2012年12月第5週週販・年間売上発表〜WiiU 4週目は7.7万台、市場規模は維持もPS陣営が減少

正月休みも明け、各種ニュース媒体なども今日から更新再開というところも多いですね。ゲーム関連では毎週水曜日に週販ランキングがありましたが、先週水曜日は1/2と三が日だったので無し、今日ファミ通エンターブレイン調べの数字を発表しました。

【ゲームソフト販売本数ランキング TOP30】集計期間:2012年12月24日〜2012年12月30日 - ファミ通.com

また、2012年におけるゲーム市場の売上速報も出ています。

2012年国内家庭用ゲーム市場

上記について、個人的に興味を引いた点について触れてみたいと思います。

WiiU 4週目は7.7万台〜Wiiのペースからは大幅後退

まずは任天堂の命運を担う双璧の一つである新ハードWiiUから。

Wii U プレミアムセット kuro【メーカー生産終了】 Wii U ベーシックセット【メーカー生産終了】

その前のクリスマス商戦の一番ピークにおいては約12万台と、Wiiの第3週と同等ながらクリスマス週の28万台と比べると遠く及ばない状態。12月第5週は12/24〜30とクリスマスイブ、クリスマスを含むとは言え、その前の週ほどは伸びないと予想されていましたが、案の定約7.7万台に留まってしまったようです。これでWiiが4週目までで約86.8万台だったのに対してWiiUは約63.8万台と、23万台もの差をつけられた形です。

(o^-')b★ゲームデータ博物館★Wii

この状況について、岩田社長はブルームバーグの記事で「Wiiほど爆発的に売れたという状況ではない」が「順調に売れていると認識している」とコメントしているようです。

WiiUの年末商戦、Wiiのときのように爆発的に売れたという状況ではない=任天堂<7974.OS>社長 | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters

まあ実際そんなところですよね。WiiのときはWiiSportsという未来のゲームを思わせるようなブームがありましたが、WiiUはGamePadぐらいで地味であり、あまりブームという印象はありません。Wii,DS,3DSと積み上げている好印象で家族需要が伸びていたという感じがします。現状ではソフトも移植などが中心。これからのラインナップも任天堂すらワリオぐらいしかまともにマイルストーンを示せていない状態で、この状態で爆発的に売ろうというのは無理があるとも言えます。それでも63万台という数字自体は他のハードの4週目までと比べればなかなかな数字ではあるので、「好調」という言葉を使うこと自体に問題はないでしょう。もっとも、初期値段高すぎのPS3(11月発売、年末まで8週で約46.6万台)、前機種が壊滅的だったXbox360(12月2週発売、年末まで3週で約8.2万台)とは状況がだいぶ異なるので単純比較はしづらいところですけど。

(o^-')b★ゲームデータ博物館★PS3
(o^-')b★ゲームデータ博物館★Xbox360

とびだせ どうぶつの森は6回目の週販トップ〜MHP3以来の快挙

ニンテンドー3DS コバルトブルー【メーカー生産終了】 ニンテンドー3DS LL ホワイト【メーカー生産終了】 とびだせ どうぶつの森 - 3DS

つづいては3DS。実質現在の日本ゲーム市場の主役ですね。本体は26.7万台とあいかわらずの好調です。そしてとびだせどうぶつの森は228万台に。エンターブレイン集計では6回目のトップということで、これは450万本売ったMHP3以来の快挙だそうです。岩田社長も日経の井上理記者とのインタビューでTwitterなどソーシャル部分との相性の良さ、ひろがりが功を奏していると語っていますが、実際そうかんじますね。DS版よりもあきらかに速度が速いですし。

任天堂・岩田社長が語る“本当の”ソーシャルゲーム  :日本経済新聞

「本当のソーシャルゲーム」というのは、以前自分も以下の記事で使っていた表現です。こうした表現が実際にインタビューを通じて出てくるのはなかなか感慨深いですね(上記記事内の岩田社長の発言だと「本物のソーシャルゲーム」ですが)。
「とびだせ どうぶつの森」DL版、50万本に達する見込み〜ソーシャルゲーム面でも任天堂が実力発揮 - わぱのつれづれ日記

ちなみに日本のWikipedia的な定義ではソーシャルゲームSNSを介して行うゲームで英語の「Social network game」の意味で使われることが多いようですが、英語的な「Social gaming」としてはMMOやカードゲームなども含むことばであり、3DSを介した人とのつながりを感じるゲームもソーシャルゲームと呼んでおかしくないと思います。

ソーシャルゲーム - Wikipedia
Social network game - Wikipedia, the free encyclopedia
Social gaming - Wikipedia, the free encyclopedia

日経の記事で示されるように、どうぶつの森では19〜24歳の若い女性が大勢本体と同時購入しているというのも興味深いです。たしかに、自分の知り合いの女性でもぶつ森やっている人多いですからねぇ。元々値下げ以降3DSは好調を維持してはいましたが、どちらかというとゲーマー向けソフトやマリオ関連が多かった印象。そんな中、どうぶつの森がDSの頃のファンにスマホで広がった新規ユーザも取り込み、客層としての土台を磐石にした印象もします。

2012年のゲーム市場売上速報〜昨年比98.9%、PS携帯機が大幅減

もうひとつ、2012年の売上について。こちらを見ると、全体の売上額としては昨年より微減の98.9%とのこと。ただ、昨年の結果と比較するといくつか傾向が見て取れます。

2011年国内ゲーム市場規模は約4543.8億円に――エンターブレインが発表 - ファミ通.com

機種 2011年 2012年 前年比
DS _71万1204台 __2万8627台 __4%
3DS 413万5739台 562万6763台 136%
Wii _93万7451台 _49万2999台 52.6%
WiiU _63万8339台
PSP 196万0177台 _94万1992台 48.1%
Vita _40万2794台 _67万4365台 167%
PS3 146万7261台 132万7185台 90.5%
360 _11万4075台 __6万7273台 59.0%

これを据置、携帯機というくくりで纏めると以下のとおり。

機種 2011年 2012年 前年比
DS+3DS 4,846,943 5,655,390 116.7%
Wii+WiiiU __937,451 1,131,338 120.7%
PSP+Vita 2,362,971 1,616,357 _68.4%
PS3 1,467,261 1,327,185 _90.5%
360 __114,075 ___67,273 _59.0%

こうして陣営ごとに分けてみると、任天堂は据置機も携帯機も1.2倍ぐらいに増えているのに対して、PS陣営はPS3は微減で済んでいるものも携帯機で3割減という大幅な落ち込みが見て取れます。(それ以上に落ち込んでる360もかなりアレですが。)このことから、PSでの落ち込みを任天堂が補った、とも言えるかもしれませんね。PSPからVitaに行かずに3DSに流れた層も結構いたような気もしますが。以下の記事でもカプコンが「PS向けに作ってない」と発言していますが、モンハンだのみだったPSP市場が急速に後退、その分をVitaで拾えていない印象です。

ソニー“ゲーム世代交代”失敗の代償 ミリオン消滅の危機 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

2013年のゲーム業界はいかに

以上、週販と年間売上について数字を中心に触れてみました。任天堂的には3DSは国内は予想より上の好調、WiiUはあと一歩という感じでしょうか。海外はもう少し調子の悪い数字が出ているようで、まだまだがむしゃらに赤字返上に向けて頑張る必要があるでしょう。

一方、PS関連は全体の縮小が目立ちます。PSPからVitaへの世代交代に失敗した中、据置ではPS3が存在感を発揮するもののゲームの多様性や本数などでは根本的に3DSに見劣りしている状態で、ゲーム業界における存在感という意味ではPSプラットホームが後退しています。SCEのファーストオリジナルタイトルは頑張っているのですが、いかんせんスマッシュヒットどまり。サードも含めたキラータイトル不足が深刻ですね。

2013年はE3で箱の次世代機が出るという話も出ています。今年はある意味、今後のゲーム業界の行く末を占うような大事になるような気がしますね。ゲーム業界好きの人間として、いろいろと楽しみです。