ニンテンドーE3プレスカンファレンス開催〜WiiU詳細を披露、非対称プレイをアピール

E3カンファレンスでファーストとして最後を飾る任天堂の講演が開催されました。

【E3 2012】任天堂 E3プレゼンテーション - ニコニコ生放送
任天堂 E3 2012情報

WiiUの詳細が発表される歴史的なイベントとして非常に楽しみにしていたのですが、いろいろと不満やもやもやの残る講演だったように思います。スペックなど詳細情報も上記ページで公開されていますが、ここではまず講演の内容の紹介と感想を述べてみたいと思います。

音声・音量関係でいくつかのトラブル発生

まず、第一に放送時の音声、音量でグダグダなところがあったことがいただけません。開幕前にはプチプチと不快なノイズ音。本番では日本語通訳がついたのはいいのですが、PVに入ったときの音量がでか過ぎて通訳聞こえず。しかもこのボリュームが一定でないため突然大きな音が鳴るため、深夜の動画視聴として周辺住民に騒音被害を与えてしまい、落ち着いて視聴ができませんでした。

自分はニコニコ生放送でメインに見ていたのですが、こっち固有の問題もいくつかありましたね。宮本氏の発言でも途中でマイクのノイズが入るところが。Ustでは大丈夫でした。また最後の録画映像も、Ustでは日本語版が流れている割にニコ生ではなぜか英語版。ちゃんとリハーサルしたのか?と思えるほどのグダグダっぷりです。こうした大々的な発表は、ミスがあると一気にしらけるのはお約束。それなのにこうした複数のミスが重なっているのは、そもそもの講演としていまいちだったところのように思います。

任天堂ファーストタイトル〜ピクミン3、NewスーマリU

WiiUについて、まずはソフト。冒頭は宮本茂氏が寸劇のPVの後登壇、ピクミン3を紹介しました。リモコンやヌンチャクでもプレイ可能、またGamePadではマップの表示でピクミンの位置を把握したり、複数の操作キャラを瞬時に切り替えたりということができるようです。ただ、自分はピクミンを遊んだことがないため、いまいち「こんなことも直感的にできるように」とアピールされてもちんぷんかんぷんで、心に響いてくるものはなかったですね。ファン向けの説明というか。

NewスーマリUについては、いつものNewスーマリだなぁ、という印象。Miiverseでのマップ上の吹き出しなどはありますが、「Wiiでもいいんじゃない?」的な感覚も。8月に3DSでNewスーマリ2が出るだけに、これがロンチ付近に出るんだとするとさすがに食傷気味なんじゃないかという気にもなります。

WiiFitUでは持ち運べるFitセンサーも

続いてWiiFitU。WiiFitUは、個人的にWiiFitを継続して利用しているのでよさげな要素はありました。ゲーム部分としてのトランポリン、リージュ、ウェイターは別にWiiでもできそう。体重を測ったりするのがTV無しでできるのは日々の測定には便利ですね。顔写真を毎日残しておける、というアイデアも、たしかネットで長期間顔写真を撮り続けたということで有名な動画があったと思うのですが、あれを参考にしたんでしょうね。おもしろいと思います。あと、Fitメーターというのが付属して、気圧なども加味して活動量を計測してくれる模様。ちょうどタニタ活動量計を出してヒットしていたところだったので、個人的に興味があり嬉しい機能ですね。3DS歩数計とかだと身につけられませんし、DSの生活リズムの奴も、DSの別ソフトというのがいまいちでしたので。GamePadに赤外線通信分がついているため、これでデータのやり取りができるようです。

はじめてのWii」的ソフトの「NintendoLand

そして、Wiiのときの「はじめてのWii」的な機能お試しゲーム集として「Nintendo Land」。これはディズニーランドに見立てた感じですかね。これまでのWiiミニゲーム集と違い、ミニゲーム一個に任天堂のタイトルを割り当てている感じです。講演後のPVでも重点的に映像が流されていましたね。登壇したのはぶつ森の江口氏。壇上ではルイージのゲームを紹介。「非対称プレイ」というのが全体的にキーとなっていて、GamePadを持っている人が全部見える状態でゴーストを操り、他のプレイヤーは暗闇のなかでプレイ。コントローラによって得られるゲーム体験や役割が異なる、というものです。ただ、ちょっと江口氏のプレゼンが冗長。一つ一つのアクションを説明しすぎてリズムが悪かったように思います。

あと、こうした非対称プレイがどうも分かりづらいところも。一つのゲームにたいして、2つの役割や操作があるということがまず分かりづらい。さらに、「一人暮らしの人はどうするの?」というのも根本的にあります。CPUと対戦ってことでしょうか。せっかくオンラインのMiiverseがあるのですから、オンライン対戦がもっとアピールされても良かったと思うのですが、あまりに「リビング内の複数人」にイメージを固めすぎてしまっているように思います。ドンキーコングのゲームも、プレイは一人でTVでは俯瞰的に観察、手元では部分的なマップという仕組みですが、これもいまいちピンと来ないというか。やってみたらたしかに面白いのかもしれないですけど、直感的に分かりづらいというか。

その他にも複数のゲームがあり、WiiUロンチとしては一番売れるタイトルとなるのでしょうけど、現時点のアピールだけだと「?」なところもありますね。

気合の入っているUBI SOFT〜ゾンビUがGamePadフル活用

今回の講演で一番惹かれたタイトルは、UBI SOFTのゾンビUというタイトル。他のサードがPS3や360のマルチ、もしくは移植ばかりなのにたいして、こちらはオリジナルソフト。また、GamePadもフル活用している感じでしたね。特にTV画面と手元のディスプレイとの重ねあわせを活用していると感じました。センサで探知する、解錠操作を手元で行う(その間にも敵が迫ってくる)、ターゲティングするなど。グラフィックも綺麗でしたし、注目のタイトルと言えるでしょう。

その他にも、レイマン、ラビッツのほか、いくつかのオリジナルタイトルが。WiiのRedSteelといい、任天堂はUBI SOFTとうまい関係を築けているようです。

他のサードはマルチ&移植中心

それ以外のサードとしては、上でも述べたように移植やマルチが中心でした。移植としてはBATMANがかなり推されていましたね。ただ、移植は移植なんですよね。評価は高いソフトではありますが、WiiUだからといってどこまで再度の訴求力があるか。アサクリIIIはPS3の目玉タイトルとして紹介されていましたがマルチ。同発かは分かりませんが、こうしたソフトがマルチで出るのが一つのWiiUの目的ですので、目的は達成していると言えるでしょう。ただ、既存のHDハードを既に持っている人には特に訴求力はありませんが。

それから、和サードが任天堂のカンファレンスでも結局存在感なかったですね。鉄拳やニンジャガ3なんかの映像は流れましたが登壇もなかったですし。E3は主に米国向けなところがあるので、その辺の国内向けはまたあらためてということではあるのでしょうが、初出のE3で印象に残らないのはあまりプラスにはならないような気もします。

まとめ〜もやもや感の残る発表、詳細&体験会で挽回なるか

他にもいろいろ語ることはありますし、本体スペックの詳細なども公開されているのですが、それらはまた別の機会に語るとしてとりあえずまとめます。感想としては、ちょっと不満点が多かったですね。冒頭で述べた配信不手際でテンションが落ちたというのもありますが、それ以外のところもなんかごちゃごちゃして分かりづらかったです。「非対称プレイ」というのがそもそも分かりにくいってことでしょうね。GamePad2つで対戦、とかならシンプルなんですが、これは技術的には対応可能と発表されたものの、コスト的に難しいところもあるでしょうからね、実際のところは。同じ場所でGamePadを持つ人とWiiリモコンを持つ人で別の役割がある、という感覚への慣れが必要そうです。

あと、次世代機としてのスペックについて、必然性を感じるところが少なかったのも問題かと。「Wiiでいいんじゃない?」「これGamePadじゃなくてもおなじことできるよね?」みたいなシーンがちらほらあり、目的と手段が逆転しているような印象がありました。タブレット付きのHD機を出すから、頑張って活用してます、みたいな。後発のHDゲーム機として、ロンチで買ってまで遊ぼうと思えるほどの価値観を見せられたかどうか。

こうしたもやもや感の払拭のために、まずは6/6の15時半(日本時間)からラウンドテーブルが開催され、いろいろ取材があるようです。その動画の様子もあとで公開されるそうなので、明日の夜にまた注目というところでしょうか。後は、日本向け体験会、ラインナップ発表とかですかね。そもそもNFC機能が全然紹介されてなかったのも気になります。あと、せめて岩田社長は録画で裏でツイートしているんじゃなく、生で出演して発言して欲しかった。残念です。

映像から感じる感想はまた千差万別だと思いますし、まだまだ知らなければいけない情報はたくさんあるので、また印象は変わってくるかもしれません。ただ、WiiやDSの時のようなシンプルな訴えかけのあるサプライズ、ワクワク感には欠けていたかな、という印象です。期待が高すぎたということもあるんでしょうけど。

とりあえずはE3期間中の情報公開にまず注目したいと思います。