ニンテンドー3DS ファーストインプレッション

E3で披露された任天堂の次世代携帯ゲーム機ニンテンドー3DS。現状において携帯ゲーム機で圧倒的シェアを誇る任天堂の後継機であり、裸眼3Dという「見てみないと分からない」というものだけに、是非とも実際に手にとって確認してみたいものでした。実際に現地で体験してきたものを以下で紹介してみたいと思います。

開場前から大行列〜プレイまでに2時間以上

開場前からホール入り口には多数の人が並んでいました。そうしている内に12時に開場。入場は基本的に皆早足程度で、駆け出す人はごく少数でしたね。

いの一番に任天堂ブースに向かうと、すでに結構な行列。どうやら、実際に展示している会社の方々が先に行列を作っていたようです。デモは少人数のグループを段階的に入れて入れ替えながら実施しているようで、結局プレイまでには2時間以上待つ必要がありました。ただ、並ぶ場所はちょうど任天堂ブースの真ん中で、両側にWiiの新作タイトルが各種展示されており、それを見学することも出来ました。

3DS実機&カードなどの展示

行列で並んでいる通路の途中には、3DS実機の展示も。展示されていた3DSは赤、青、オレンジ、紫と光沢感のあるメタリックな外観。個人的にはちょっと色合いがきつすぎるような印象もしましたが、高級感はかなりありますね。車の塗装っぽい感じでしょうか。

その他、端末の他に3DS用のカードリッジおよびパッケージも展示されていました。こちらを見ると、基本的にDSと大きくメディア等が変わることはなさそうです。カードリッジは右上のところに鍵状のところがあり、これがDSLDSiに後挿入してしまうのを避けているようです。

また、バッテリーチャージ用のクレイドルも展示。イヤホンの場所に考慮されてあるのを見ると、3D映画を見るときのことを考慮してあるのでしょうね。

3DSの体験プレイ

行列で待つこと2時間以上。ようやくデモプレイの順番に。デモは10名程度のグループを順番に3DSブースに入れ、2ラインを交互に出し入れしている感じでした。ブースに入ると、各種ある3DS端末を自由にまわって試すことが出来ます。ただし、グループ入れ替えの時間制限ありで、自分はその部分をちょっと聞き逃していて後半駆け足での確認になってしまいました。このため、展示されていた物の漏れとかもあるかもしれませんが、ご了承ください。

ブースでは、実際にプレイできる物と、単に裸眼立体視の効果を見るためのCGデモの2種類が存在。この中で、自分が体験したのは以下の物です。

他にもペーパーマリオなどもありましたが残念ながら時間切れでした。

実機の触感・印象

まず、最初に3DSを触れた際は、いろいろとさわり心地、持ち心地などをチェック。表面の質感は、見た目通りすべすべした形。重さは、想像していたより全然軽く、既存のDSiなどと大差無い印象。実際後でWebでスペックを確認しましたが、約16ぐらい重いだけみたいなので、許容範囲内の重さでした。

スライド式のアナログパッドは、操作感はPSPのものと近い感じ。ただ、3DSの方は表面がラバーコーティングされているのか、非常にしっとりとした質感になっています。真ん中もへこんでおり、指にフィットして非常にスムーズに操作可能。PSPでも上にカバーをつければ同様の感触になったりしましたが、それが最初から実現されている感じですね。

上画面の横には3Dの立体深度を調整するボリュームが搭載。自分はこれが単純なON/OFFと思っており、微妙な調整部分が可能かどうかについては体験していませんでしたが、ぐらつきもなくスムーズに調整可能でした。下画面の下側にはHomeボタンなどが。これは、シート型のプチプチボタンになっていましたね。

タッチペンについては、3DSは伸縮型のものになっています。実際、自分はすでにDSLでもDSiでも同様のスチール製伸縮タッチペンを使っていただけに、標準搭載になったのは歓迎ですね。

3DSによる立体視、操作感を体感〜3D Paddle Ball

まず最初にプレイしたのが、この3D Paddle Ballという技術デモ。ボールを板でお互い跳ね返し合う3D版ブロック崩しみたいなものですね。上画面がプレイ画面、下画面が操作画面となっています。またプレイ画面の後ろ側には3Dカメラで撮影した画像がリアルタイムで表示されており、いろいろと3DSの特徴を体感できるデモでした。

実際、プレイしてみて感じた感想としては、最初綺麗に見るための頭の位置、3DSまでの距離の調整に苦労しましたが、そのあたりの調整が終われば結構自然な形で立体視を確認することができます。このあたりの位置がしっかり決まらないと、映像のズレとかが発生して、ちょっと気持ち悪い感覚を受けます。

立体感としては、「飛び出してくる」というよりは「奥行き感を感じる」という表現の方が適切ではないでしょうか。上画面右側のスイッチで立体視のON/OFFを調整できますが、その切り替わりは非常にスムーズ。立体視オフの方が見やすいですが、ONにすることでぐっと奥行き感が増してリッチな体験をすることができます。ただ、そこまで劇的に見た目が変わると言うことはありません。このあたり、どちらの方が好みか、プレーヤーの意志でいつでも切り替えられるようになっているのはいいと思います。

ウィッシュルーム風?なADVゲームデモ〜Hollywood 61

Hollywood 61は、サスペンス風のADVゲーム。リアルな登場人物が最初話しますが、ぺらぺらでコマ送り風な演出。提供はUbiSoftとなっていましたが、すごくCINGウィッシュルームっぽい雰囲気も感じました。開発スタッフなどは特に表示されていないので、実際のところはよく分かりませんけど。

その後、部屋に入るための謎解きが登場し、これがデモのメイン。画面にならんだ鏡の向きを切り替えて、下から放射されている光を上側まで反射させていくというものです。よくあるパズルですが、これで結構とまどってしまったのが、今回時間が足りなかった原因かもしれません。

パズルを終えて部屋に入るとステージの幕の前にぶら下がる首つりの死体が。この状態で、アナログパッドで視点を動かすことができます。立体視効果がよく確認できる形ですね。特に斜め視点などで立体視ボリュームを切り替えるとよく分かりました。

有名タイトルの映像を立体視で〜メタルギアソリッドキングダムハーツ

その他は、いろいろと立体視を確認できる映像デモが展示されていました。まず任天堂のものとしては、ファミコンゲームを立体視できるデモ。マリオやテニスといったゲームが立体視で確認出来ます。元々が平坦なものですので、立体になると言ってもキャラと背景が分離されるといった程度ですが。ただ、バーチャルコンソールとかで標準で出来るようになると、ちょっと面白いかもしれません。

サードパーティの作品も、有名タイトルが多数ならんでいました。ただ、どれもどこかで見たようなシーンで、既存のものを3DSの映像に落とし込んだような感じもしました。メタルギアソリッドは、最初のジャングルのシーンではアナログパッドで視点を自由に移動させられましたね。映像的には、ジャギが結構見えるところは気になりましたが、ポリゴンの粗さはそれほど目立たず。バイオなどは5ベースのCGキャラでしたが、かなり自然な形で表現されていました。PSPよりちょっとリッチな感じ、というところでしょうか。スペックを確認すると、解像度は800x240で、立体視状態で400x240のようですので、大体その通りの印象です。

デッドオアアライブなどのデモを見ていて感じたのは、「既存の映像も、立体視でより立体感が増し、綺麗に見える」というところ。特に、背景とキャラが離れて見える効果が大きいです。立体視無しだと、背景とキャラが一体化してしまうため、ごちゃごちゃした印象がしてしまうほど、切換をしたときのインパクトの差はありました。解像度が低い分、オブジェクトの切り分けが立体視で補完できるのも効果が大きくなっているのだと思います。

まとめ〜様々な「プラス」が感じられるDS

以上、ざっと今回体験した感想を述べてきました。裸眼3Dということでかなり奇抜な印象が持たれていたところもありますが、実際に触れてみると結構堅実な進化をとげたDS、という印象がします。立体視も、既存のCGに+αで立体感を加える形で、全く奇抜な新しいものになっている訳ではありません。

それだけに、アナログパッドの追加、CG能力の向上、立体カメラやモーションセンサーなどの追加要素は、そのまま既存のDSにプラスされていく感じですね。「ラブプラス」がどんな進化を遂げるのかも興味深いところ。今回は、サードのソフトなども有名タイトルが最初から多数紹介されていますし、PSP2の発表もなかったことから、携帯ゲームとしては敵無し状態。それだけにいろいろ充実したコンテンツが楽しめそうなのも魅力的です。(あえて競合するところと言えばiPhoneiPadでしょうか。)今回モーションセンサーや立体カメラなどを駆使した新しいゲームデモは体験できませんでしたが、また新しい体験をさせてくれるものが出てくることも期待したいです。

今回、具体的な発売時期や価格の紹介などは無し。ただ、実機を見る限り各種のプラス要素はあるものの、そこまで桁違いに高い価格にはならないようには感じました。プレイアブルを大量に用意できるところを見ても完成度はかなりのもの。実際の発売もそこまで遠い未来では無いように思います。発売が非常に楽しみですね。