PSO2がスマホにも対応〜基本無料のアイテム課金制に

先日、Vita版を発表してPC版ユーザーから大きな批判を受けていたPSO2。ゲームの電撃感謝祭2012で秋葉原ニコニコ生放送の公開中継があったのですが、Vita関連ではニコ生が荒れていた模様でした。自分は現地で見ていたのですが、生放送配信中にスタッフが、公衆の面前なのにせわしなく批判的コメントのNGを繰り返していたのが印象的でした。公式ブログもコメント承認制のようですし、コメント統制していることをもう開き直っておおっぴらにしてるんでしょうかね。

さてそんなPSO2ですが、本日メディア発表会が開催。また大きな発表があったようです。

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特に大きな関心を引いたのが「スマホ対応」と「基本料金無料」。この2つが、また長年PCでオンラインゲームをやってきたユーザーにはかなりショックな内容だったようです。

PC重視の過去発言に対して冷めた見方の「スマホ対応」

スマホ対応は、Vitaとは違って別の限定的なゲームとはなるようですが、やはりデータが共有されたりグラフィックの面でもPC版が引っ張られることを懸念されています。電撃イベントの時点で「数年前のPCでも動く」とか低スペック路線の発言していましたし。

また、それ以上に酒井Pの発言がころころ変わっていくに不満が上がっているようですね。PC版発表の時は「携帯ゲーム機などで満足出来ない人にも」と言い、Vita版発表後の電撃ニコ生では「携帯のソーシャルゲームで満足できない人達」とトーンダウンしていました。それなのに今回はその携帯ですからね。ブラウザゲームではないかもしれませんが、わざわざ比較対象に上げた側へどんどん落ちていく発表の仕方はどうなのかと。これがスマホ→Vita→PCならまだ発言が分からなくも無いんですが。サプライズ感を用意したくて発言を濁していたところが、単に信用を失わせるだけの結果になっているような。アイマス2でアニメ化やPS3版の存在を隠して「そのうち報われる」とか弁解していて大きく信用を失った件を思い出してしまいました。

賛否両論の基本無料・アイテム課金

もう一点、基本無料について。これは賛否両論ですね。PCなどでオンラインゲームに慣れ親しんでいる人は、過去のさんざんあった基本無料のオンラインゲームの惨状を知っているだけに失望の声。逆に学生などTwitterとかでは無料でできることに歓迎の声が上がっているようです。無料だとどうしてもユーザーの質にムラが出たり、アイテム課金だと業者の横行が懸念されるなどがあります。そのあたりをどの程度排除したり質を高めることができるか、運営次第というところでしょうか。

一方で、月額制だと非常にハードルが高い。せめて無料体験期間がないとなかなか手を出せませんからね。自分は昔ROを1年ぐらいやっていたことがありますが、プレイ頻度が落ちてくると月額制は重いです。リネージュ2とかも当時興味はありましたが、オープンベータまでで正式サービスからは脱落してしまいましたね。とはいえ、コアなユーザーの多いMMO、月額課金で安定した収入を得ることは、深く充実したサービスで一定の成功を収めていたモデルでもあります。今回、Vita対応の時点でかなり無料は予測されていたのですが、スマホも入って完全に「広く浅く」のソーシャルゲーム路線になったことが分かり、コアな人は失望している印象です。高価値な武器などの直接販売は無いというコメントも、「クエストと組み合わせるとかして結局売るんでしょ?」といったうがった見られ方をされているようです。

古参ファンを逆なでする「まずい」発表の仕方〜問われるベータでの評価

全体的に先日のゲーム天国からの流れを見ていて、アイマス2のときを思い起こさせるような「発表の仕方のまずさ」を感じましたね。DCの頃からいる熱心な古参ファンにたいして、最初はPC版ということでまさに「我が意を得たり!」という発表をし、その後に「実はVita版でたくさんの人に」、「さらにスマホも対応でもっとライトにも」とどんどんライト向けへの展開を示し、質・濃度の高いサービスを期待していたファンをがっくりさせています。アイマス2も、最初に全キャラ登場で「やった!」と思わせておいて、「実は雪歩は声優変わります」。ここまではまだファンも納得したのですがその後「男アイドル登場させます」「主要4人はNPCにします」「AKBのような投票方式とります」とやってファンがブチギレていました。結局その後、アニメ化の発表やジュピターの可哀想なぐらいの扱いの小ささ、AKB方式の投票なしで全曲入るなど後手後手の対応に周り、アイマスをいまだ応援している自分としても冷めた見方になっていたところがあります。アニメが非常に良かったのでだいぶ持ち直してますけど、切れたファンはもどってきておらず、コミュニティも分断されたままですからね。PSO2でもすでに絶望したファンとそれでも応援するファン、PSPoなどからの携帯機からのファンなどで亀裂ができはじめているようで、「メーカー側の展開のまずさ」が出てしまっている印象です。他社の失敗例を学んでいないというか。古参は確保しつつ、新規獲得に欲を出した結果、古参の一部に猛烈に恨みを持たれる、という。単に離れるだけならいいのですが、こうして好きから嫌いに反転してしまった人は、本当怖いですからね。

とはいえ、あくまでこれらは発表があっただけ。サービスとしてはまだしばらく時間があります。まずはクローズドベータ。10万人規模の募集となるようです。その後、夏にはサービスインを予定している模様。ここでどの程度の評価を得られるか、ですね。基本無料、クロスプラットフォームで数字的にはパイが広がるのは確かです。コアユーザーだけでやっていては売上の裏積みは望めないし、なまじ目が肥えている分、クオリティ対収入もあまりうまくないのは確かでしょう。こうしたビジネスモデルでなければ、そもそも続編なんて経営者側から認めてもらえなかったところもあるでしょう。あとは、そういったビジネスモデルでこねくり回したのがどれだけ成功するのか。コアなファンに半分喧嘩をふっかけているような形になっている分、ぜひとも「お金」だけでない「ゲームプレイの質」の部分でも、酒井Pが広げている大風呂敷が実現できるよう、全力を尽くして結果を示していただきたいものです。