ニンテンドー3DS アンバサダープログラム、ファミコンソフト10本配信開始

発売半年で1万の大きな値引きで勝負に出ているニンテンドー3DS
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15000円とDSに近い値段となり買いやすくなったわけですが、一方でそれまでに25000円で購入していた人に申し訳ないということで、任天堂がアンバサダープログラム、というものを用意していました。

ニンテンドー3DS|ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラム|Nintendo

アンバサダー(大使)という耳慣れない言葉を選んだ意図は良く分からないのですが、ようは事前にeショップに接続してある3DSの個体に対して、後からファミコン10本、GBA10本を無料配布する、というものでした。特にユーザー登録などはいらないため、任天堂から補填されること無く中古を抱えているところ(自分で見たところではTSUTAYA)なんかでは中古の3DSを店員がeショップ登録し、現定価の15000円で販売する、なんていう便乗商法なんかをやっているところもありました。

さて、その無料ソフト配信、ファミコンについては9/1から配信、ということになっていたのですが、本日から前倒しで落とせるようにはなっています。

分かりづらいダウンロード方法〜既に「購入済み」扱いで「再ダウンロード」が必要

ダウンロードの仕方については、公式に手順のPDFが公開されています。

「ニンテンドー3DS アンバサダー・プログラム FAMICOMソフトのダウンロード方法(PDF)」

また、eショップにつなげば動画で手順を見ることもできます。こっちの方がまだ分かりやすいですね。ただ、「まだ」と言ったのは根本的にイレギュラーな形でのダウンロードが必要となるからです。今回提供される10本について、ユーザーが10本まとめて1ステップで新規にダウンロードする手順が用意されていないだけか、1本ずつ新規に購入・ダウンロードする手段とも少しことなっています。10本は予め「購入済み」扱いとされていて、購入済みソフトの一覧から「再ダウンロード」という形でダウンロードするのです。これは分かりづらい。なんで始めて取得するものが再ダウンロードなのか。
実情としては、ファミコン用のVCのショップのメニュー部分はまだできていない、もしくは通常の販売形態と違っているので使えない、ということで、その購入ステップをすっとばすことで対処した、ということでしょう。購入済みになってしまえば、後は共通化されているので。そういった実情は容易にわかるのですが、これも技術者の都合。そんなの知らない人から見れば「変な仕様」であることは自明です。MHP3rdHDの手動セーブデータコピーもそうでしたが、自分たちが相手にしている客にこうしたことへの理解が十分でない人が多数混ざっていることを理解していないのでは、という泥臭い仕様ですね。「機能的に満たされている」ことは、必ずしも顧客満足度を満たしている訳ではないんですけど。

元々、今回の値下げは当初予定になく、アンバサダーとして無償提供する、というのも急に決まったことなのでしょう。開発者たちにとってみれば年末ぐらいの想定だったものを大幅に前倒して仕様に無い形で提供するわけで、これでも精一杯なのかもしれません。でも、それが表に見えてしまうようでは失敗です。こんな中途半端な形でVCを提供するぐらいなら、素直にクラブニンテンドー3DS登録した人の住所に、ニンテンドー3DSソフト1本交換券を配布とか、そういった施策のほうがシンプルでよかった気もします。eショップのアピールや、過去ソフトの電子配布なら懐があまり痛まない、というのはPSNのお詫びソフトでもあったことですけど、あれよりも変なやり方ですね。

快適性にかけるeショップのUI

そもそも個人的にeショップのUIが相変わらずいまいちです。10本も今回配信していますが、相変わらずダウンロードは1本ずつ完了まで待つ必要があります。360やPS3ならバックグラウンドダウンロードできるのに。ファミコンということでサイズが小さいためまだ速いのですが、GBAもこれやられるとするとうんざりです。それまでにバックグラウンドダウンロードぐらい実装しておいて欲しいですね。せめていつのまに通信で。あと、ダウンロード直後のソフトが、プレゼントに包まれてメニューに置かれるのもいまいち。複数ダウンロードすると、プレゼント箱ばかりがならんでどれがどれだか分かりません。10個もプレゼント開けるだけでも面倒臭い。eショップから戻った直後の挙動も変です。少しだけ操作を受け付ける時間があり画面をスクロールしたあたりでダイアログがポップアップ、「新たに追加されたソフトがあります」とメッセージが出てきます。そんなの分かっているから操作していたのに、それを中断されてメッセージが出てくるので鬱陶しいだけです。

Wiiのメニューの時から思っていましたが、本当にこのあたりのUIやOS周りは任天堂苦手ですね。個々のソフトもほとんどスライドスティックで操作できるのにボタンを押すのだけいちいちタッチしなければいけないところが、微妙に残っていたり、それもソフトによってばらばらで統一感が無かったり。ゲームデザインや難易度、初心者へのアプローチなど、そういった部分については非常に丁寧なアプローチができるのに、システム的なものになると途端に統一感が無くなったり不便になったりするのを、いい加減改善していただきたいところです。

表示が細かすぎる?ファミコンソフト

ファミコンソフトの方についてですが、GBAでのファミコンミニの時のように上下が潰れてしまって微妙に不自然になるということが無いのはいいですね。ただ個人的感想としてはちょっと画面が小さすぎです。文字とかが小さくて見づらい。GBAだともうちょっと大きなフォント使っているゲームが多かったと思うのでいいかもしれませんが、ファミコンについては正直3DSはあまり向いてないのでは、と感じました。

後、中断して終了すると、次回中断した場所から復帰できるのですが、これもちょっと分かりづらいですね。他の3DSのソフトでは中断して再開しても、また初めからになってしまいますので、この仕様では中断時に今のプレイ状態が保存されるかわかりません。Wiiでも特に説明なく、メニュー戻ったときの状態が保存されて次回復元されるのですが、あれは基本的にゲーム→メニュー、メニュー→ゲームの素直なやりとりです。それに対して、3DSの場合はゲーム→メニューは一緒ですが、そこから別のゲームを立ち上げる際に「中断しているソフトを終了する」という確認を求められます。これが分かりづらさを生んでいると思います。他の3DSゲームでは、ここで落としてしまえばその時点のデータは消えてしまいますからね。VCソフトに付いては、ここで終了させても実際にはデータは保存されているのですが、そのことが直感的に伝わってきません。今回のファミコンのソフトは特にセーブ機能も無かったり微妙なのも多いので、うっかり長時間遊んだ後、どうやって状態を保存して終了すればいいのか戸惑ってしまう、そういったユーザーが出てくるような気もします。このあたりのUIも見直しをかけた方がいいのでは、と感じます。

もう一点、なんか下画面に「VCメニュー」を選ぶ灰色の部分があるんですけど、そこが微妙にノイズが乗って波打っているのも気になりました。

まとめ〜場当たり感が強いアンバサダープログラム

以上、ざっと触れてきましたが、やはり場当たり的な印象が強く感じます。値下げに対して無償で多数のソフトを提供するという行為そのものは太っ腹であると感じはしますが、任天堂側のいっぱいいっぱいなところが露呈されてしまっているのがちょっと残念な印象です。また、そもそもファミコンソフトというのもGBAでのファミコンミニWiiでのVCと2回リバイバルのブームとして取り上げているだけに、今更感は感じるところはあります。マリオゴルフとかは今やってもなかなか楽しかったですけど。

とりあえず、個人的にはもうちょっと根本的にUIのアップデート、eショップ仕様の見直しなどに注力して欲しいところですね。あとは、Mii広場の活用例など。過去の任天堂ソフトブランドにおんぶに抱っこな施策がどうも増えてきてしまっていて、斬新なこと、イノベーティブなことを任天堂に求めている自分としては、ちょっと残念な展開が続いています。岩田社長のQ&Aなどを見ると、現状分析などについては未だ的確なコメントをされていると感じるだけに、それに対応する施策が打てていないところにもどかしさを覚えますね。以前の「触って楽しい」「新しい体験にワクワクする」、そんな驚きの提供を見せていただきたいです。