WiiUダイレクト ニンテンドーゲームズ開催〜今後のタイトルの予告も、開発遅れが露呈

毎週水曜日は週販発表ということで、先週のランキングが発表となり、WiiUの週販が明らかになりました。

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どちらも似たような数字で1.6万台。PS3は1.9万台と、今回は両方の集計でPS3を下回りましたね。それどころか、PSPとも非常に僅差になっており、来週には逆転も想定されます。

キラータイトルの一つのNewマリオUとモンハンHDを要してのこの状態。本体ソフトウェアの完成度がまだ低く、ソフトタイトルも不足している中、状況の好転が見えないわけですが、そうした状況をなんとかしたいという意図か、本日「WiiUダイレクト ニンテンドーゲームズ」が開催されました。

Miiverseの紹介と拡張計画

まずはMiiverseについて。中で起きていることが外の人には分からないかも、という話から、実際の「ちょっといい話」的な感じで内容紹介がありました。これは日経インタビューであった以下の部分についてのフォローのつもりでしょうか。

岩田社長は海外の任天堂関係者、複数の人から、こんなことをいわれた。
「どうも、ツイッターなどのSNSで任天堂ファンの旗色が悪くなっている。調べたら、今まで任天堂寄りの発言をしてくれていた人たちがミーバースでハッピーな状態にあるので、ネットでは発言しなくなってしまったようなんです」――。
夢中と依存の狭間 任天堂・岩田社長が守りたいもの  :日本経済新聞

Miiverseツイッター連動機能とかないですからね。つければいいのに、とも思うんですが。Miiverseがクローズであることが差別化要素だと考えているのでしょうかね。ソーシャルゲームの囲い込みの理屈と同じで。イラストのリンクとコミュニティのハッシュタグ付けてツイッターにも連動投稿できるようになれば、もっとポジティブな拡散がしやすくなると思うんですけどね。

この紹介において非常に気になったのが、「投稿主のIDや名前を一切隠さず流していたこと」。もしかしたら規約にそういうことを任天堂がしてもOKというものが書いてあるのかもしれませんが、それでもこういう単に紹介したいだけの映像の中でわざわざIDをそのまま晒してしまう必然性を全く感じません。こういうときは個人が特定できないよう、名前やIDにはモザイクなどをかけるのが礼儀だと思うのですが。任天堂の意識がこんなものだったというのは、ちょっとショックでした。

その他、Miiverseの拡張して語られた、ユーザーコミュニティの追加、一つのソフトでの複数コミュニティ、さらにフィルタリング機能の追加とかはよさそうですね。今はどうしても雑談ばかりになったり、関係ないお絵かきが人気になって会話が埋もれたり、プライベートにしたいコミュニティ会話も全部見えてしまうなどがありますから。個人的には、人気のあるコメントに一度自分がコメントつけると、それ以降他の人がコメントするたびに通知が来るのが鬱陶しいです。この辺も改善してほしいですね。サーバー側で随時改善していく予定のようなので。

あとはピクミン3やWiiFitUのMiiverse連携がここで少し触れられた形です。それと、春にスマホのブラウザからMiiverseが見えるようになるとのこと。その後にはスマホアプリも出すそうです。任天堂iOSアプリとか、なかなか胸が熱くなりますね。iTunesで見るのが楽しみです。

WiiUでもバーチャルコンソールWii版を持っていても有料・優待価格で

続いてはバーチャルコンソール。これまでWiiUではバーチャルコンソールが何故か無く、Wiiメニューの中でWiiの互換機能としてやることしか出来ませんでした。これが、WiiUにも拡充されるようです。

ただ、たとえWii版を持っていたとしてもWiiU版は有料。優待価格ということでファミコンは100円、スーパーファミコンは150円かかります。PSVitaUMDパスポートみたいなものですね。ただ、同じダウンロード版なのに追加費用が発生するというのはどうなんでしょう。PSのアーカイブスはOS自体にエミュレータを持たせて、データ自体は単にPSのものそのまま、みたいな感じですが、WiiのVCの場合はソフトごとにエミュレータをくっつけて動作確認をとったあとリリースしている形。このカスタムエミュレータWiiU用に置き換え、動作確認をとる必要があるから費用が発生するということなんでしょう。WiiUではMiiverseにも対応、GamePadでのプレイもできるなど良さもあるのですが、すでに数十個とか持っている人だと、全部をWiiUでやるかどうかためらわれるところでしょうね。こんなことならば、Wiiの互換メニューをGamePadでも表示するようにすればいいのに、と感じます。もしくは追加機能無しで無料でWiiU版とか。3DS版でも別料金ですし、同じソフトをプラットホームごとに金をとる、ということに関してはどうも任天堂はグダグダして世の中のトレンドに載っていない印象がします。今はマーケット毎にコンテンツ流用が効くのが普通ですので、ニンテンドーIDにソフトタイトルを割り当て、ソフトを買ったらどの機種でも使える、という形にしてほしいところです。

なお、ファミコン30周年ということでこれから毎月1本、30円でソフトを30日間限定で配信するということ。VC自体は3月以降の開始のようですが、先行版という感じですかね。30円ならまあ買っておいてもいいかな、という気はします。バルーンファイトMOTHER2、FEなどが来るようですので。

本体機能の改善は春、夏の2回に分けて

続いて、WiiU不振の大きな要因の一つとなっているソフト起動の遅さやメニュー表示の遅さなどについて。これについて、以前より「改善する」という言葉はインタビューなどで出ていたものの、具体的なマイルストーンは示されていませんでした。これについて、今回示されたのは「春と夏の2回にかけて」というもの。せめて何月とかの数字くらいは出してほしかったところですが、4月と7月、ぐらいと見ておけばいいんですかね?せえめて2月ぐらいには最初のアップデートは来るかと思っていたのですが、ちょっとがっかりです。そもそも、そんなに直すのに時間がかかるというのもどうよ、という感じも。11月の発売の時点ではとりあえず形にしただけ、って感じだったんですかね。性能的には現行ライバル機種とさほど差はないのに、基本部分の開発だけでこれだけ時間がかかってしまうのは、前々から感じている「システムソフトウェア開発の弱さ」が露呈している印象です。

任天堂タイトル発表〜定番タイトルといくつか映像も、発売時期明示できず

その後、ソフトの話へ。ここでいきなり岩田社長の謝罪で、「1月2月に任天堂ソフトが出せない」とのアナウンス。クオリティが十分でないから、と。謝罪には誠意は伝わってきますが、がっかりな内容ですね。正直、「なぜそれなら11月、12月に出した?!」という感じ。たしかに年末年始商戦であれば、任天堂ブランドと信頼性があれば大量に売ることは出来たでしょうけど、これでは無理やり商戦期に間に合わせただけ、という印象が否めません。ある意味、任天堂の信頼性をWiiUで切り売りしてしまった感じもします。

その後具体的な紹介としてプラチナゲームズのタイトルが二つ動画。101はゲーム画面、ベヨネッタ2は開発現場の映像で、まだまだという感じ。ソニーがVitaのゲーム天国でクリエーター動画ばかりで大顰蹙でしたが、やはり開発ができてなければ任天堂もこうなるんだな、という感じがします。WiiUパーティについては動画付きでしたが、なかなか地味でした。

その後、定番タイトルとして3Dマリオ、マリカ、スマブラについて。これらは今は映像なし。マリオとマリカはE3でプレイアブル、スマブラは映像が用意されるとの桜井氏のコメント。その後、「ここまでは当然出るだろうと思っていたタイトルだったでしょから」と2本紹介。おお!と身を乗り出してみましたが、一つは毛糸のカービィのチームの新作がヨッシーで。もう一個が今回一番のサプライズでしょうか、真女神転生とFEとのコラボタイトル。「任天堂だけでは開発しきれない」というコメントもあったので、メイン開発はアトラスですかね。ロンチの時期でサードもソフトを投入するにもリスクがあるので、こういう形で開発委託というのが、どうしても必要になるでしょうし現実的な策でしょうね。果たしてどんなソフトになるのか謎ですが。

その他ではゼルダモノリス新作。ゼルダは映像はE3まで出ず、とりあえずコンセプトとして「アタリマエを見直す」とのこと。固定ファンの反発を招かないといいんですけど。また、時間稼ぎとして風のタクトのHD版を出すとのこと。GCを持っていないので、特に感慨もないですね。モノリス新作はなにやらPSOっぽい感じ。グラフィックは綺麗でしたね。チャット画面とかもあったので、モンハン的なMOなんでしょうか。ゼノブレイドの評価が高いだけに、注目されているようです。ただ、キラーと言えるかというと正直微妙な印象も。

まとめ〜4月までWiiU新規購入は待ちでOKか、E3に期待

以上、ざっと紹介された内容を見てきましたが、かなり開発で苦しんでいるのが伝わってきましたね。自分が先日の記事であげた最低限の内容として「任天堂タイトルをとりあえずタイトルだけでも見せる」「本体機能改善のマイルストーンを明確にする」というのはクリアしており、とりあえず苦しい中でも出せる情報は最大限出して誠意を見せた、という評価はできると思います。

ただ、絶対的な評価としてみると、各ソフトには発売時期の明示は無く、そもそも1,2月は任天堂ソフト無しが確定。本体機能更新も春からなので4月とかそのあたり。今年度内、WiiUが盛り上がる要素が全然ない、というのが露呈しているとも言えます。自分はもう買ってしまっているので、ただ受け入れるしか無いのですが、これからWiiUを買おうという人でも少なくとも春の本体機能更新のアップデートが出るまでは無理して買わなくてもいいと思いますね。ソフトを求めるなら、それこそE3を待ってその映像見てから判断してもいいと思います。

Miiverseがクローズなこともあり、好意的な意見が外に広がっていないというのもあります。そもそも現状で好意的な口コミがガンガン広がる、というのもどうかと思いますしね。個人的には現状3DSには満足しておりソフトも楽しんでいるのですが、WiiUについては「年末商戦に間に合わせただけ」という印象が拭えません。累計は伸ばせたとは思いますが、その分週販での失速状況も露骨になって来ています。今回の発表を見る限り、今年度一杯は低迷するでしょうね、WiiUの販売は。毎月1本のVCソフト30円配信に釣られて買うような層は相当かぎられているでしょうし。

任天堂はこうした開発での問題をうけて、新社屋に携帯ハード・据置ハードの合同の部をつくると日経が報じています。

任天堂、革新的ゲーム機開発へ体制一新 9年ぶり :日本経済新聞

たしかに、3DSは好調な一方でこの据置のグダグダを見ると、構造改革が必要に思うのも分かる気はしますね。

今回のWiiUダイレクト、恒例の感想は「とても良かった61.3、まあまあ22.5、ふつう7.1、あまり良くなかった4.1、良くなかった4.9」というもの。良かったが83.8%ではありますが、いつもはもっととても良かったに集まる傾向にあるダイレクトだけに、幾分ファンにも受けがよくなかったようにも写ります。3DSの2013年の国内市場における主役は疑いようも無いのですが、海外での展開や据置についてはかなり不安要素が残ります。3月以降ソフトが出てくるまでは、相当厳しい状況に立たされるかもしれませんが、任天堂がどう乗り切っていくか。とりあえずは体験版でもダイレクトでも、頑張って関心をつないでいくことは重要でしょう。ネガティブな関心すら失い、完全に無関心になってしまうとかなり深刻でしょうし。

今度のE3では、MSやソニーも次世代機をアナウンスするのでは無いかと噂されています。任天堂はいわば今回ネタバレ的に情報を出しているわけで、E3では相当なクオリティのものを見せつける必要があるでしょう。また、もうちょっと「WiiUでしかできない」「GamePadでしかできない」ことを見せて欲しいですね。未だGamePadは「うん、便利かも」ぐらいの感想しか持てていないので。自分は特にDS,Wiiからの、任天堂キャラ物「以外」の任天堂ファンだけに、もっとそっちのアプローチでイノベーティブなソフトをたくさん揃えて欲しいところです。

いろいろ辛口な意見になってしまいましたが、任天堂にはWiiやDSで様々な楽しい思い出を作っていただけました。今度のE3は、相当な正念場となるでしょう。任天堂の底力に期待したいと思います。