スクウェア・エニックス、130億円の赤字に下方修正〜和田社長が引責で退任

今週末にはWiiUドラクエXをリリースするスクウェア・エニックス。そのスクエニが今日大きな発表を行いました。大幅な赤字への下方修正、そして和田社長の退任です。

4Gamer.net ― スクウェア・エニックスの和田洋一氏が代表取締役社長を退任
UPDATE2: スクエニHD<9684.T>、ソフト不振で今期最終赤字に転落へ 6月に社長交代 | マネーニュース | Reuters

赤字の主要因は「欧米向けゲームの不振」

赤字についての直接の原因は、欧米向けの家庭用ゲームの不振。Sleeping Dogs、Hitman、そしてTomb Raiderなどスクエニが送る洋ゲーが不振だったことが大きかったようです。その他のドラクエやFFなどについての言及は特に無し。まあ、SankeiBizだけは相変わらず「ドラクエX不振のせい!」とか書き立ててますけど。

スクエニHD、赤字転落で和田社長が引責辞任へ 6月交代 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

もっとも、スクエニは元々ドラクエとFFの本編に極度に依存した経営でしたし、その本編で爆発的に利益を上げられていないのが今のような状況を招いていると言えなくはたしかに無いんですけどね。とはいえ、MMOという構造上、今まで通りの売上推移というのは難しいとは思いますが。それはそれで「MMOにすべきじゃなかった」という指摘を受けるんでしょうね。

和田社長もついに退任へ

今回の赤字を受けて、とうとう和田社長も退任。取締役からすら退くような感じです。和田氏といえば、一時期はCESAの会長としてゲーマーにいろいろ喧嘩を売るような発言をして敵を作っていました。自分が一番最初にカチンと来たのは「アップデートがあるからデバグ費用軽減できる」発言でしたでしょうか。

「アップデートがあるからデバッグコストは軽減できる」 by CESA会長和田氏 - わぱのつれづれ日記

今のVitaやWiiUの不安定な状況やNewラブプラスやシェルのサージュのような「バグあると分かっていてリリースした」みたいな惨状を見ると、ゲームへの信頼や期待感を損なう形にやはりなってしまっている感じがしますね。

それ以外にも、第一を御しきれずにいまいちな完成度で製品にしたり、FF14をひどい有様で出したり、DS実用ゲーム注力してコケたりと失策続き。スクエニの開発のグダグダに、社長のはやりをなぞる斜め上の戦略が組み合わさって、結果的に現状大手では一人負けのような状況にもなっています。4Gamerの記事のはてブのコメントを見ても、かなり辛辣なコメントが多いですよね。「遅すぎた」という。

一時期は自分も、ゲーム愛の感じられない和田氏を相当敵視していたことがありましたが、最近はそこまででもありませんでした。個人的に、眼を向ける対象自体は大きく間違っていなかったようには思うんですけどね。実態と結果が付いてこなかったですけど。スクエニという組織にあっていなかったというか。ゲーム層の拡大、海外市場での成功、この2つが成し遂げられなければ日本のゲーム業界が待つのは緩やかな死だけと思っていたので。結果的にどの会社も夢破れ、今はオタクゲーマーなど狭い客層相手に完全版商法やら特典商法やらでとにかく単価を上げる戦略に陥り、この有様な訳ですし。焼畑農業の先に何があるのやら、という印象なので。

スクエニの復活はあるのか?

スクエニといえば、セガサターン、PS、64の争いに引導を渡したドラクエFFを要する、ゲームハード戦争ではキーパーソンでした。しかし、今ではFFはかつての輝きは失い、ドラクエは維持はしているもののスクエニを支えきるほどのペースで出せてはいません。結果、過去の作品のリメイクを繰り返し、身を削りながら日銭を稼いでいるような状態となっています。

開発費の問題に悩まされた関係で、今後はソーシャルへの傾倒を進めていくのでしょうが、すでにスマホ移行で開発費も上がってきており、さらに独り勝ち傾向が強いソーシャルでどこまで勝ち組になれるのか。バンナムなど他の大手も参入しているだけに、先行きが明るいかというとどうだろう、という感じもします。

後は、コンシューマーゲームにおいてどの程度利益構造を築けるかですね。ドラクエのリメイクもそろそろネタ切れですし、FFリメイクもドラクエほどの売上は期待できません。まずはドラクエXでどれだけ回収できるか、そしてFF・ドラクエ本編をいつどういう形で出せるか、でしょうか。社長交代で事態が好転するかどうか。今後も正念場は続きそうです。