米SCEがボタンの重要性を訴える「yaybuttons.com」開設〜アンチKinectな内容
日本でも11/20の発売が決まった、Xbox360用コントローラフリーシステム、Kinect。
- 出版社/メーカー: 日本マイクロソフト
- 発売日: 2010/11/20
- メディア: Video Game
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一方、PS3もWiiライクな操作をカメラとマーカーの組み合わせで実現する、PSMoveを日本で10/21に発売予定となっています。
- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: Video Game
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Kinectは、距離検知機能付きカメラを用いることで、完全コントローラフリー、ボタンフリーを実現しているのですが、その一方、ボタンが無いことによる操作の面倒さなども指摘されています。これは、自分もE3で体験した際に感じた感想でもあります。
E3レポート〜Microsoft Kinect編 - わぱのつれづれ日記
この点に対して、米SCEの方でKinectのコントローラフリーな操作を批判するような、アンチKinectサイトが立ち上がったようです。
Sony launches anti-Kinect attack website, yaybuttons.com -- Engadget
PS Moveのボタンを押すと次々メッセージ表示
以下が公式のサイトです。
上記サイトで、PSMoveのコントローラのボタンをクリックすると、いろいろメッセージが次々と表示されます。以下、一部のメッセージの概要を記してみます(多少意訳を含みます)。
- ボタンの無いプレイなんて考えられる?ボタンがなければ、指でトリガーを引いても狙撃も出来ない。ボタンならすべてができる。
- Pauseはどうするのか。一人がボクシングをプレイ中、前を横切るときに、「Pause!」と叫べなければならない。ボタンなら手元でPauseできる。
- コードの入力は?一文字毎に、「Sは〇〇のS」みたいに言わなければいけないのか?ボタンなら選ぶだけ。
- ボタンは非常に多くのことができ、多くの人に支持されている。プラットフォーマー、ダンサー、プレーヤー、パズラーなど。
基本的に、「ボタンが無いといかに不自由か」をアピールしている形です。たしかに、この主張は理にかなっているとは思います。iPhoneがプラットホームとして拡大しても、ボタンや十字キーがないことがデメリットの一つとしてあげられますし、そうした指摘を任天堂もしています。Kinectもすべてボタンや十字キーなしで操作するのは、面倒だなという感じもしますからね。物理的なフィードバックを得られないジェスチャー操作では、いくつか違和感が生じるのは確かで、そうした点で自分も否定的な意見はあります。
新しい取り組みを、既存の技術で否定する意味
ただ、一方で、ボタンなしでの操作をいかに快適にするかは、UI設計のひとつの腕の見せどころでもあります。そうした新しいことをやろうとしていることに対して、既存の技術を元に批判をする、というのもちょっと後ろ向きな印象も受けます。
個人的には、Wiiのアプローチを踏襲し、HDで同様の操作ができるPS Moveは理にかなった現実的なデバイスだと思っています。ただ、今回のようにKinectを既存の技術を元に批判するのは、技術の広がり、改善を否定しているようにも感じます。そもそも、コントローラフリーでも操作を最初に世に広めたのは、Playstation Eyeで、SCEな訳ですし。PSEyeの経験を元に、「やっぱりボタンは必要」ということなのかもしれませんが、それはあくまで現時点のSCEの判断であり、まだ始まる前からコントローラフリーの可能性を否定するのは、もし今後SCEがコントローラフリーのシステムを提供する際に、逆に自分への批判として返ってきてしまうようにも感じますね。
DSのタッチパネルの操作も、いろいろ否定はされましたが、これならではのゲームがいろいろ出てきました。iPhoneも物理ボタンなしですが、仮想ボタンでの代用、それ以上にタッチパネル中心の独自ソフトが多数出てきています。ボタンが無い不自由さは確かにあるのですが、それ以外の特徴を使った新しいソフトが出ているわけで、ボタンだけにこだわってしまっては、こうした可能性を自らつんでしまうことにもなりかねません。
「完全ジェスチャ+音声操作」というプラットホームがKinectで生まれることで、開発者もこれまで以上に「ボタンが無い世界」での操作を真剣に考える必要が生じます。そうしたことで、失敗事例も多数生まれるでしょうが、中には「こういう使い方があったか」「これなら実用性があるし、新しい体験」というものが生まれるかもしれません。そうしたイノベーションに向けた土壌ができたことは、今後のゲームの発展に向けてひとつ好ましいことのように感じます。(Wiiでの多数の失敗例で、会社自体が疲弊したような弊害、危険性が生まれる可能性も、もちろんありますけど。)
「PS Moveならでは」のポジティブキャンペーンにも期待
ライバル会社の製品の欠点をとにかく指摘するネガティブキャンペーンはアメリカ企業ならでは、という感じもしますが、現状PS MoveがWiiとの差別化が十分できておらず、その実用性に対してインパクトという点では今ひとつアピールしきれていないところもあるように感じます。できれば、「WiiでもKinectでもできない、PSMoveならではのソフト、ゲーム」をどんどん提案し、ポジティブな方向で展開していってほしいなというのが、個人的感想です。閉塞感のあるゲーム業界を、お互い足の引っ張り合いをするのではなく、イノベーションをぶつけ合う形で改善していってほしいものです。