PS Vita発売一周年〜今日までの流れを過去記事で振り返る

12/17、1年前のこの日、ソニーPSP後継携帯ゲームPS Vitaが発売された日です。

PlayStation Vita 3G/Wi-Fiモデル クリスタル・ブラック 32GBボーナスパック (PCHJ-10005)【メーカー生産終了】

現時点でのVitaの状況はみなさんご存知のとおり。ここでは、発売1年を自身の記事で触れた内容を中心に振り返ってみたいと思います。

発売前の状況〜景気のいい販売予測、好調な予約状況

発売前はファミ通の浜村氏が「半年で160万台」「初回限定版は足早になくなる」「30万以上狙えるタイトルが22本」と予想。
エンターブレインの浜村弘一氏が講演“ゲーム産業の現状と展望<2011年秋季>”を開催 - ファミ通.com

SCEJ河野氏も「3G初回限定版50万台を早期に売り切る」「3Gモデルをメインに売っていきたい」と語っていました。

ソニーの「ヴィータ」は「3DS」と競合せず=SCE幹部 | Reuters

実際、非常に盛り上がりを見せており予約が殺到。ネットでの争奪戦もありましたね。自分はAmazon予約開始時に運良く3G版を予約、その後念のため店舗でも予約に行きましたが100人以上はいるんじゃないかという行列になっていました。

PlayStation Vita予約開始〜Amazonなどオンラインでも - わぱのつれづれ日記
PlayStation Vita、店頭予約完了 - わぱのつれづれ日記

その後、しばらくしてから追加生産の話もあって予約再開。
PS Vita予約再開〜発売まで後1ヶ月 - わぱのつれづれ日記

この当時は自分も「初回限定版は早期に売り切れるのかも」と予想していますね。今となっては平和な時代だったというか。

3G版仕様に疑問も〜CEATECでの質疑応答

しかし一方でVitaの目玉でもある3Gモデルに付いてはいろいろ謎な点がありました。最初に詳細が出たのは9/14のプレスカンファレンス。

ソニープレスカンファレンス開催〜Vita 12/17発売、3Gプランやロンチタイトルも発表 - わぱのつれづれ日記

ここで、プリペイド式のドコモ回線が提供されることが発表になりましたね。このプリペイドプラン、20hと100hという時間制。しかも速度は128kbpsと非常に遅いもので、なおかつ100hは半年しか有効期限がないというものでした。3G回線でのダウンロードサイズ制限もあったりしましたね。

PS Vita、3G回線でのダウンロードは20MB制限あり - わぱのつれづれ日記

一方、気になったのはレイテンシなどが大きい3G回線でどの程度ネットゲームができるかということ。これについては、CEATECでドコモ説明員からいろいろ参考になる話を聞くことができました。

CEATECでPS Vita体験〜3Gサービスに対する一問一答 - わぱのつれづれ日記

格闘ゲームとかは厳しいという話でしたね。実際、そうしたリアルタイム性が必要なゲームは3Gでまだあまり出てない気はします。また、最小利用時間は2分ということでどんどん時間が消費されるのでは?という懸念もありましが、実際はスリープなどがかなり厳しく行われていたからか、問題になったという印象はないでしょうか。

あと「UMD Passport」なんてのもありましたね。

PSP UMD版所有者へ安価にDL版を提供する「UMD Passport」発表 - わぱのつれづれ日記

これも今となってはほとんど話題にも登らない印象です。やはり持っているソフトをさらにお金出してDL版、という発想にはならなかったということでしょうか?一体どの程度利用されているのか、気になるところでもあります。

12/17 PS Vita発売〜各種レビュー

そんなこんなで、12/17にPS Vitaが発売。自分は結局店舗に行くのが面倒になってAmazon予約のものを購入しました。当時のレビュー記事がこちら。

PS Vitaついに発売〜高い質感・イオンSIMも利用可能 - わぱのつれづれ日記
PS Vitaの要素をお手軽体験〜内蔵ソフト「ウェルカムパーク」レビュー - わぱのつれづれ日記
PS Vita用アプリ「ニコニコ」レビュー〜迫力ある動画再生も機能不足 - わぱのつれづれ日記

最初のころの印象としては、情報端末としてなかなかよく出来ているという印象でした。今もそれはそれほど変わっていないとは思います。ただ、結果的にはモバイル端末としてはスマホに、ゲーム機としてはソフト的に3DSに及んでいない、どっち付かずなのが現状でしょうか。

初週販売は32万台と好調も、急激な失速

そして発表された初週販売。これは予約状況を反映してかかなり好調な数字となりました。

PS Vita、初週販売は約32.1万台〜3DSを下回る - わぱのつれづれ日記

ただ、ちょうど3DSも捨て身の1万値下げによるブーストがあって週販では惜しくも届かず。翌週には、クリスマス週にも関わらず大きく落ち込むという状態になっていました。

ゲーム機クリスマス週販で明暗〜PS Vita 7.2万台と急落 - わぱのつれづれ日記

結局、今にいたるまで一度も3DSを集版で上回ることが出来ていませんね。ロンチが最初で最後のチャンスだった可能性もあります。

3Gモデル低迷〜ドコモの契約数に影響も

一方のVitaの目玉であった3Gモデル。12月のロンチでは初週発売の好調を受け19万台発売、ドコモがソフトバンクの純増を抜く立役者ともなりました。

asahi.com(朝日新聞社):携帯市場にゲーム効果 ドコモ1年9カ月ぶり純増数首位 - ビジネス・経済

ただ、この時点でもWiFi版25万にたいしては下回っていました。ドコモ毎月発表するプリペイド契約者数で売上を知ることが出来ましたね。1月は3G版は3万台と激減していました。

ドコモ1月度契約数発表〜PS Vita 3G版相当は約3万台 - わぱのつれづれ日記

その後も売上は停滞。50万台の初回限定は一向にさばける気配を見せず、先に20hプリペイドに切り替わった白モデルが追加されるような状態。そしてその3G版の反動が爆発したのが、発売半年と少しをすぎたときでしたね。

ドコモのプリペイド契約者数、大幅10万減〜裏にPS Vita 3G版での大量解約有り - わぱのつれづれ日記

ロンチ分のプリペイドが半年で利用期限を迎え、さらに更新猶予期間を過ぎて自動解約となった影響が、7月に一気にドコモの契約者数に出ました。10万減という大幅な減少のために一般の目も集まり、その原因がVitaの解約にあることが晒されたときでもありましたね。その後もプリペイド契約は解約と増加でとんとんというか微妙な数字が続いています。

そして1周年〜本体約103万台、初回限定版は未だ捌けず

そして1周年、現在のPS Vitaの現状として本体販売台数は約103万台。ソフトの売上もペルソナ4G、ミクDIVAf、みんゴル5でも30万を超えるどころか20万がやっとという状態となっています。

(o^-')b ★ゲームデータ博物館★PS Vita

50万台の初回限定版も消化しきれていない模様。店頭ではすでに別の20hつきモデルに切り替わっているようですが、ネット通販ではまだ初回限定版が購入できる状態です。

ソニーストア PCH-1100 AA01の商品購入 | PS Vita
Amazon.co.jp: PlayStation Vita (プレイステーション ヴィータ) 3G/Wi‐Fiモデル クリスタル・ブラック (初回限定版) (PCH-1100 AA01): ゲーム
PCH-1100AA01 | ソニー・コンピュータエンタテインメント | PlayStation(R)Vita 3G/Wi-Fiモデル クリスタル・ブラック(初回限定版)【お一人様一台限り】

どこも2〜4000円程度の値引きとかがあるのですが、売り切るまでには至ってない状態です。ファミ通浜村氏やSCEJ河野氏の予測とは大きく乖離している形となります。

2013年挽回なるか?〜キラータイトルの開発&誘致が課題

以上、ざっと一年を振り返ってみました。最近はPSPにも週販で負けることがしばしば、そのPSPもVitaが出たことで結果的に「旧型機」の烙印が押されてしまった感じで3DSに急激に客を奪われ縮小しています。モンハンが任天堂プラットホームに行った影響もでかいともいますが。ソニーとしてはPSP市場を軌道に載せたモンハンに逃げられたことが痛恨だったでしょう。

これから年度末に向け、Vitaもファースト&サードでいろいろ注目作を出してきます。

SOUL SACRIFICE ソウル・サクリファイス (通常版) - PSVita ファンタシースターオンライン2 スペシャルパッケージ - PSVita 閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明- (通常版) - PSVita

ただ、その3月にはモンハン4が予定されているんですよね。

『モンスターハンター4』の発売月が2013年3月に決定!【追記あり】【TGS 2012】 - ファミ通.com

現状、和ゲーサードの影響力が落ちており、本当にプラットホームに影響しそうなのはモンハン、ドラクエ、FFぐらい。その一つのモンハンを任天堂陣営に握られているのは痛いところでしょうか。できればVita向けのモンハンは全額ソニーが開発費負担してでも作ってもらうべきな気もします。また、ファーストもGRAVITY DAZEなどいろいろユニークで高評価な作品は出しているのですが、いまいちキラー的な魅力に欠けます。独自のブランドを使い潰してきたツケではあるのですが、何かもう一歩「おお!」と惹きつけるようなキラータイトルをファーストで用意して欲しいところですね。どうも最近のSCEJの広報戦略とか見ていると、昔のMSKKとイメージがだぶります。ノリが一体どこを狙っているのか、という。集めてくるソフトとかも小粒だったりギャルゲーだったり。これでは中々「国民機」的な存在にはもっていけないでしょう。

ハード性能的には3DSを上回り、PSPみたいな後からの挽回ということも無くはないと思いますが、そのためにもモンハン的な起爆剤が必須。特に現状はスマホというVitaとかぶるプラットホームもあり、和ゲーサードは体力もなくなってきてスマホに流れがち。ソニーが身銭を切る覚悟でなければ中々ソフトは集められないでしょう。ソニーのコア事業とされているゲーム事業。CEOの平井氏がどの程度本気の投資をゲームに行うか、それにまずVitaの復活が掛かっている気がしますね。