「おおかみこどもの雨と雪」感想〜気になる点はあるも良作

先日TVでサマーウォーズがやっており、時かけも面白かったので視聴。なかなかおもしろかったですね。そこでの宣伝で新作の映画「おおかみこどもの雨と雪」が公開されると知り、見てみようかと思っていたところたまたま時間があったので見てきました。

原作として小説も今回は出されているんですね。映画館は直前に行ったというのもあってか非常に混んでいて、あいにく最前列しかとれませんでした。映画館お約束のポップコーンでは、おおかみこどもの特別版も売ってたので、せっかくなのでこちらを購入して飲食しながらの視聴に。

感想としては、サマーウォーズ同様なかなかおもしろかった、という感じですね。一方、いくつか見ながらつっこみをいれていたところも。以下、ネタバレ有りの感想。映画視聴済みの方のみ御覧ください。

感想&つっこみ

まずは冒頭。お母さんの花がお父さんのおおかみおとこと出会うところ。大学講義に教科書無しで来ている男が出席表出さずに帰るところをわざわざ追いかけて渡しに行く、大学生じゃないと言われても一緒に教科書見ようとか食い下がるとか、どこの逆ナンだよ、と。その後恋仲になって、男からおおかみおとこであることを告白、結ばれるのですが、やってる時のシルエットが男がおおかみおとこ状態というのも「人間の姿でやれよ」と。その後子どもが二人できた後、なぜか川(用水路?)で父親が狼姿で死亡。これもちょっと唐突でしたね。狼が水で死ぬ要因がよく分かりませんでした。そもそも人間姿でお金稼いでたのに、何故狩り?というところも。後半の野生としての本能とかとの兼ね合いもあったんでしょうか。

その後アパートぐらしで子ども二人を育てるのですが、途中で観察員がDV疑いなどでチェックしに来ます。しかし、そもそも戸籍とかどうなっているんでしょうね?一応父親は免許証持っていたので、戸籍はあるということでしょうか。子供たちの出生届もちゃんと出している?子供たちの名前が雨と雪、というのが映画のタイトルに繋がっていると、見てやっと分かりましたね。

結局その後、ペットを飼っている疑惑とかもあって田舎に引越し。貯金は父親の残したものだけ、ということでしたが、果たしてどの程度の貯金があったのかがちょっと分からずもやもやしたところも。その後廃屋同然の家の修繕から畑での農作物栽培と、凄まじいバイタリティを発揮。さすがにそれだけの体力は持たないんじゃ、という感想も。その後は農作物栽培にも成功。動物に荒らされるというところが、雨が動物相手に威嚇していた、と自慢して母に怒られていたのが伏線になっていてよかったです。

ここから子ども達の話に。姉の雪が小学校に行くことに。野性味あふれる趣味がまわりの友達と合わず徐々に普通の女の子になっていくのと対象に、それまでへたれだった弟の雨が、小学校にはなじめない中で狼としての自分に目覚めていくところの対比がおもしろかったです。幼児のころの逆展開というか。ただ、雨にはいまいち共感出来なかったですけどね。どうも身勝手な印象があって。

雪の方は、転校生の草平に「獣臭い」と言われ、それまで狼に変身するのを抑えていた衝動が抑えきれなく。その転校生の子に追いかけられて、最後は狼化して怪我をさせてしまいます。ただ、この時も転校間もない草平がしつこく雪を追いかけまわすのがちょっと不自然な感じでしたね。その後、「もう小学校来れなくなるの?家住めなくなるの?」と泣き出す雪の姿には、見ていて思わずこちらも泣きそうになりました。その後はどんどんおしとやかになっていき、最後の嵐のところではこの草平におおかみこどもであることを告白、草平もそれを「知ってた」と返す。この辺は実にベタな展開でした。

一方の雨の方は、小学校にも通わなくなる一方、森の「先生」のところに通うように。先生は狐かな?ここからどんどん野生なクールな感じになっていきます。その後、ついには狼としての自我に目覚め、もうすぐ亡くなる先生の代わりに森の主の役割を果たそうと決意。最後のシーンで嵐の中森に入っていくのですが、ここがどうにも感じが良くなかった。お母さんの花が必死で雨をさがすのですが、雨は特に姿も見せず、花だけがふらふらと嵐の中捜し回る状態。転んだり熊に遭遇したりと危なっかしく、「これだけ母に迷惑かけるなんて」と雨に憤りを感じるところも。これは監督の狙いだったのかな?結局、最後崖を滑り落ちて気を失い、夢の中のシーンで父親が出てきて雨が自立したことを告げ、目覚めると雨が担いで駐車場へ。その後、結局はそのまま山の中に入っていきます。巣立ち、という感じなのですが、そこまで野生に帰らなくても、という感想も。ちょっとアンハッピーエンドのような感じで。一応人間の姿もできて、父親も人間の中で暮らしたりもしていたのに、わずか10年で母親捨てて山に行かなくてもと思いましたね。

その後は、雪は中学へ寮生活。ここもちょっと花が寂しそう。雨も別にたまには人型に戻って母親に会いに来ればいいのに、という感じも。また、雪がこの独り立ちした雨に対するコメントが劇中で全然最後になかったのも気になりましたね。途中で人間として生きるか、狼として生きるかで意見が別れて大げんかしたシーンがありましたが、あれで喧嘩別れしたまま、って感じなんでしょうか?

まとめ〜安心して見られる作品

以上、いろいろ気になる点につっこみは入れてみましたが、映像のクオリティは高く、途中の生活を描くシーンも安心してみていられる良い作品だったとは思います。小説などを見れば、自分がつっこみいれたところも、勘違いとか誤解とかもいろいろ混じっているかもしれません。とりあえず、自分が映画を見て感じた素直な感想、ということで。パンフレットもなかなか充実しており、まだざっと流し読みした程度なので、後でじっくり読んでみたいと思います。
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細田守監督の作品としては、時かけは特に「タイムリープしてね?」でゾクッと来て、最後のがむしゃらな展開、そして別れと非常に感動的でした。サマーウォーズは予想外のサイバー世界物で、オチが花札と数学というのがちょっとひっかかったところも。このおおかみこどもは、個人的には時かけ未満、サマーウォーズよりちょっと上という感想でしょうか?面白かったことはたしかです。今後も良作をいろいろつくってもらえることを期待しています。