XBOX ONE追加情報〜360ソフトの互換なし、インストール&認証機構など

昨晩発表された次世代XBOX、「XBOX ONE」。非常に駆け足の発表で、詳細部分がよくわからないところがあったのですが、これについてFAQという形でMSが情報公開しているようです。Engadetが補足説明も入れてまとめていますね。

マイクロソフト Xbox One:後方互換やネット認証、中古ゲーム対応などFAQ公開 - Engadget Japanese

360との互換無し〜360延命、XBOX ONE普及遅れの恐れ

大きな点はなんといっても360との互換性。これについては「無い」と明言されています。PS4と一緒で、アーキテクチャPowerPCからx86に変化したため、互換性がなくなったということのようです。これはかなり大きいですね。現状、据え置きゲーム機はただでさえハードルが高いものとなっているのに、買い替え需要も生まれないわけですから。PSPとVitaで互換性の無さから完全に流れが寸断され、足し算してマイナスになるという効果になったのは記憶に新しいところ。WiiUのように互換性があるからといって必ずしも売れるわけではないのですが、互換性が無いことで普及の妨げになるのは容易に想像できる点ではあります。

現状据え置きでは日本ではPS3、北米では360と優位を築いているだけに、少なくとも2,3年はPS3と360が主役であり続けるのは確定という感じがします。PC,PS3,360のマルチが本筋で、少しずつPS4XBOX ONEのソフトが売れていく、という感じですかね。WiiU向けが出るかどうかは任天堂の譲歩次第でしょうか。

オンライン認証機能〜中古ソフトでもいろいろ枠組みありか

その他では、ソフトのインストール機能と、オンライン認証機能が語られています。360ではディスクをイメージ化してHDDに内蔵、起動時のディスク認証必須でしたが、XBOX ONEではオンライン接続での認証でディスクレスプレイができそうです。ただ、この仕組みがある分、中古ソフトや他人とのソフトのやりとりなどでこれまでみたいなフリーダムなことはできない模様。アカウントIDとの関連付けや、ソフト権利のトレードみたいな仕組みを何か導入するっぽいですね。詳細はまたE3とかみたいですが。

個人的には中古に売ることはほとんど無いのでこの手の認証は特に気にならないのですが、過剰に嫌う人もいるので、マイナス要因にはなるかもしれません。

クラウド機能、プレイヤーAI化など

その他については、クラウド機能としてセーブデータの保存だけでなく、プレイデータの保存とかも書かれていますね。それから、以下のASCIIのページ見ると面白いことも書いてあります。

ASCII.jp:Xbox Oneは家庭に1台のマシンになるか? スペックをチェック

特にXboxLive関係。SmartMatchが、操作遅延も考慮してマッチング、というのはどんなものかちょっと興味深い。さらにおもしろそうなのはLiving Gamesというところ。プレイヤーの行動を学習し、AIとして他人が仮想的に対戦できるというもの。例えば格闘ゲームとかで自動的に行動パターンを学習、その人がオンにいなくてもAIと対戦できるという訳です。人工ウメハラと対戦とか、どんな感じになるのやら。レースゲームではよくゴースト機能というのがありますが、それの拡大版という感じですかね。

Kinectも大幅進化〜同時認識数向上、脈拍検知も

後は、新型Kinectについて。これも1080P 30FPSというところまでは情報を追っていましたが、細かく見るとかなり精度があがっているようです。

Xbox Oneの新Kinectは大幅進化、表情や心拍も認識。6人同時に全身キャプチャ - Engadget Japanese

Kinectはロマンですねぇ。これまでのKinectでも、ヒューマンインタフェース関連の研究ではある意味デファクトスタンダード的に使われていたりします。値段もこの手のデバイスとしては安価ですし、それでいて奥行き情報まで取れる性能が破格でしたからね。今度のKinectはさらに精度が高くなり、同時認識についても向上している模様。脈拍までとれるというのは、ホントかよという感じもします。たしかに皮膚の上の血管の動きとかで取れなくはないと思いますが、表面に出ているところなんて始終変わるしオクルージョンも始終発生するので、精度でないと思うんですがね。

最も気になるのはコスト。これが本体に同梱されるとなると、XBOX ONEって4万円は確実に越えてきそうな印象です。WiiUがGamePadのコストがかなり重荷になっているように、XBOX ONEKinectのコストがかなりの重荷になる気も。この手のデバイスに頼らないPS4が、性能あたりの価格としては一番コストパフォーマンス良い形になりそうな印象です。

まとめ〜かなり冒険的な仕様、成功するかどうかは懐疑的

以上、追加で出てきた情報を見てきましたが、いろいろと挑戦的な仕様が含まれていますね。技術的、ビジネス的興味を引く内容ではあるのですが、商売としては厳しそうな印象もします。発表会で押しまくっていたTV連携も相当地域依存性が高いですし、日本ではWiiUですらTViiがろくなサービスになってないのを見ても絶望的ですし。その他、互換性がないことについては日本での360市場がすでに終息しているのであまり影響はないとは思いますが、世界的に見ても鈍化要因にはなると思われます。

正直こういった内容を見ていて「日本じゃ年内発売せず、出すにしても数ヶ月遅れになるんじゃ?」とも思ったのですが、本田氏が口頭で聞いたところによれば「世界同時期ロンチ、日本も当然含む」ということみたいです。

Xbox OneはTVも取り込み家庭内エンタメの中心へ -AV Watch

ぶっちゃけ、日本じゃ売れないでしょう、XBOX ONEは。XBOXのイメージがそもそも悪いですし、今見えてるものも日本で受けなそうなサービスばかりですし。よほど和ゲーの独占タイトルが出てこれば別かもしれませんが、これだけのハードを使いこなせる和サードが果たしてどれほどいるか。低ポリゴンモデルを高解像度レンダリングしてだしてるメーカーだらけですし、当分は据え置きはPS3止まり、あってもそれをPS4でも動くようにする、程度しかできない気がしますね。根本的に、「ハイスペックでなければ意味が無いゲーム」というゲームデザインが得意でないですし、それをやる体力も無いですから。

個人的にはゲームハード好きなのでロンチでどちらかは手を出したいところではありますが、現状だとPS4ですかねぇ。こっちもこっちで単なるゲーミングPCであまりおもしろみはないんですが。面白みとしては新KinectとかXboxLiveのAIとかはあるんですが、現時点の情報ではなんとも。

6/11からのE3で、ゲームなどの詳細も出てくるでしょう。ただ、据え置きゲームも現状和ゲーはオタク向けのみ、洋ゲーも過去の日本の後追いのようにマンネリ化が進んでいる状態。シリーズ物の4や5といったものが続くだけでは、PS3や360を越える成功は見えてきません。スマホタブレット、その他の娯楽が渦巻く中、据え置きゲーム機が生き残ることができるのか。今度のE3は業界全体として正念場となって来そうです。