Apple、スマートフォンにおけるアンテナ問題検証ページを公開

昨日の会見でiPhone4の受信感度低下について事実を認め、ケースの無償配布を発表したアップル。一方で、この問題はiPhone4だけに起因するものでなく、スマートフォン全体の問題だとして、会見でも他社携帯での受信感度低下例を引き合いにだして主張を繰り返していました。

そして、その実機を使った立証について、会見後に即Webでその詳細を発表しました。

Apple - Smartphone Antenna Performance

自社のページに、他社の製品の実機を使って欠点をとうとうと説明するということで、比較広告が許されているアメリカならでわだなぁ、と思っていたのですが、なんとこのページの日本語版も作られてしまったようです。

アップル - スマートフォンのアンテナ性能

他社も非難することで自社の正当性を主張

正直、これは日本人の感性にはあわないのではないでしょうか。よく日本で外資系の企業が不祥事を起こした際、まず謝ることをせず言い訳をしてしまい、問題を大きくすることがありました。アップルの場合、かなり前から日本で展開していますし、あまり外資という印象は日本人に持たれていないような気はするのですが、さすがにこのやり方は「いかにもアメリカの会社だな」という個人的な印象です。時間と労力を費やし「悪いのは自分だけでない」ということを必死に探していたわけで、「それより他にやることがあるのでは?」という気もします。(最も、「なるほどもっともだ」と素直に頷いてくれるファンも大勢いるとは思いますが…。)

立証内容についても、アップルが発表する他社の製品の弱点報告に、どの程度の公平性があるか疑問も残ります。あげられている機種も限られていますし、実験環境などのデータも明らかになっていません。そもそも、Droidなんてキャリアも違うわけですし、電波強度が同一の状態でテストすることもできないでしょう。また、iPhone4は実際に通話ドロップが生じうると報告があるにもかかわらず、このページの立証例はアンテナ1本が残った状態。バイアスが全くかかっていない公平なデータと断言するのは難しいようにも思います。(おそらく、コンシューマーレポートなり他の機関やファンが追試しそうな気もしますが。)

以前槍玉にあげたNokiaの例無し

それに7/2の発表(日本語訳7/5)では、以下のような発表内容になっていました。

まず、ほとんどの携帯電話は、特定の持ち方をすることで受信状態が悪くなり、受信状態を示すバーが1本以上少なくなることがあります。これはiPhone 4でもiPhone 3GSでも、あるいは多くのDroid、Nokia、RIM製の携帯電話でも同じです。
iPhone 4に関するAppleからのお知らせ

しかし、今回槍玉にあげられたのはDroid、RIMとなぜかSamusung。Nokiaが上がっていません。以前の発表と合わせるのであれば、Nokiaでの例も上げるのが筋だと思うのですけどね。Nokiaは7/2で槍玉に上がった時点で以下のように反論をしていました。

Nokia: 'we prioritize antenna performance over physical design if they are ever in conflict' -- Engadget

もしかしたら、Appleは実際の試験で顕著な感度低下が見つけられなかったのかもしれませんが、それならそれで、一旦明確に社名を出して非難した以上は、実際どうだったのかを示す必要があるとおもうんですけどね。

消費者に不快感の与えない対応に期待

iPhoneが普通に普及して多くの人が当たり前のように使っている米と違い、日本ではまだiPhoneはブーム的、マスコミも含めてミーハーなノリがあることも否めません。そうした中、こうした騒動についても、日本では寛容であるようだとWall Street Journalの記事でも書かれていたりすることもあります。

IT / 【ブログ】日本ではiPhone4の障害もどこ吹く風 / The Wall Street Journal, Japan Online Edition - WSJ.com

今は製品の魅力、需要がネガティブな部分を上回っているからいいのかもしれませんが、この先数年、十年とどうなっていくかはわかりません。世界最高峰の時価総額を誇る企業として、今後も世界的に商売を展開していくのであれば、各国でもう少し消費者の目線に立った対応をとるようにした方がいいのではないでしょうか。一ユーザーとしてできれば今後も応援したいと思っているだけに、全体としていい方向に向かうように願いたいところです。