NECから定番WiMAXルーター後継「WM3600R」発売〜休止状態・スリープ・公共無線LANサポート

いまやブロードバンドが当たり前になってきているインターネット。昔はアナログモデムで32kbpsとかの世界ですが、ADSLで1Mbps、光で20Mbps〜1Gbpsなど、非常に高速になって動画などのコンテンツもリッチに楽しめるようになっています。モバイルにおいても、3G回線でも1Mbps以上でるようになり、今使っているiPhone4Sであれば2Mbps前後は出ます。

そんな中、モバイルも固定回線も両方まかなえるほどの速度と可搬性で注目を集めているのがWiMAX。自分も昨年からNECのWM3500Rを利用しています。

日本電気 モバイルWiMAXルータ AtermWM3500R プラチナブラック PA-WM3500R(AT)B

日本電気 モバイルWiMAXルータ AtermWM3500R プラチナブラック PA-WM3500R(AT)B

単体でも無線LANルーター機能をもっているのですが、以下のクレードルとハブを組み合わせて使うとデスクトップPCなども有線で繋ぐことができ、まるまる固定回線扱いも出来るわけです。

NEC Aterm WM3500R用クレードル PA-WM02C

NEC Aterm WM3500R用クレードル PA-WM02C

WM3500Rのメリット・デメリット

このWM3500R、各所で無料で契約できる(1年Flat限定)などWiMAXルーターとしては定番の位置を築いていました。7 8時間という長時間駆動と上記のようなクレードルでの固定回線化がメリットとして受けていましたね。

一方で、実際に使ってみるといくつか欠点もありました。一つはスリープモードなどが無いこと。無通信一定時間で電源OFFになる機能はありますが、一旦電源OFFになると起動に1分かかってしまいます。これだと、使いたいときだけパッと起動するのが面倒です。かといって、電源OFFにならないよう常時起動だと公称7 8時間でも5〜6時間程度しか持たないことも。朝もって出かけて、昼過ぎには電池切れ、なんてこともしばしばありました。eneloopのモバイルブースターで急場をしのぐことはありましたが、やはり充電したりするのが面倒。このため終日の外出などでWiMAX一本に頼り切るのは結構ストレスがかかるところがありました。

長時間運用をサポートする新型WM3600

そんな中、NECより待望の新機種が発表となりました。WM3600Rです。

UQ、送信出力を向上させた新モデル「Aterm WM3600R」2月上旬発売 - ケータイ Watch
モバイルルータ AtermWM3600R | 製品情報 | AtermStation

基本的なものはWM3600Rから引き継ぎ、軽量化と省電力関係が強化されています。特に目を引くのが「スリープモード」と「休止状態」のサポート。スリープモードでは、無線通信がない時にスリープ状態に落ち、この状態で最大25時間待ち受けしてくれます。再び無線LANのアクセスが始まればスリープから復帰し、WiMAX通信できる形ですね。使用するクライアントがどの程度で通信OFFにするか次第ではありますが、これなら一日中つけっぱなしでも使えそうな感じです。PS Vitaなら通信しないときはWi-Fiの接続そのものを切ったりしますので、それとの相性も良さそう。

さらに休止状態では、完全電源OFFとは違ってわずかに電力消費しますが最大170時間持つとのこと。約1週間ぐらいですね。休止状態からなら15秒ぐらいで起動できるみたいなんで、旅行の時などはこっちで運用するのもありそうです。また、単純な連続稼働時間自体も10時間に増加されています。

公共無線LANへの切替もサポート

その他、注目の機能としては「公共無線LAN切替」。WiMAXの欠点として地下や建物の中などで電波がかなり弱いことがあるのですが、そういった場所への対策として公共無線LANがおまけで付いてくることが多いです。ただ、普段WiMAXで繋いでいると、どこでこの公共無線LANがあるのか、というのはよく分からないところがあります。また、ログインの時にいろいろパスワードが必要だったりと、面倒なところも。

WM3600Rの新機能では、そういった公共無線LANに自動的に切り換える機能が備わっているようです。おそらく、WM3600Rにログイン情報などを入力しておくんでしょうね。これにより、特に利用者が意識せずとも公共無線LANが利用できるようになりそうです。

ただ、一方で公共無線LANの範囲って結構せまいんですよね。隣の建物の喫茶店から電波が出ているのを拾ってしまうと、逆にうまくネットが繋がらないことがあります。また回線も遅いときがあり、WiMAXで繋がるならそっちを使った方が早いと言うこともしばしば。このWM3600Rがどうなっているか分かりませんが、「WiMAXの接続が可能ならそちらを優先」という機能が備わっていると完璧なんですが。無いと、逆に中途半端に公共無線LANに接続していらいらしてしまうかもしれません。

今後のWiMAXルーター定番か〜契約乗り換えで固定回線化も

以上、WM3600Rについてざっと触れてきましたが、WM3500Rであった不満点である長時間運用に関しては格段に使い勝手があがったように感じますね。公共無線LAN切替については、実際に使ってみないと分からないところもありますが、うまくいけば地下とかでの運用も利便性が増すかもしれません。iPod TouchiPadAndroidタブレットなどとWiMAXルーターを日常的に持ち歩く人にはお勧めですね。

WM3500Rユーザーも、次の年間Flat更新のタイミングで一旦解約、新規に申し込めばこのWM3600Rを割引で購入できます。しばらくしたら無料になるかもしれません。そうすれば、今まで使っていたWM3500Rは「機器追加オプション」というのを使って自宅回線用にしてしまうのもありかもしれません。

WiMAX機器追加オプション|UQ WiMAX - ワイヤレスブロードバンドで高速モバイルインターネット

追加料金は月200円。「接続優先」というものを設定しておけば、外部でWiMAX使っているときだけそちらを優先、その間自宅側の通信は止まりますが、外部での使用が終わればまた自宅側に通信が戻る、という形になります。やったことがないので、これがどの程度うまく運用できるか実感はないのですが、WiMAXだけで自宅もモバイルもまかなおうと考えている、特に一人暮らしの人などにはかなり安上がりな解となるように思います。

※なお、過去の端末の流用は、今契約しているところのルーターが「プロバイダ限定」かどうかで変わってきます。UQWiMAX・ヨドバシ・ヤマダなどは白ロムでプロバイダを変更可ですが、ビックカメラは黒ロムなのでプロバイダ変更不可です。価格COMなどで契約した場合も黒ロムのプロバイダが多いので、このあたりはしっかり調べてから検討してください。

根本的なWiMAXの改善にも期待〜ファーム完成度も

後は、根本的なWiMAXの改善ですかね。まだまだエリアは正直せまいです。電車とかでも特定区間で切れることもしばしば。電車乗っていてWiMAXが切れるとWi-Fiは繋がっていてもiPhoneで通信できなくなり、いらいらします。WM3600Rに「WiMAX接続切れたらWi-Fiも切断」という機能があるとすばらしいのですが。それよりもまずはWiMAXで使える範囲を増やして欲しいですね。地下とかも本当に厳しい。入るときは3M以上安定して出るのでいいのですが、入らないときにいちいちiPhone無線LANをオフにするのが本当に面倒で、今はiPhone4Sはもっぱら常に無線オフで使っていたりするんで。

その他、WM3500RはMaciPhoneとの相性が悪いと言うことがありました。初期ファームでは非常に悪く、最新のものでもまだいまいち。この辺がWM3600Rで改善されているといいですね。ファームの完成度が高い状態で出してくれることに期待したいです。

後は速度についても若干不満。動画とか見ていて、途中で止まってしまうことも多いんですよね。速度にムラがあるというか。レイテンシも遅いことがあり、その辺をなんとかして欲しいです。ルータとWiMAXどちらに問題があるか分かりませんが、ニコニコ動画とかも再生開始後すぐに一時停止をしある程度バッファがたまってからでないとまともに見えないような状態です。iPhoneでのニコ生も、WM3500Rだとブツブツ止まってまともに見れないことがあります。YouTubeなんかもそうですね。

LTEソフトバンクの4Gなど、次世代高速無線通信もいろいろ出てきています。WiMAXもWiMAX2が来年ぐらいには出てきそう。そんな中、現時点で一番手頃でエリアが広いのはWiMAXのように感じます。縛りが1年で済むのも魅力。通信容量の規制がないのも固定回線代わりに使う人にとってはいいですね。まずは1年WiMAXで様子見をして、来年どうするか考えるというのもありかもしれません。iPhone5LTE内蔵という噂もありますし、スマホテザリングという選択もありますし。回線選択にいろいろ工夫の余地が出てきそうです。