。
そして、最後のシーン、川に首を差し出し、先週のラストのように、死を覚悟した絶妙な表情。泣き笑いのような感じで最後、紡がれる言葉が、「歳…」。本当は、このあと、楽しかったな、とか言葉が続いたのだろうか。しかし、それが聞かれることなく、刀が振り下ろされ、そのまま「完」…。
…ちょっと唐突すぎるような(汗)。確かに、近藤勇を描いた話ではあり、それを貫いたのでしょうが、あまりにも余韻がなく、思い出にふける間もなく。その後、回想シーンが流れますが、それだったら「完」をあのタイミングで入れなくも、最後に入れればよかったのに…、と残念です。
…ともかく、新選組!は終わってしまいました。だが、このあと、水曜日には「そのとき歴史が動いた」で土方歳三のその後を、そしてそのあと26日に総集編。30日に山南切腹の回の再放送と続きます。また、これまでネタバレを嫌って読んでいなかった、新選組関連の書物、燃えよ剣なども読み進めていきたいと思っています。