Apple、他社の受信感度低下事例を続々と追加〜止まない執念

iPhone4の受信感度低下問題で、症状をみとめケースの無償配布手続きを始めたApple。しかし、一方でこの不具合はiPhone4だけの問題でないという姿勢を崩しておらず、わざわざ公式サイトにページを立ち上げて、他社製品でも受信感度が低下する例を報告しています。

Apple、スマートフォンにおけるアンテナ問題検証ページを公開 - わぱのつれづれ日記
Apple - Smartphone Antenna Performance
アップル - スマートフォンのアンテナ性能

釈明会見の場で動画などを示して言い訳していた時ですら見苦しいと思っていたのですが、その後米Appleでサイト掲載、うわぁさすがアメリカと思っていたら、まさかの日本語版掲載でドン引き、という流れでしたね。しかし、それだけではAppleは満足していないようで、数日後Nokiaのケースを追加していました。

動画:アップル、ノキア N97 miniもアンテナ問題ありと紹介

たしかに、最初の他社批判でNokiaを槍玉にあげながら、検証ページでのせていなかったのは筋が通らないと思い、自分も先のエントリで指摘していましたが、本当にその後に事例を見つけ、わざわざページを更新して「ほらほら、Nokiaでも起こるんだよ!」と見せてくるさまに、正直「子供じみている」という印象をうけましたね。

そして、これだけにとどまらず、今度はモトローラのDroid Xのケースまで追加となりました。

アップル、他社スマートフォンの「実験」をまた更新。今度はモトローラDroid X

前回は「子供じみている」と思っていましたが、まさかの再度の更新に今度は「狂気じみている」という印象すら受けました。ネットとかで、プライドの高い方がちょっと批判を受けただけで、狂ったように暴言を吐いたり他人を批難する様を見かけることがありますが、まさにそんな印象。「なにそれ怖い」というか、近づきたくないというか、そんな恐怖の感覚すら覚えてしまいます。

繰り返される他社批判に消費者も辟易

前回の「他社を巻き込んだ言い訳ページを、わざわざ更新」というところでもかなり引かれていたのですが、さらに追加で更新が来たということで、さすがに多くの方が辟易としているようです。ittousai氏の洒落のきいた皮肉も冴えを見せていますし、はてブの数や、Twitterでの感想などを見てもそれが感じられます。

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こうした他社を批判することで自社への批難を逃れようとすることは、日本では特に嫌われる行為ですが、本家engadgetのコメント欄を見ると、辟易としているのは何も日本人にかぎったことではないようです。

Apple keeps antennagate alive with Droid X's 'kill switch' (video) -- Engadget

ざっと見ただけでも、「いいからもうやめなよ」みたいなコメントが溢れていますね。他にも実際に製品を持っている人も多いだけに「再現が難しいんだけど?」みたいなツッコミも見られます。Appleの好意的なファンですら、苦言を呈している形です。

「無償ケース配布」でも大きくイメージの異なる任天堂Appleの対応

製品に対して、その設計そのものにケチが付き、結果的にケースを無償配布した、ということについては、今回のケースは任天堂Wiiリモコンジャケットのケースと似ています。ただ、その対応から消費者に与えている印象はだいぶ異なっているようです。

ただ、Wiiの場合はリモコンすっぽ抜けからストラップ強度不足に指摘が行き、最初はそちらを無償配布。騒動がそれである程度鎮静した中で任天堂がさらに対策を練り、だいぶ皆リモコンすっぽ抜けのことを忘れた頃になってケースを無償配布&同梱販売と一気におこなったことで、結果的に任天堂の対応は評価されました。

今回のAppleのケースは、ひたすら自らの言い訳に終始、メディアが騒ぎ過ぎと批判、さらに無償配布後も他社の例を探すことに躍起になっています。せっかく、多額の負担をもってケースの無償配布を決めたのにもかかわらず、自ら燃料を注ぎ続けている状態で、ある意味大盤振る舞いを台無しにしている状態。実際、ケースの方も納期に2ヶ月かかるとかいう例もあるようで、対策としての微妙感も出ています。iPhone4の電波問題を皮肉った、絆創膏型のシールが販売されていますが、もしこういった製品でも改善できるのなら、Wiiでストラップを配布したように、まずはシールの無償配布でもよかった気もします。

iPhone 4アンテナ問題を解決する Antenn-aid

物事の限度をわきまえた対応を

Appleは、現在世界を代表するイノベーターであり、様々な新アイデアを素晴らしい体験と共に実現してくれる企業で、自分もiPhone購入以降かなりファンになってきています。そうした独創的な発想を支えるものとして、スティージョブズの強烈な個性があることは確かなのですが、物事には限度というものがあるのではないでしょうか?釈明会見で、ジョブズは多額の資金を投じた電波実験室を自慢し、また社員が遅くまで頑張って働いていることを訴えもしていました。しかし、それはこうやって他社のあら捜しをして公表するためなのでしょうか?他社の例を上げるのであれば、実験環境などのデータの詳細を提示するべきでしょうし、単に批判するだけでなく、「こうすれば問題は発生しにくい」「Appleならこうする」という方向に話を持って行ってくれれば、もっと建設的なんですけど。いくら他社の例を見せても、肝心の批判の発端のiPhone4の問題が根本的に解決していない状態では、やはり説得力は無いと思います。

AppleにはぜひiPhone4のアンテナ問題をハード的に改善してもらい、素晴らしい製品を作った上で、いつものように他社に比べていかにAppleのデザインが優れているかを存分に自慢して欲しいものです。「アンテナ問題のすべてを変えます、もう一度」と。