松井秀喜選手、現役引退〜20年間のプロ野球生活にピリオド

昨日、急遽騒がしくなった松井秀喜選手の去就。今年は開幕で所属球団がなく、シーズン途中でレイズが獲得し3ヶ月プレイしたものの成績が極度に低迷、その後来年の所属先も決まらずと言う状態でした。巨人からヤンキースに行く際に相当な覚悟を持って出て行っただけに、日本球界に戻ってくることはないだろうと思っていましたが、本日とうとうプロ野球生活から引退することが本人の口より発表となりました。

NHK NEWS WEB 松井秀喜選手 現役引退を表明

自分は、かなりの松井秀喜ファン。元々巨人ファンで松井は大好きだったのですが、MLBに移籍してからより一層熱心に見るようになりましたね。アメリカでも2回ほど松井の試合を現地で観戦したことがあります。このブログを開設したのは2004年3月ともう8年半前になりますが、開設当初はほとんど松井選手のヤンキース観戦日記と化していましたね。MLB移籍1,2年目は毎試合BSで観戦&録画し、HRシーンは個人的に編集してまとめ、ダイジェストDVDを作成するほどでした。特にクラッチなバッティングとレッドソックスとの息の詰まる接戦はいつもハラハラしながら見ていました。

そんな中、転機が訪れたのが第1回WBC不参加表明。ここでこれまでずっと人気だった中で、反感を覚える人が出てきてしまいました。それに加えて起きた、2006年の骨折。それまでの連続出場が途切れ、復帰後もベンチに下げられるようになりましたし、連続出場のツケが溜まっていたのか、その後も膝などの怪我で悩まされることになって鉄人っぷりは影を潜めました。それでも、チームに献身的なプレイをする姿は心を打ち、また相変わらずのクラッチぶりで打点を稼ぐ様は、ヤンキースファンにも広く受け入れられていました。

個人的にも最も印象的だったのはヤンキースでの最後のプレイになったワールドシリーズでのMVPですね。

ヤンキース、9年ぶりワールドシリーズ制覇!〜松井3安打1HR6打点でMVP!! - わぱのつれづれ日記

巨人、ヤンキースと渡り歩いて常に優勝を意識してプレイしていた松井秀喜選手。1年目に届きそうであと一歩で逃し、その後円がなかった夢のチェンピオンリングに、自身がMVPの活躍をして獲得されたというのは、もう感動、感動でした。レッドソックス時代によきライバルであったペドロ・マルティネスから打った2ランHRは、今見ても震えが来ます。

その後の満塁でのタイムリーは笑えるほど、最後は「MVP」コールというすさまじい状態でした。松井秀喜MLB生活における頂点でしたね。

ただ、そのシーズン中でもすでにジラルディ監督の起用法から出場機会が限られてきており、来季の契約が微妙な状態。WSでMVPながらエンジェルスに移籍することになりました。その後、エンジェルスからアスレチックスに移籍したものの、今期はシーズン初めには獲得球団無し。途中でレイズと契約になるもマイナーではいまいちな成績のままメジャー昇格。本人も「もう少し時間が欲しい」とめずらしく弱気なコメントも見られましたね。それでも、メジャー昇格しょっぱなでHRを打った際は思わず泣きそうになりました。

松井秀喜メジャー昇格初安打で2ランHR! - わぱのつれづれ日記

しかし、その後は成績は極度に低迷。松井選手に敬意を持ってクリーンナップで使われた中で結果が出なかったことが、本日の引退会見を見る限り大きな引退理由となったようです。個人的には、このオフまたしっかり調整し、シーズン初めから出場できればまだまだ結果は出せると思っていたのですが、所属先がないという昨年と同じ状態なのが今年の結果の再現を思い起こさせ、辛かったのかもしれません。

「もう少しいい選手に…」/松井一問一答 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

引退会見での一問一答。本当に謙虚で誠実ですよね。こうした人柄も含めて大好きです。巨人への復帰を長嶋監督に薦められたそうですが、実際には現在の巨人で怪我を抱えた松井では居場所はないでしょう。巨人でのカリスマを考えれば、読売としてむりやり松井をねじ込むことはできなくないのかもしれませんが、それは松井選手としても望むものでもなく。パ・リーグなど他の球団のDH中心なら、集客能力も含めてまだまだ需要はあったのでしょうが、そうしたことで現役にしがみつくことがないことは、ファンには分かっていたところはあります。一問一答の中、20年間の思い出で最大の思い出が長嶋監督との素振り、というのが、なんとも強い師弟関係を感じさせ、泣きそうになりました。

所属球団の無い中での寂しい引退となりましたが、大勢の報道陣が詰めかけたそうです。また古巣ヤンキースが異例のコメントを出しています。

引退惜しむジーター「松井は大好きな選手」 ヤ軍異例の声明発表  ― スポニチ Sponichi Annex 野球

これを見ても、またちょっと泣きそうになりました。ファンからも引退を惜しむ声が溢れており、実にいい時間を日米で遅れたんだな、としみじみ思います。

松井選手も、今後は解説者や指導者などの道を選ぶことと思いますが、まずは熟慮・勉強してからということのようですね。ファン、松井双方、無理のない形で次の生活が踏み出せるといいなと思います。プロとしての現役生活は終わりとなりますが、今後の松井さんの活躍を応援していきたいと思います。

また、MLBでは奇しくもイチローマリナーズからヤンキースに今シーズン移籍し、そのピリピリした勝負の世界に魅力を覚えて来季もヤンキースでプレイされます。松井が味わい、苦労し、頂点を極めたヤンキースで、イチローもまた輝いてくれることを楽しみに来シーズン観戦させていただきたいと思います。

以上、松井秀喜選手、本当に20年間お疲れさまでした。そして、とても貴重な思い出、感動をファンに与えてくれて、本当にありがとうございました。