ニンテンドー新携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」発表〜2011年3月期発売、E3で詳細

これまでいろいろ噂の上がっていた任天堂DSの次世代機。GDCで特に発表もなく、これからE3まで特に大きな動きはないかな、と油断していたところで、いきなり任天堂から電撃的なアナウンスが飛び込んできました。それは、裸眼3D対応の次世代DS、「ニンテンドー3DS」です。

任天堂、新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」発表 -GAME Watch
プレスリリース(※PDF)

内容は非常に簡潔で、PDFだけの発表となっています。ハードの名前は「ニンテンドー3DS」。裸眼3D立体視に対応しているのが大きな特徴。DSiやDSとのソフトが動作することも考慮されているようです。CG性能などの詳しい点は一切不明です。

発表タイミングの意図は?

それにしても、なぜこのタイミングで、この内容の発表なのか。PDFだけというのも意外な形はします。Wiiの時は、E3の前に名称だけをWebで発表する、ということがありました。このときはE3ではWiiの内容紹介に時間を使い、その紹介内容の印象を強くするため、という理由を後で述べていました。Wiiという物議を醸しそうな名前は、E3までに議論させてしまおうと。

それに対して、今回の発表はまだE3まで3ヶ月近くあります。これから情報を小出しにしていくのか、それともE3まで一切黙るのか。まだ定かではありませんが、何らかの意図はあるはずです。ひとつは、年度末の段階で株価を引き上げておく、ということもあるのかもしれませんが…。

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ただ、北米では3/28に発売されるDSiXLには、むしろ悪影響を及ぼしそうなところもあるんですけどね。

裸眼立体視から推測される事項

現在、主にテレビの世界において、3D対応は進められています。BDの3D規格対応も終わり、テレビの方でもパナソニックソニーが積極的に3D対応のTVの発売を打ち出しています。また、PS3もゲームの3DTV対応を行うと発表していました。

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ただ、これらは基本的にメガネをかけて見る立体視。主に映画の次のステージを目指してハリウッドとメーカーの共同でプッシュしている展開です。実際に消費者が高いお金を出して、眼鏡をかけて室内で3Dムービーを見るか、と言う点では疑問視も持たれています。

一方、今回発表されたニンテンドー3DSは、裸眼立体視をうたっています。この方式は、CEATECなどの展示会では結構おなじみのものですね。いろいろな会社が各々の技術を使って発表していました。自分もいろいろと見たりCEATECで質問したりしたことがありますが、各技術共通してあった課題が「視野角」「奥行き感」「解像度」といったところ。

視野角については、少し頭をずらして見ると、画面の見え方の切り替わりの縦縞が見えてしまうところがありました。これは、おもちゃの立体シールとかでも体感できるところですよね。「奥行き感」については、裸眼だとどうも表現が難しいところがあるようで、それほど飛び出しては見えません。あと、解像度は、複数の視野に対する映像を詰め込む関係上、実際の液晶の画素に対して、表現できる映像の解像度が小さくなる、というものがありました。CEATECなどでもVGAぐらいの展示が多かったですよね。

E3での詳細発表に期待

任天堂自体は、基本的には部品は他に作ってもらって機体を組み上げる会社ですので、上記のような技術からかけ離れたものにはならないようにも思います。幸い、上記で挙げた問題点は携帯機で小さい画面であるならば影響が小さいものも多いです。現状のDSとの互換性を維持しながら、大きな要素を加える、と言う点ではひとつの無難な展開かもしれません。

もっとも、個人的には通常の裸眼3Dディスプレイは体験済みで、あまり驚きの体験とまでは行きません。特に、ソフト面、サービス面で既存のDSと大きく変わるかと言うと、それがありません。Wiiの際も、最初モーション入力を目玉として発表していましたが、最後の段階でセンサーバーを使ったポインティング、リモコンのマイクなど、いくつかゲームなどにも関わる新しい要素が加わっていました。3DSの場合も、おそらくまだ他の要素も隠されていることでしょう。

かつて発表をしては他社に真似されてきた経緯のある任天堂。今回の裸眼立体視も、ソニーであれば技術は持っており、現在開発中と噂されるPSP2で即、取り入れてくる可能性もあります。ただ、PS3SIXAXISのように、ソフトとの密な連携がとれてないとうまく活用出来ず、結局あとからMoveを出す、といった展開になったところもあります。SCEとしても、それがあるだけにただ真似する、というのは慎重になるかもしれませんね。

昔、スーパーファミコンで大きなシェアを握っていて、誰もが次の構成のゲーム機を期待していた中で発表された立体視ゲーム機「バーチャルボーイ」。この時は次世代機だと思っていて肩透かしにあった感じで大失敗に終わりましたが、流石に同じ轍を踏むことは無いよう対策はしてくるはず。いずれにせよ、裸眼立体視以外の性能的要素も含めて、E3での詳細発表を楽しみにしたいと思います。