ソニー、英で個人情報流出の制裁金支払いに応じる〜機密情報公開を固辞

最近、任天堂コナミ、さらにはセガと不正ログインや不正アクセスが連続しているゲーム業界。ただ、ゲーム業界のみならず世界的にも類を見ない規模での不正アクセス個人情報流出といえば、ソニーPSNハッキングの件が思い起こされます。

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この件は「既知の不具合を放置していてそれを突かれた」「当時セキュリティ担当の責任者を置いていなかった」などの点で国内外で批判を浴び、日本でも経済産業省から行政指導を受ける事態となっていました。

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントに対する個人情報保護法に基づく指導について(METI/経済産業省)

これに対して、米では裁判もまだ行われていて、ソニーも対向として「PSN使うなら集団訴訟件放棄するように」という決まりを利用規約に盛り込むなどしており、まだグダグダしている状態。そんな中、今年1月にイギリスでストレートに政府機関から制裁金を課せられるという事態が発生していました。

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これに対してソニーは「盗まれた情報は悪用されてない」と不服申立てをしていましたが、本日制裁金支払いに応じることにしたようです。

ソニー 個人情報流出で制裁金支払いへ NHKニュース

制裁金支払いに応じた理由は「機密情報を開示すると安全性を担保できない」

ただ、この支払に応じた理由がなんとも。「審査の過程で、情報を保護する方法や不正侵入を防ぐ対策などの機密情報を公聴会などで開示しなければならないことから、ネットワークの安全性を担保できない」というもの。

そもそも、英から指摘されていたのは「当時、もっとしっかり対策していれば防げていたはず」というもの。ソニーが出さなければ行けない証拠は、「当時の対策」についての証拠のはず。そして、PSNハッキングの後対策をとっているわけですから、当時の対策は当然観直しており、さらなるセキュリティ強化をしている事が前提となります。公聴会において、果たして「現在の」PSNのセキュリティが脅かされるほどの機密情報をどこまで出さないと行けないものか。こういう言い訳をして情報公開を拒むのでは、「当時の証拠を示せば非があることが明確に分かる」と白状しているように受け取られても仕方ないでしょう。さらには、「当時の対策をもらせないということは、根本的な対策は現在も変わっていないのでは?」という、現状のセキュリティにたいしても疑念を抱かせる形となります。

おそらく、制裁金額が3750万円と、会社としてはそこまで大きな金額でないことと、当時の恥をさらすこと、現状のセキュリティに絡む情報を無償公開しなければならないことを照らし合わせて、損得勘定から支払いに応じたんだと思われます。PS4発売を控える中、年末まで引きずるよりもこの時期に終息しておいた方が良作と判断したのかもしれません。ただ、今回建前は別として制裁金に応じたことで、他の国の裁判とかにおいて影響が出る恐れは考えられますね。

消費者が再度信頼できるに足る情報公開を

ヨーロッパでは何かと日本メーカーが標的とされ、お金を巻き上げられている状態ですので、今回のもその一環の流れであるとは思います。ただ、ソニーにはできれば当時の詳しい情報を英の公聴会なり第三者機関を通してなり、もっとしっかり公開して欲しいところではあります。当時駄目だったところを洗いだしてこそ、今の信頼につながるわけですし。

対策を表に出すと、クラッカーたちにさらに対策されてしまうという、たしかにソニーが言うようなリスクはあるのは確かですが、これからネットワークサービスを柱にしていこうという会社なのですから、そのあたりの信頼感を上げる取り組みには全力を尽くしてもらいたいところです。