コンプガチャ、各社廃止へ〜DeNA・グリーなど6社共同声明も

ここ数日世間を騒がせているコンプガチャ違法騒動。一時ケータイWatchの津田氏が「報道に真っ向否定」という「しっかりと裏をとった」記事を掲載して混乱したりもしましたが、その後は消費者庁の発言も「近く違法の方向で見解を出す」という方向でまとまりを見せていました。

昨日のグリーの決算では、具体的にコンプガチャについてどうするかということは「消費者庁の動きがあってから」というようなぼやかした対応をとっていましたが、本日のグリーの決算発表とあわせてか、各社一斉にコンプガチャ廃止で足並みを揃えてきました。すでに未成年者関連の問題などで共同で検討していた6社が、共同声明も出しています。

4Gamer.net ― NHN Japan,グリー,サイバーエージェント,ディー・エヌ・エー,ドワンゴ,ミクシィのソーシャルゲーム6社,コンプガチャ廃止に向けた共同声明を発表

これから新規に始めるサービスについてはコンプガチャ導入無し。すでにサービスしているものについても5月末までにコンプガチャを廃止していくとのことです。

コンプガチャ廃止は一つのきっかけ

ただ、4Gamerの記事でも書かれているように、実際に「違法」となるとこれまでの分はどうなるのか、という問題は残ったままです。このため各社も現時点では「ただちに違法という認識はない」という見解をしめしています。下記の記事でも触れられていますが、今回の一連の騒動でかなり各社のえげつない商売は一般にも知れ渡るところとなっているので、これはあくまでとっかかりにしかすぎないでしょう。

コンプガチャ問題は一気に終わるのか DeNA、グリーら相次ぎ廃止宣言 (1/2) - ITmedia ニュース

ちょうど今日、以下のブログエントリが非常にはてブでも注目されていました。

【漫画つき】コンプガチャだけじゃない。ケータイSNSゲーム課金の仕組み解説 - しっぽのブログ

コンプガチャだけでなく、他のソーシャルゲーム各社のビジネス構造について、イラストまじりで分かりやすく書かれています。ここで問題視されている「欺瞞性」「錯誤性」というのは、たしかになるほど、という感じです。ようするに、各社の高収益をささえる根本にあるのが「騙し」な訳ですよね。よく使われる詐欺の手法をカモフラージュしてゲームに適応している、というか。こうした記事で一般にもその「えぐさ」が分かってきた今、単にお上に言われたことだけ辞めましたではイメージ回復にはつながらないでしょう。

マネタイズ・収益性ばかりを追及してきたツケ

こちらのサイバーエージェント藤田晋社長の発言なんかもひどいですよね。
コンプガチャ全廃へ グリー・DeNA・サイバーなど  :日本経済新聞

「法律を知らなかった」「異常な広州駅でおかしいとは思ったけど続けていた」と、とても責任者とは思えない発言です。マネタイズばかりで倫理・モラルが欠如している感が露呈してしまっており、それが消費者の目にどう映るのか。

また、そうしたソーシャルのやり方を高収益という観点でのみ評価し、「ゲームの、日本の未来はこっち!」というかのようにもてはやしてきた経済マスコミ、アナリスト、投資家なども、一度自分たちのして来たことを顧みて欲しいところです。本当に知らずにもてはやしていた人もいるかもしれませんが、ある程度その「えぐさ」が分かっていながら持ち上げていた人もいるでしょうし。

ゲームユーザーから今回の件で一斉に反感をぶつけられていますが、マスコミやアナリストなどがそうやって倫理観無視でモバグリなどの商売を持ち上げていた反動でもあると思うんですよね。海外のソーシャルはそもそもここまで露骨でもありませんし。世界的なスマホFacebookなどの盛り上がりによる好イメージを隠れ蓑にして、実際は射幸心を煽るギャンブル商法をしていたのが日本のソーシャルゲームだった訳で。そういった構造を作っていたのも、ある意味マスコミやアナリスト、投資家だとも思います。

健全な形での利益追求を

現状、コンシューマーゲームに置いて、かけるコストとリターンのバランスが悪いのは確か。消費者意識も凝り固まっているので、ソフトで収益性を高めることは必要なのも確かです。グラフィックとボリューム以外の面で、低コストでもお金を稼げるというのは、ソフト業界としては望ましいとは思います。

ただ、収益性だけを追い求めて詐欺まがいの商売を続けた結果が、こうした世間一般のゲームに対する悪イメージ。各社収益性だけでなく、まずこのゲームに対する悪評をどう克服するか、とばっちりを受けた形のゲーム会社も含めて課題となってきそうです。

とりあえず、プラットホーム側の6社だけでなく、既にコンプガチャとかを行っていたソフトメーカー側もしっかりとコメントを出すべきでしょう。コナミバンナム、そしてソニーなど。また、今回直接対象になっていないノーマルガチャについても、確率関連の面での情報開示などは必要になってくるかと思われます。それ以外も、消費者庁が問題視している特定ユーザーの「重課金」についても、未成年者に限らず歯止めとなる策を講じる必要がある気もします。

国が動く前に自分らで規制できていれば、もっと緩い規制でもなんとかなったかもしれませんが、これだけ騒がれたからには、「そこまでやらなくてもいいのに!」と一般消費者が思うほどの自主規制をしない限り汚名返上は難しいかとも思います。パチスロ並の規制を受け入れて単なるオンラインギャンブル産業として生きていくという選択肢もあることはありますが、一応ソーシャルというのは世界的な流れであるのは確か。人と人とのネットを通じたつながりで生まれる面白さ、価値など、もう一度本質に戻って、健全な形でソフトで利益を上げられる取り組みをしてもらいたいものです。CSRコンプライアンスの観点を忘れずに。