WiiU コントローラにNFCが内蔵〜発売は年末商戦

先日26日、赤字が発表されて大きな話題になった任天堂。株価も初値で1万円を割り込むなど、市場でも大きな影響が出ていました。そんな中、翌日27日に経営方針・決算説明会が開催。そこでいろいろと任天堂の現状分析と今後の展望が語られています。

2012年3月期 第3四半期決算説明会 決算概要説明
2012年1月27日(金)経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会 任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文


赤字理由としては、逆ざやの3DSの売上が伸びた影響、円高とまあある程度仕方ないところもありますが、痛いのは海外でのソフト売上が大きく目標未達なところですね。アメリカが思った以上に360の占有率が上がっている形で。携帯機ではまだ圧倒的、とか言ってますがもともとPSPはずっと前にアメリカでは死亡していたので、いまさらそこを強調されても、という感じもします。

これに対する今後の展望として、3DSについては逆ざや博打の効果で台数が出たことで、ソフトメーカーのラインナップにも変化が出てきたと報告があります。その結果が反映されるのは1年後ぐらいなんでしょうが、この辺は今後に期待というところでしょうか。特に洋ゲーメーカーがどの程度3DSで市場を築けるのかが、トータルの成功としては鍵になってくるでしょう。

WiiUにはNFC搭載〜近接無線での新しい遊び

一方、もう一つの来年度の目玉としては、WiiUがあります。Wiiのソフト不足はWiiUに全力を注いでいるからとも見て取れるのですが、その最終スペックはE3で公開、発売は年末商戦と発表されました。米で11月、日本で12月って感じですかね。初代DSの時みたいな感じで。

そのWiiUでの新発表がありました。それが「NFC搭載」です。

2012年1月27日(金)経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会 任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

これはちょっと驚きでしたね。近接無線通信というと、日本ではおサイフケータイFelicaが有名ですが、NFCFelicaそのものではなくその上位規格の国際標準となります。詳しくは以下のリンク参照。

おサイフケータイの国際標準仕様「NFC」とは何か? | ビジネスネットワーク.jp

要するに、通信部分の規格はNFCで共通になるのですが、具体的にどこにデータを保存するのか、OSはどうなっているのかという下層のところでFelicaと海外標準のTypeA,Bでは大きくことなる形。このため、リーダー側はおサイフケータイNFC両対応は比較的容易ですが、端末側は両対応が難しいという感じですね。

WiiUNFCが、どこまで対応してくるかは分かりませんが、おそらくリーダー・ライターとしては両規格に対応してきそうな気はします。そうでないと日本での決済というときに、端末ないですからね、おサイフケータイ以外。逆に海外じゃFelicaはほとんど無いので、TypeA,Bと。

使い道としては、単純に少額決済に使う、というのもありますがIDカードでの個人アカウント認証なんかが有効そうです。これまでログインでのパスワード入力とかが煩わしいと個人アカウントを採用してこなかった任天堂ですが、さすがに据置では導入せざるを得なくなってきたようです。その解の一つとしてIDカードというのが使われるのかな、と。(もっとも、常にカードが無いとログインできないのではうっとうしいので、使われる場所や機会は限定されるのかもしれませんが。)

他には、カードと連携したゲームですかね。単純なカードゲームというのもあるでしょうし、フィギュアとかでもいけそう。ポケモン関連で何か仕込んでくるのは間違いないでしょうね。コナミブシロードなど、トレカ系のところもビジネスチャンスをさぐってくるかもしれません。

不安要素は価格と性能

ただ、こうした新規センサが増えてくると、どうしてもコスト増加要因となります。3DSで値下げして逆ざやになり、それが今回の赤字幅拡大にも繋がっているように、売れる価格というものがある以上、本体コスト高を抑えるには本体性能を下げるなり、利益幅を抑えるなり、なんらかの反動が発生します。

現時点でも液晶、広帯域映像通信、バッテリ、カメラ、ジャイロと各種部品がてんこ盛りのWiiUコントローラに、さらにセンサーを積んでくるとは。まず価格が心配になります。コントローラだけで1万円ぐらいしそうです。この状態で今まで任天堂が取ってきた据置2万5000円という軸を崩さず売れるのか。もし崩さないなら、本体のCPU/GPU性能がいまいちとなり、今後Xbox360の次世代機が出てきたときなどにまた一つ低性能機になってしまう可能性があります。かといって、性能をあげるとコスト高。任天堂が赤字覚悟の戦略的価格をWiiUでも取れるのか、というとかなり疑問です。

そこまで高性能は必要ない、という声も聞こえますけど、現時点でもPS3や360はPCと比べるとアーキテクチャ的にも数世代前、現状のPCローエンドにも負けるレベルで、ある程度ゲームでのポテンシャルもサチってしまっている状態。他機種マルチ当たり前の現状では、性能的に劣ることはゲーム制作側でもボトルネックになり、市場が大きくなければ切り捨てられてもおかしく有りません。そう考えると、ライバルの次世代機とある程度横並びできる程度の性能は必要だと思うんですよね。後は、そうした高性能を任天堂がどう料理するのか。力技をグラフィック以外のところでどう生かせるのかも、興味深いところがあります。

本体コントローラが極度に高いのも不安ですね。バッテリとかもどの程度持つのか。3DSのようにクレードルも無いと充電関連で面倒そうです。そもそもACアダプタがもしかしてWiiU本体とコントローラで2つ必要になるんですかね?そうなるとそれもコスト高要因。映像通信もWirelessHDのカスタム品とかになるのかもしれませんが、まだ枯れた技術でなくコスト高でしょうし、NFCもまだ出だし。3DSの裸眼液晶といい、どうも最近の任天堂の「技術先取り」が気になります。パナソニックやシャープ主導なんじゃないかと思えるほど、メーカーっぽい感じなんですよね。

とまあ、WiiUは機能が増えれば増えるほど不安要素が増える形ではあるのですが、新しい遊びというものには期待しています。コスト関係でうまくやりくりして、手頃な価格でそこそこの高性能なハードを出してほしいなと思います。