任天堂、3DS「うごくメモ帳3D」発表、今夏サービス開始・一部有料〜DS版うごメモは5月末で打ち切りへ

WiiUは不調ながら3DSの好調は続く任天堂。今日ちょっとNintendo Directが公開され、その3DSで、また一つのサービスが発表されました。

ちょっと Nintendo Direct うごくメモ帳 3D 2013.3.13

発表されたのは、DS版で長く続いていたうごくメモ帳の後継サービス「うごくメモ帳3D」。3DSにネイティブ対応し、3層のレイヤーで立体の記述も可能、色数も増え、AVIへ書きだして動画投稿サイトなどで共有もできる、という仕組みになっています。無料で使えるお絵かきツール、というのはいいんですがなんで動画形式AVIなんでしょうね、MP4でなく。ウェブ投稿考えるならMP4の方がよさそうなんですが。

一方、コミュニティ機能としてはDS版とは異なり、一つはフレンド同士のやりとりが無料で提供。加えてサーバーを介する交流はワールドワイドとなりますが、これははてなの運営ではなく任天堂の運営となり、さらに有料サービスとなるようです。一応ドラクエXで言う「キッズタイム」みたいな無料利用時間は用意されるようですが。

有料のコミュニティサービスなんて、あまり見たことないですね。ニコニコが近いといえば近いですが、画質とかの制約はあれど時間制限はないですし。あと、そもそもMiiverseとなぜ別々に用意するのか?最初から一体化した形でニンテンドーIDで管理するシステムにしておけばいいのに、とも思うんですが。PSN+とかXboxLiveゴールドみたいに、ネットワークサービスの有料プレミアムとして、うごメモ3Dの高機能部分が利用可能、とかの方がスマートな感じがします。似たようなサービスをいくつも抱えるのは、逆にコストかかりそうな気もするんですけどね。自社ユーザーの分散もしてしまいますし。有料コミュニティで無料時間制限ありでは肝心の「見て褒めてくれる人」が増えず、投稿者のモチベーションにもつながらず盛り上がらないような気もするんですが…。閲覧無料、投稿有料、ただし高評価受けたら無料、とか?何かもうちょっといいエコシステムの作り方があるような気もします。

DS版のコミュニティサービスは5/31で終了

一方で、DS版の「うごメモシアター」と「うごメモはてな」については、5/31を持ってサービス終了となります。

うごくメモ帳:「うごメモシアター」および「うごメモはてな」サービス終了のおしらせ
「うごメモシアター」と「うごメモはてな」のサービス終了について - うごメモはてな日記

こちらの方がかなり大きな反響となっているようですね。上記ページでかなりのコメントが書き込まれています。はてなブックマークも200を超えるような状態ですね。こっちははてな民のはてなそのものへの心配がかなり混ざってますが。

はてなブックマーク - 「うごメモシアター」と「うごメモはてな」のサービス終了について - うごメモはてな日記

たしかに、4年も続いたサービスがわずか2ヵ月後には終了というのは、急な感じがします。代替となるサービスが6月1日より開始されるならまだしも、うごメモ3Dが開始するのは今夏となっており間があくのも謎。さらに、サービスの引継ぎも今のところないようですし、同様のコミュニティサービスは3DSでは有料になってしまいます。これは戸惑うなという方が無理でしょう。

これまで投稿されている作品についても、現状のアナウンスでは5/31を持って見れなくなるとのこと。今まで作品を作ってきた人にとってはかなり残念でしょうね。せめて作品の新規投稿ができないだけで、閲覧自体は1年ぐらい猶予をもたせるべきかと思うんですが。むしろ、うごメモ3Dも無料部分では今までのうごメモも2Dで見れるようにしておけばいいのに、と思うんですけどね。新規投稿は中止にしても。運営がはてなから任天堂に移るようですが、その辺はデータだけコンバートして。はてなIDでの交流も、うごメモ3D側にコンバートできるようにすればいいのに、とも思います。せめてサーバー利用が無料ならよかったんですが、有料なのでここで完全にコミュニティ分断が起きるのは明らかですしね。キッズタイムの詳細が分からないのもまた不安を煽る要素でしょう。

「1000億円営業利益コミットメント」の余波?〜顧客との良好な関係継続を

任天堂は、来年度は1000億円の営業利益というのを早々に岩田社長がコミットメントしてしまったせいで、あまり気前のいいこともできずとにかく利益を上げなければいけない状況に追い込まれています。ただ、これまで無料で提供していたものをいきなり終了、代替用意には間が空き、さらに有料というのは、なんか任天堂のイメージに合わないきがしますね。WiiUも明らかに作り込み不足の中「何としても商戦期に出して数売らないと!」と焦って出して、結果不具合や不満の連続。DQX関連でトラブルを今日も起こしていますし、アーリーアダプタや長年任天堂を支持してきた層の信頼をゴリゴリと削っている気がします。

Wii U本体で発生するエラーについて(エラーコード 105-3123)

むしろ、1000億円のコミットメントなんて破棄していいから、顧客満足度向上第一に施策を打って欲しいぐらいなんですけどね、一ファンとしては個人的に。別に、我々は投資家ではないですし、任天堂の利益を楽しみにしているわけでも無いですから。「任天堂らしい利益」と岩田社長は決算などでよく口にしますが、それだけが任天堂らしさでもないと思うんですよね。「簡単、安心、無料」の以前の言葉にあったような、信頼感というか、安心感というか、温かみというか。そういった任天堂のイメージなどを好いているのであって、儲かっているから任天堂が好き、というのは違うようにも思います(投資家はまあそうなんでしょうが)。

「長時間、顧客との良好な関係を築いていく」、これは岩田社長がガチャがらみで質疑応答されたときに話した言葉です。資本主義の社会において、利益を追求するのは企業の使命であるとは言えますが、あまり投資家からの目ばかり機にするのではなく、「任天堂らしさ」を大事にして顧客との良好な関係を築けるよう、ファンの期待や信頼を裏切らないビジネスをお願いしたいものです。まだうごメモ3Dのサービスインには時間があるようので今からでもDS版のユーザーへのさらに厚いフォローを見せてもらえると、より魅力的に映ると思うので頑張っていただいところ。その他の面でも高い完成度、豊富なソフト、満足行くサービス、これらを徹底していただきたいところです。客を騙したり売り逃げしたりして会社の信用を切り売りし日銭を稼ぐひどい日本の会社が多い中、任天堂には模範となる会社でいてほしいな、と思います。