電撃PlayStationがインタビュー内容を無断改変?〜エクスペリエンス社長がツイート

ゲーム業界において、情報発信の手段として広くしられているのがゲーム雑誌。ファミコン時代はいろいろな冊子があったものですが、現在はかなり少ないメディアに集約されてきています。総合という位置づけでは週刊ファミ通、その他には電撃プレイステーションファミ通Xbox360ニンテンドードリームといった専門誌ですかね。最近だと、ドリマガが廃刊になったのも記憶にあたらしいです。

ネットでのニュース、メーカー自らの情報配信も増える中、ゲーム雑誌の需要も落ちたためか上記のような淘汰も進んでいるわけですが、一方で残ったところにはそれなりに寡占的な状態が生じたりもしています。これら雑誌は、単なるマスコミでなく広告メディアであるという側面もあり、しばしば消費者から見て「え?」と思うような記事や偏向が見られることもあり、自分も何度がとりあげたことがあります。

そんな中今回、「円卓の生徒」や「迷宮クロスブラッド」などを発売、PS Vitaでもゲーム開発中というエクスペリエンスの社長、千頭元(ちかみ はじめ)氏が、明日発売の電撃プレイステーションの自身のインタビューについて気になる発言をされていたので紹介してみたいと思います。

インタビューの原稿確認後に電プレ側で発言追加

発端となっている社長のツイートはこちら。

どうやら電プレの企画としてインタビューが千頭氏にあり、それが明日発売の電プレに掲載されるようです。これ自体は普通の話なのですが、そのインタビュー書き起こし原稿の確認が千頭氏にあったにもかかわらず、最後掲載の段階で自身が発言していない文言が追加されてしまっていた、とのことです。

この後、千頭氏はツイッター上で本件について質問に対する返答をされていました。話の流れが分かりやすいように、togetterでまとめたものを以下に掲載しておきます。

電撃PlayStationでインタビュー無断改変が発生? - Togetter

どうも、ゲーム業界の今後の流れと会社として注力するところ、といった部分で、千頭氏としては明言しなかった文言が紙面の方で追記されていた模様です。紙面を確認していないので具体的にどのコメントが追加されたのかは、上記のまとめの流れでなんとなく把握するしかありませんが。

顧客への事前説明の意図

エクスペリエンスでは、これまでXbox360、PCなどでゲームを販売されています。

エクスペリエンス - 製品一覧

一方で、先日角川ゲームスと共同で、PSPおよびXbox360のタイトルを発表、あわせてPS Vita向けダンジョンRPG開発中とも発表していました。

4Gamer.net ― ダンジョンRPGの「円卓の生徒 The Eternal Legend」と「剣の街の異邦人」を角川ゲームスとエクスペリエンスが発表
エクスペリエンスが新たなダンジョンRPGに挑む! 千頭元代表取締役社長が“DRPG PROGRESS”について語る - ファミ通.com

こうした流れを受けての専門誌電撃プレイステーションでのインタビューになったのかもしれませんが、既存顧客として360ユーザーなども多いということで、事前に顧客に説明をしておいた、という意図のようですね。

原稿確認後のコメント追記は許されるのか?〜問われるメディアの正確性

具体的な紙面を見ていないので、電撃プレイステーションの意図云々はあまり突っ込んだ発言はできませんが、少なくとも社長の指摘する「原稿確認後のコメント追加」は、ゲームメディアとして許されるのか、ということはあると思います。

ゲームメディアとして好きなように書きたいのであれば原稿確認などしないで掲載という荒業もあるでしょうし、ちゃんとインタビューをとった人の意にそいたのであれば、改変などすべきでは無いように個人的に思います。実際、千頭氏は困惑してツイートされていますし。原稿確認までしているなら、普通安心してしまうでしょうしね。

こうしたことをしていては、まずゲームメディアとして業界関係者からの信頼が失われ、広告などの掲載に問題を来す恐れがあります。また情報発信メディアとしても、受け手側で「ここは勝手に人の言葉をねじ曲げている」と思われてしまっては、その情報発信効果も薄れてしまうでしょう。

最近では、日経が3DSLL絡みで憶測含みの飛ばし記事を書き、任天堂からPRで抗議を受けました。実際には3DSLLの存在自体は当たってしまったのですが、この件で日経新聞への信頼は低下したと思います。今回はインタビューの内容を追加してしまうという改変のようですが、これもやはり受け手としては信頼が下がってしまいますよね。専門誌ということで、ある程度読者を喜ばせたい、というところもあるのかもしれませんが、原稿確認後に追加、というのはさすがにいただけないかとも思います。

今後の各社の対応に注目

とりあえず、まずは明日発売の誌面でどうなっているか。そして、こうして社長ツイートで公になってしまった事項についてお互いどういった対応に出るのか。千頭氏はツイッターで「社として見解をしめすべきでは?」と進言され、検討する意向も見せています。電プレ側が特にアクションを起こさないようだと、任天堂のときのように、そういった見解が後ほどエクスペリエンス社から示されるのかもしれません。

一方で、電プレ側もできればWeb上ででも今回の件についての説明をすべきのように思いますね。すでに公になってしまったわけですから。何もアクションが無いと、これまでもこうした事態が横行していた、今後も行われる、と邪推されても致し方ないところもあります。

ネット社会で多角的に様々な手段で情報が発信、取得できる時代。そのため、こうした特定メディアでの情報偏曲などはどうしても昔にくらべバレやすく、目立ってしまう傾向にあります。いくら広告メディアとは言っても、求められるのは正確さだと思いますね。今回の件について、大手メディアとして誠実な対応が取られることを期待したいと思います。