『アトラス』ブランドを持つインデックスが民事再生手続開始

毎週木曜日はゲームがいろいろ発売される日。今日発売の注目タイトルは、「新世界樹の迷宮」でした。

新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 - 3DS

新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 - 3DS

自分もDS版の時は新納氏の語るビジョンに興奮し、古代祐三氏のFM音源GMゲームブック風の演出に心踊らされたものです。ただ、ゲームの歯ごたえが相当であったため、途中で積みゲーに。最近では3DS世界樹の迷宮IVを買い、難易度などを簡単でプレイしていたものの、やはり途中で面倒になってやめてしまっていました。今回の新世界樹の迷宮はIのリメイク的作品で、操作性や難易度などで簡単なものも選べるなど惹かれるところもあったのですが、最近はもっぱらゲームの大半の時間をドラクエXに費やしているため、どうせ積みゲーになると思って見送っていたところです。

そんな中、この新世界樹の迷宮の発売日に大きなニュースが飛び込んできました。それは、アトラスのブランドを所有する株式会社インデックスが民事再生手続き開始したというものです。

インデックスが民事再生申し立て 負債約245億円 - ITmedia ニュース

元々、インデックスはだいぶ前より経営悪化が伝えられており、さらには今月12日には「粉飾決算強制捜査」という最悪なものが出ていました。

インデックスに粉飾決算の疑い 監視委が強制調査 - ITmedia ニュース

上記報道が出てから株価はストップ安の連続、ゲームファンの中でもアトラス含めてインデックスが潰れるのは時間の問題と思われていましたが、ついにXデイが来てしまったという感じです。

気になる「アトラス」ゲームの行方

さて、こうなるとゲームファンにとって気になるのは「アトラス」のゲームの行方。結構勘違いされている方が多いみたいですが、既に「アトラス」という会社はありません。インデックスの子会社でもありません。今はインデックスに吸収されており、あくまでインデックスの「アトラス」ブランド、一部門という扱いになります。

アトラス (ゲームブランド) - Wikipedia

このため、「アトラスごとどこかが買収」というのはそう簡単な話ではないようです。インデックスのプレスリリースでは既に民事再生申請は東京地裁で受理されており、今後はゲーム関連などはスポンサー選定の上譲渡していくと書かれています。

民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ - 株式会社インデックス

この譲渡の方法がどうなるか、ですね。アトラスというブランドでまとめてこれまでの版権ごとどこかに譲渡するかもしれませんし、タイトルごとで切り売り的な形になるかもしれません。ネットだと、3DSでの真女神転生IVや世界樹の迷宮などの関連で任天堂に買って欲しいという声や、ペルソナシリーズで馴染みのあるソニーに支援して欲しい、はたまた昔の縁でバンナム、アーケードつながりでセガ、ソーシャルで儲かっているガンホー、とかそういういろいろな可能性が議論されているところです。

影を落とす「粉飾決算」疑惑〜有罪時のリスク

ただ、こうした譲渡において、6/12の「粉飾決算」疑惑での強制捜査の件は、結構大きく影響してきそうな気がしています。というのも、世間的には「粉飾決算強制捜査食らっているブラック企業」。一般紙の今回の報道の見出しでは、この粉飾決算の話とからめているところも多いですからね。

粉飾疑い「インデックス」、民事再生法適用申請 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
インデックス再生法申請 粉飾の疑い、負債245億円  :日本経済新聞
時事ドットコム:インデックス、民事再生法申請=負債245億円、粉飾疑惑で強制調査
インデックスが民事再生法申請 負債総額245億円 売上高水増しで強制調査受け - MSN産経ニュース

これらの見出しなどから見れば「粉飾などでごまかしていた犯罪会社が倒産しただけ、自業自得」と、一般の人に受け取られても仕方ないところはあるでしょう。

また、この粉飾決済においてアトラス関連の社員が絡んでいない保証もありません。手口としては下請けの中小などと結託して架空発注を繰り返したというもののようですが、その発注にアトラスが絡んでいないとも限りません。事業譲渡で社員ごとどこかの企業が抱え込んだ時、その社員の中に粉飾決算に関わったものが混じっていたとしたら?たとえば任天堂が買ったとしたとき、後で社員がこの件で逮捕されれば「元インデックス、現任天堂の社員が逮捕」ということになってしまうわけです。

アトラスファン的には「アトラスは無実」「救ってくれればその会社は好印象」という発想になるかもしれませんが、こうした「負」のイメージも強く残る中、果たしてスポンサーとして現れる企業はどこか。企業イメージを大事にするところは、慎重になる可能性も考えられると思います。

悲惨な結果にならないことを期待

なんだかんだで、今回の一番の被害者はまず債権者。民事再生法の仕組み上、今回のインデックスの申請により貸していたお金がかなり無効にされてしまいます。再生できず破産すれば戻ってくる分が0になるのでまだマシですが、それでも貸し付けていた側、それから株主などはかなりの痛手となるでしょう。

民事再生法 - Wikipedia

また、身近な被害者としてはやはり「アトラス」ゲームのファン。世界樹女神転生、ペルソナと、どれも数としてはミリオンというものではないものの、数十万の濃いファンを抱えていたシリーズです。このままスタッフが離散したり、ブランドが切り売りされて変な会社が持ってしまい、過去のゲームを汚すようなことをしないとも限りません。そうなるのは勘弁してほしいと思っているでしょう。願わくば各シリーズの新作もまだ発売して欲しいと思っているでしょうし。

今回の件、悪いのはどう考えてもインデックスであり、その一部門にすぎないアトラスもかなり厳しい状況なのは変わりません。ただ、広報のツイートなどでは、まだ頑張っていく旨が伝えられています。

「アトラスは永久に不滅クマ!」 人気ブランドの行方にネット騒然、公式アカウントに声援も - ITmedia ニュース

状況が状況だけに、こうした発表もある程度眉唾で受け止めなければいけないところもあるのですが、トータルとして悲惨な結末を迎えることがないよう、事態が進行して欲しいですね。まずはインデックスが粉飾決算についての詳細を明らかにし、罪があるならば罪を償うことからでしょう。それなくしては、事業譲渡もまともに出来ないと思うので。