良質2.5Dアクション〜「スーパーマリオ3Dランド」レビュー

今年発売され、事あるごとに不調、期待はずれとマスコミからバッシングを受けている3DS。これは任天堂自身も期待以下であることは認めており、それは決算報告などにも現れています。それを挽回するために打った本体の大幅値下げ。これが一の矢として3DSの本体販売台数は大きく伸びたのですが、ソフトの方はなかなか増えてこない状況が続いていました。そんな中、ニンテンドー3DSカンファレンスで、ソフトラインナップの充実を発表。サプライズはMH4などでしたが、任天堂自身が前から用意していたキラーソフトとして、「スーパーマリオ3Dランド」があります。

スーパーマリオ3Dランド - 3DS

スーパーマリオ3Dランド - 3DS

この3Dランドがいよいよ先週発売。注目の売上も先ほど発表されました。

4Gamer.net ― 「マリオ3D」34万本,PS3「アンチャーテッド」「バトルフィールド」各12万本。大作ソフトが揃ってランクインした「週間販売ランキング+」

初週34万本。DSやWiiのNewマリオが80万本越えをしているのに比べると少ないですが、3DS本体がまだ200万台ぐらいと考えるとかなりいい数字と言えるのではないでしょうか。3DS本体も14.5万台と大きく牽引しています。今後のモンハン、マリカも含めた年末ブーストを考えると、十分今年度ミリオン狙えるスタートを切ったように思われます。

自分はちょっと様子見だったのですが、初日のネットでの評判が上々だったので金曜日には購入。その後プレイして昨日とりあえず、最初のW8クッパを倒してエンディングを見たところです。ここまでで簡単に感想を述べてみたいと思います。

Newスーパーマリオの2.5D風味

まず、ゲーム全体の印象ですが、3Dとは言いますがマリオ64とかの完全3Dの流れではなく、どちらかというとNewスーパーマリオにもう1軸増やしたような感じ。全体からうける印象や、ステージ構成、旗を触れることでクリアするゲーム性など、このあたりはNewマリオの流れを引き継いでいる感じですね。Newマリオがファミコン世代でも安心して楽しめることで大きく売上を伸ばしたので、その流れを生かしたかったというところでしょうか。
New スーパーマリオブラザーズ New スーパーマリオブラザーズ Wii (通常版)

そのおかげで、自分はDSのNewスーパーマリオをプレイしていただけに、すんなりと何の違和感なくゲームに入り込むことができました。そういった人も多いのではないでしょうか。

ステージ自体も、2D的横スクロールが基本で、その中で上下にも動けるというものが目立ちます。もしくは縦方向で左右にも動ける、という。そういう意味では、完全な3Dではなく、単に直交する一軸を増やしただけ、2.5D的なイメージです。それだけにとっつきやすい。

立体視の効果〜自然では完璧ではない

さて、任天堂が「これぞ立体視の魅力」ということを示す意味合いもあるこの3Dランドなんですが、たしかに立体視は非常によく出来ていると思います。nintendogsをやったときはちょっと飛び出しすぎて少し自分が普段持つよりも遠目に3DSを構えないと駄目だったんですが、3Dランドは自然な位置で楽しめました。視点は「おすすめ」と「ディープ」を選べ、おすすめの方だと若干飛び出し、若干凹むといったバランス。対してディープの方は、飛び出さない代わりに奥行きがぐっと深くなり、立体感としてはより高まります。ただ、自分はおすすめの方でプレイしていましたね。他のゲームはボリュームを半分ぐらいでやっていましたが、これはフルボリュームでOKでした。

立体視のおかげで、臨場感はぐっと高まります。ためしに2Dに戻してみると実に味気ない。ストIVのように立体視をオフにしても解像度が上がったりFPSが上がったりもしないようなので、あまり立体視オフにするメリットはないかもしれません。

とはいえ、立体視も完璧ではありません。手前・奥方向にジャンプで移動したりするときは、立体視があってもやはり位置関係は掴みづらく、落下死が続発しました。マリオの下に影が出るので、それを頼りにせざるを得ない時も。それでも、立体視オフよりは分かりやすいとは思います。ときどき、PSの無限回廊のようなだまし絵的ブロック配置があったりするのですが、立体視だとまるわかり。むしろ、後で「ああ、これってだまし絵のつもりだったんだ」と思うことすらも。(これはタイトル画面を放置しておいて表示されるチュートリアル画面でもすでに確認できるんですけどね。)

あと、根本的なところとして、やはりどうしてもアクションが激しくなり熱中してくると、3DS本体も動かしてしまって立体視がずれてクロストークが発生してしまいます。優しいステージではいいのですが、激しいステージだとそのクロストークによる見にくさにいらいらすることも。特に、W8クッパの最後はダッシュ押しっぱなしの連続ジャンプアクションとなり、とても立体視を調整する余裕もない状態。結局最後は3Dボリューム最小にしてプレイしていましたね。

細かい心くばりの効いたデザイン〜すれ違い要素も

細かいところまで心配りが行き届いているのも、安心の任天堂クオリティ。特に、連続プレイしているときの休憩アナウンスは、Wiiのころからの定番ではあるのですが、いい休憩タイミングになります。このマリオは一ステージが短いものが多く、ついつい次のステージへ、と遊び続けてしまうのですが、それをうまく一拍置かせてくれます。

ステージをクリアするごとにセーブも自動。ただ、この時毎回暗転して3秒程度待たされるのはちょっと鬱陶しい印象も。せめて暗転はしなくてもいいのでは、と思うのですが、セーブ中の誤操作防止のためなんでしょうね、多分。あとは、難易度調整として、繰り返しステージで死んでいると、救済用に金のはっぱやゴールまで飛ぶことができるパタパタの羽なども出てきます。自分はいちおう、今のところ使わないでいますけど。

その他、すれちがい通信の要素も入っています。このすれ違いにより、キノピオの部屋などにアイテムがMii付きで補充されます。名前が見えないのは意図的なんでしょうかね。また、一度EDを見るとタイムアタックがワールド画面で見えるようになり、ここにすれ違った人のタイムが表示されます。世界ランキングならぬローカルランキングというか。なかなか面白い試みかと。ただ、残念なのはこのすれ違いが3人までしか3DSにためられないということ。すれちがいMii広場などで見ても、10人は混んだ電車とかならすぐ溜まってしまいますし、その半分異常がマリオだったりしします。そう考えると、3人はちょっと少ないなぁ、という印象。

アスレチック感覚のステージ〜ボリュームは満点

ステージとしては、ワールド変わっても結構各々のワールドで変化に富む分、ワールドごとの違いがあまり感じられない、というところはありました。雲の上のステージなどどこも似た感じですし。その辺は残念なところも。

しかし、自分は最初のEDをクリアしたところですが、このあともスペシャルステージ、そして裏面と結構なボリュームがあるようです。そもそも、まだ各コースに3つあるスターも集めきっていませんからね。スターは序盤は結構トリッキーなところに隠されていることも多いです。1-1の2個目のスターが、しょっぱな全然見つけられず、何度も1UP集めも兼ねて訪れているうちに、ふとひらめいて見つけた感じです。

全般に、敵を倒すアクション要素よりは、各種仕掛けを飛び回るジャンプアクションが中心な印象。変身要素として、ファイア、たぬき、ブーメラン、ヘリとあるんですが、たぬきが一番多い形。たぬきはジャンプ中B押しっぱなしでゆっくり落下するので、難易度がぐっと減ります。また敵もYで回転アタックにより倒せるので、距離感分からずジャンプミスで敵にぶつかるというミスも防げますので。ファイアは跳ね返りが大きく意外と使いにくい。ブーメランは一回に一つ、さらに行って戻ってくるのが遅いので、これまた使いにくいですね。

まとめ〜安心して楽しめる鉄板ソフト

以上、ざっと感想を述べてきましたが、感想としては単純に「おもしろい」「プレイして気持ちいい」というものですね。3DSを買ってまず一本、ということであれば安心して購入できるソフトだと思います。裸眼立体視についても、劇的というほどでもないですが効果があるのは実感できるつくりになっていますし、そういう意味でも良いソフトかと思います。