CNETJapanが再び誇張報道

先日、E3関連の記事を翻訳する際、任天堂関連の記述をばっさり省略するという暴挙を犯したCNETJapan。今回、またまた任天堂関連の報道で誇張した翻訳をやってくれました。
CNET Japan Blog - CNET Japan Staff BLOG:任天堂、ソニーがモーションセンサーを盗用と主張
現時点ではすでに訂正されていますが、最初公開された記事はかなり刺激的で、その影響で2chなどでも論議が再燃しています。トラックバックにある以下の記事で、最初のときの記述が引用されています。

「ゲーム関連のニュースサイトGameDailyBizによると、任天堂の英国事業部門は、モーションセンサーシステムを盗用したとしてソニーを徹底的に告発していくという。」
ゲーム最新事情: 任天堂、ソニーを告発へ?

最初の記述は、「任天堂ソニーをコントローラのことで告発」という、非常にショッキングな内容だったわけです。ちなみに、今回もすぐに原文にあたってみましたが、原文では以下のような英文でした。

According to GameDailyBiz, the head of Nintendo's British operations has outright accused Sony of stealing the idea for the motion-sensing system.
Nintendo said to accuse Sony of stealing controller idea | News.blog | CNET News.com

原文では"accuse"という単語が使われており、たしかにこの言葉には「告発する」という意味があるようです。
ac・cuse - goo 辞書
しかし、別の意味として「非難する」という意味もあり、文脈において法律関連の項目がほかにないことから考えても、ここは当然「非難する」と訳すべきところ。実際、こうしたトラックバックや非難のメールなどがあったかからか、すでに下記のように訂正されています。

ゲーム関連のニュースサイトGameDailyBizによると、任天堂の英国事業部門は、モーションセンサーシステムを盗用したとしてソニーを公然と非難したという。


とまあ、今回はすぐに訂正されたのですが、前回あれだけ方々から提灯、ねつ造と騒がれたのに、もうちょっと慎重に記事を翻訳できなかったものでしょうか?「告発」という、あたかも訴訟沙汰を想像される言葉を使ってしまったために、方々で騒動を起こしてしまっているわけですので。マスコミとしての責任感が欠如しているように思えてなりません。


そもそも、この原文の記事自体が5/19の記事。関連した記事も日本ではすでにブログなどで報告されていました。
[news] 『ソニーは私達のコピーだ』 任天堂UKのDavid Yarnton氏インタビュー - ゲーマーホリック
このように、すでにある程度時間のたった記事にもかかわらず、こうした素人が辞書片手に訳したような翻訳をしてしまうのですから、マスコミとしてはお粗末と言わざるを得ないでしょう。


そもそも、このPS3のコントローラについては、任天堂が訴えるのはかなり厳しい項目です。コントローラにジャイロを載せる、というアイデア自体は昔からあるものであり、すでにMSが過去に製品化しています。訴えるのであればMSの方でしょう。
Microsoft ハードウェア - ゲーム コントローラ - Microsoft SideWinder Freestyle Pro
また、Wiiリモコン+ヌンチャクは確かに任天堂の主張するようにPS3のコントローラとはかなり異なっています。Wiiリモコン単独で、ポインティング機能をのぞけばたしかにPS3コントローラと同等ですが、そこまで省略すると、MSコントローラと大差ないですし、任天堂独自の新規性があるわけではないですから。
どちらかというと、任天堂的には、「ソニーはまねばかりする企業」という、ネガティブな印象を与えるだけの方が得策でしょう。とはいえ、日本人である岩田社長や宮本茂氏などはなかなかこうした直接的な非難はできないでしょう。日本人はそういったネガティブキャンペーンを嫌いますから。今回は結果的に、文化的にそうした相手の非難を堂々と行える英国の人が岩田社長などの気持ちを代弁した、という感じなんでしょうね。

昔は松下が「マネシタ」と呼ばれ、自らもソニーのことを「東京にいい研究所がある」とたとえて言ったことがありましたが、今やソニーの方がパクリ企業と言われるようになったのは、なかなか皮肉なことですね。(そのうちクタタンが、「うちは京都にいい研究所があるんで」とか言ったりしてw。)もっとも、Macのいいところをどんどんぱくって成功したWindowsの例のように、最終的に勝者になってしまえばすべてOKというのも、それはそれでビジネスの上では真理ではあるのですが。