PSPクロックダウン発表の余波

昨日、PCWatchにて突如明らかになったPSPのCPUクロックダウン問題。実際には2月頃には海外ニュースで明らかになっていたようですが、日本で公になったのは、この後藤さんの記事からでしょう。
予想通り、2chやブログではいろいろたたかれていましたね。主に「詐欺くさい」というコメントでしたが、まあそういった感情的な発想も理解できなくはないですね。CPUをダウンクロックした状態で出す、というのはCPUの歩留まりが悪かったり、消費電力の問題が出てくるとよく取られる手法でしょう。実際、組み込み系の機器だと、今回のPSPのように、製品の稼働時間にあわせてCPU周波数をいじる、ということはやりそうです。携帯電話などもスペックを公開していないから分からないだけで、おそらく同様の事が裏で行われていると想像します。

○叩かれる理由

それでは、なぜPSPがたたかれるのか?それはもう、ソニーの日頃の行いが悪いから、という点が非常に大きいと思いますが、それ以外にもいくつか要因はあるでしょう。
一つは、「PSPがスペックを売りにした携帯ゲーム機であること」。他の組み込み機器のように、あくまでその製品で実現される「体験」だけが求められる物と違って、PSPは「PS2並のスペック」などと、そのカタログスペックを売りとしてしまいました。売りにしていた部分が、実は性能出ていませんでした、と言っても、それは消費者は納得いかないでしょう。
もう一つは、「発売から2ヶ月以上たって公にしたこと」。前述したように、ダウンクロックして製品に載せることはよくあることでしょう。そして、あらかじめスペックを公開していない組み込み機器であれば、特にそのことを公表する必要も無かったと思います。しかし、PSPはそのCPUスペックを1〜333MHzと公にしています。それを、既に100万台以上出荷した状態で「実は222MHzで動いている」と発表するのは、それはカタログ詐称と思われても仕方ないのではないでしょうか。

○「222MHzしばり」の弊害

それでは、なぜ今ソニーGDCでこの仕様を公開したのでしょう?2chで言われている、米国発売前に公開しておかないと訴訟を起こされそうだから、というのもまあもっともらしいですが、やはりGDCという場での発表である以上、この222MHzしばり、というのがゲーム開発の上で避けて通れないことだからでは無いでしょうか。

実際、PSPのゲーム開発しているSATOXさんという方もコメントを出しています。
SATOXのシテオク日記 PSPの嘘が公に
この方はPSPの開発に携わってらっしゃるそうなので、今回の件は既に承知していたようです。PSPのクロックを高く設定したとしても、実際にクロック数を取得する関数を呼ぶと、222MHzと帰ってくるとのこと。おかしいと思って実際にSCEに問い合わせして確認したらしいです。それは、変に思いますよねぇ。PSPの発売前、実機がなかなか開発者の手元に届かない、というのが言われていました。そして、実際に届き始めたと思ったらソフトの発売延期のオンパレード。これは、この222MHzしばり、というのが大きく影響していたのではないかと予想されます。開発機では333MHzまで出て、ポリゴン数も多く出せるので動いていた物が、実際に実機で動かしたら処理落ちで使い物にならない、ということが頻発したのでは?と想像してしまいます。
そんな中で、リッジレーサーズなんかはよく頑張った方なんじゃないですかね。(もっとも、2chじゃ、特別にリッジだけ隠しコマンドで333MHzで動かしいるのではとか言われちゃってましたがw。リッジだと4時間持たないとか言っていたのも、それに拍車をかけているのかも。)

○今後の展開

おそらく、これから開発されるゲームは、最初から222MHzしか出ない物だと思って作る分、不自然な処理落ちなどは少なくなると思われます。2chではいつか333MHzバージョンが出て下位互換性が無くなる、という憶測が書かれていますが、それも多分ないでしょう。SATOXさんの記事にあるように「今後ずっとPSPは222MHz」なんだと思います。もし、リミットをはずすとしたら、それはゲームではなく、マルチメディア処理ではないでしょうか。とは言っても、ソニーがちゃんと「今後型番変わってCPUクロックがあがることはない」となんらかのコメントを出さない限り、疑惑は消えないでしょう。

今回の件は、まだまだソニーのぐだぐだ感の証明になってしまいましたね。トップが変わったことの効果は、いつ頃出てくるでしょうか。