iPad、北米で発売〜 Wi-Fi版ファーストインプレッション

iPhoneスマートフォン業界を席巻するApple。そのiPhoneの大型版とも言うべきiPadが、北米で4/3発売となりました。基本的には通販か店頭受け取り予約の2つなのですが、その予約受取であっても全米のいろいろなところで多くの行列が出来ていたようです。

「「iPad」全米で発売、千人近くが列」 News i - TBSの動画ニュースサイト

ITmediaでも行列&購入時の詳細なレポートが着ています。

ついに米国で発売:行列に並んで「iPad」を買ってきました (1/2) - ITmedia +D PC USER

今回自分もiPadの16GB版とiPad専用純正ケースを購入しましたので、ざっとレビューしてみたいと思います。

シンプルでコンパクトな外装・パッケージ


パッケージの大きさはiPadの大きさとほぼ一緒となっており、フタを開けるとみっちり詰まったiPadが姿を見せます。その下には簡単なマニュアルが入っており、さらにそれをどけると、ACアダプタとUSBケーブルが入っています。パッケージとしてはこれだけ。非常にシンプルです。

質感高いボディー〜それなりに重量あり


上・右側面
下側

iPadのボディー。表面のガラス部分はiPhoneとほぼ同じ触感ですね。下側にコネクタ、その右にスピーカー。音量調整の位置はiPhoneとは逆の右側側面。これは、後述するケースと一体で使った時のことを考慮していると思われます。上側は左にイヤホン、右にスリープボタンと、これは一緒ですね。

また、実際に持ってみるとかなりずっしりとした重量感があります。片手で持つことは普通にできますが、それなりにしっかり持たないと落としそう。立って片手で使用する際は、反対側の側面を抱え込むようにして持つなどの工夫も必要かもしれません。

ジャストフィットで複数使い分け可能なケース

ケースの方は、表面がマットな手触りのラバー状になっています。ケースの中にiPadを入れるとかなりキツキツの状態。ずれるようなことは全然ありません。またケースに入れた後、さらにその入れ口のところをカバーする形にもなっている念の入れよう。ボリュームやコネクタなど、操作用に開いた一部の部分以外は、iPad外側の金属は完全に隠れた形となります。

また、ケースの上蓋の機構がユニーク。裏側に回し、背面にある切れ目のところに上蓋を差し込むと、スタンドのように扱えます。公式にある画面の通りですね。

横置きにすると程よい傾斜ができて、キーボードの入力が直感的に行うことができます。

また横置きでも立てる方向を変える事でディスプレイを立てて見ることもできます。動画の閲覧、などに非常に適しています。さらに縦に垂直に立てることも可能です。

気になったところとしては、上蓋をロックする機構がないこと。持ったときなどにパカって浮いてしまう時があるんですよね。軽い爪みたいなもので固定できるようになっているとより良かったかな、と思います。

値段は$40程度ですが、これを使うだけでiPadの使い勝手は格段に増すと思います。

起動〜初回はiTunesへの接続が必要

さて、実際に開封して最初の起動ですが、iTunesとの接続をする必要があります。PCが必要になるので、注意が必要です。購入後、帰宅中の電車の中で開封して使用、とか考えていた方は、店頭でセットアップしてもらうなどの必要があります。

起動直後は、主要アプリケーションが表示されるだけの状態。 壁紙が美しいですね。ちなみに、壁紙はロック中の画面と、ホーム画面で表示されますが、各々別に画像を設定することができます。また、デフォルトでも19枚ほど美しい壁紙がインストールされています。

アプリはAppStoreでダウンロード出来ます。現状、iPadの日本AppStoreはアクセスできない状態ですが、PCの方でダウンロードしたアプリを同期させて使用することは可能です。すでに、日本のAppStoreでも世界対応で発売された各種アプリがダウンロード出来るようになっています。iPhoneと同じPCのiTunesであれば、iPhone向けに購入していたアプリをiPadでも使うことが出来ます。ただ、アプリごとのデータや設定は共有されないようです。

日本語フルキーボードで入力

言語も、最初から日本語に対応。設定画面で日本語表示に設定し、さらにキーボードも日本語を選択出来ます。現状、iPhoneであったフリック入力は無し。場面によってはなれたフリックを使いところもあるだけに、できれば追加して欲しいところではあります。

フルキーボードについてですが、ケースを付けて横置きで寝かして使うと結構快適に使えます。ブラインドタッチも可能。ただ、軽く触れるだけで入力されてしまうことがあるので、ホームポジションや小指でAキーに軽く指を載せて文字を打つ自分のスタイルだと、多少注意が必要です。一番違和感が大きかったのは上記の写真でもあるように、文字変換候補の画面。文字入力後、スペースバーで変換候補を出すのですが、これが現在入力中の箇所に反映されません。あと、iPhoneだと文字入力後の確定ボタンが青色になっていましたが、iPadだと普通にreturnキーのところにボタンの色が変化せず存在します。このため、直感的に確定ボタンが分からない、という状態があるのはUI的にどうだろう、とは思いました。結構リターンキーの場所って、決定ボタンの代わりにしては中途半端な位置なんですよね。

軽快な操作のSafari

iPhoneの情報閲覧の核となるSafariですが、これも全体的にiPhoneよりもキビキビした動作をしてくれます。見た目もダブルクリックで拡大しなくてもしっかりと文字を読むことができ快適です。

タブ切り替えボタンは、画面左上に位置。このボタンを押すと最大9個まで切り替えて表示されさます。表示が古いページに付いては、選択時に再度ロードされるのは、iPhoneと同じ仕様ですね。

「リッチなiPhone」といった感じのアプリ群

その他、アプリについては、基本的にはOSが一緒ということもあり、基本的にはiPhoneの延長といった感じにあります。ただ、どれも高解像度、大画面化したことで、一度に表示される情報は増加、写真などのクオリティも向上し、美しい表示となっています。また、UIとしてもこれまでのiPhoneで複数画面に切り替えていたものを、画面分割で同時表示できるようにしていたりして、使い勝手があがっています。

一見目新しさがないとも言えますが、iPhoneを日常使っている身としては、このリニアな進化はメリットも大きいです。まず、操作方法が直感的にわかりますし、その操作性向上度合いも体感できます。「iPhoneでの操作は、本当はこんなに広がりがあったんだ」って感じですね。画面の制約が格段に減ったため、タッチ操作をのびのび生かせている感じです。

特に標準機能で特に大きいのは写真機能。こちらはアルバム単位で大量の写真を瞬時に閲覧できます。画面も大きく、拡大も容易なため写真を見るのが楽しくなりますね。スライドショーも曲を流しながら行うことができますが、シャッフル再生はできない感じでした。また写真の下側に表示されるサムネイルにより、劣化した画像ではありますが超高速にサーチすることなどもできます。フォトスタンド、フォトビューワーとして、パーティなどで他人に旅行の時の写真を見せるなど、いろいろ重宝しそうです。

iPhoneアプリの拡大表示はいまいち

iPadの特徴として、iPhoneのアプリがすべて動く、というところがありました。ただ、これは結構いまいち。

等倍表示では画面中央で小さく表示され、2x拡大表示をしても、小さく表示したものをそのまま2倍に拡大しているようで、文字とかのスケーリングがしっかりおこなわれておらず、ジャギジャギのまま拡大されてしまっています。元から文字が大きかったアプリはそれほど目立ちませんが、小さいやつだと結構ひどいことになります。とりあえず動く、というところでしょうか。今後のアプリの対応に期待です。

まとめ〜リッチでなビューワー

他にも、まだ自分自身いじっている最中で、いろいろ話したい内容もあるのですが、とりあえずこのあたりでファーストインプレッションとしたいと思います。

全体的に使っていて感じたのは、上記でも触れたように「リッチなiPhone」ということ。iPhoneと比べ解像度、画面サイズがある分、各種アプリの使い勝手が上がっているものも多いです。一方、ポケットに入れていつも持ち運べるわけではありませんし、自分が買ったのはWi-Fiモデルなので、無線LANのない環境では使えません。基本的には家の中での各種コンテンツ・情報閲覧用というところですかね。重さはそこそこあるため、椅子に座って足やお腹辺りに触れる形でくつろぎながら見る、という感じが自然な感じもします。

一方、純正ケースを買えばスタンド機能、キーボード機能の活用につながります。その気になればノートPC替わりに使えなくもありません。その場合は標準フォルダなどの機構がないのが少しネックですかね。Googleを中心にシンクライアント的に使うのであればありだと思いますが。

とりあえず、すべてはiPad対応のアプリ次第、といったところでしょうか。すでに楽器関連としては相当な注目を集めていますし、大画面マルチタッチ、という特徴を生かした新しいアプリも出てくることでしょう。ゲームでも、傾き感知プラス大画面3Dというのは、他の携帯ゲーム機にない特徴ですし、すでに発売されているゲームでも高評価を受けているものもあります。

アメリカで先行発売している関係で、日本での発売日にはある程度「定番アプリ」も出来ているかもしれません。日本での値段、3Gのキャリア発表などがいつどうなるか、興味深いところです。

追記:バッテリーについて

iPadのバッテリですが、かなり長時間持つ印象です。Webブラウズなどが中心であれば、なかなか減っていきません。一日で使い尽くしてしまいそうなほど減るiPhoneと比べると持ちがいい感じ。明確なベンチマークはしていませんが。

一方、WindowsのPCだと、USB接続時に充電されないという点も指摘されています。

iPad: Charging the battery

自分も母艦のPCはWindowsXPなのですが、たしかに接続しても右上に「充電中ではありません」と表示されて充電出来ませんでした。MacのハイパワーUSBポート、もしくは付属の10W ACアダプタを使う必要がありそうです。Windowsの場合だと、複数のUSBポートや外付けACアダプタで電力を補強できるケーブルなどがありますが、それらで対応可能かどうか。そのうち、動作確認のとれたiPad充電対応をうたうものが出てくるといいのですが。