SCEがPSN関連のPS3不具合について状況報告〜24時間以内の解決を約束
日本時間3/1午前9時(グリニッジ標準時3/1午前0時)頃から世界を襲ったPlaystation Networkの接続障害とそれに関連するPS3の不具合。詳細な情報が公式からあまり提供されず、ユーザーによるデータ破損報告や修理交換例の多いエラーコード表示への困惑の声などが多数上がっていました。
Playstation Networkで障害が発生〜オフラインにも影響? - わぱのつれづれ日記
そんな中、ようやくSCEの公式ページで、今回の状況についての現状報告があげられました。まず最初に上げられたのは欧州と北米。同一の英語の文面が同時に上げられています。また、その後しばらくして日本でも別途日本語の案内がされています。
欧州:PSN Error Update – PlayStation.Blog.Europe
米国:Latest info on PlayStation Network Status – PlayStation.Blog
日本:PlayStation.com(Japan) | インフォメーションセンターからのお知らせ
以下、SCEJの案内文の引用です。
ただいま、PlayStation®3(PS3®)をご利用の一部のお客様の環境において、PS3®(新型PS3®を除く)に使用している時計機能のバグが原因による問題が発生しており、以下のような障害が確認されています。
(障害例)
・PS3®本体の日付が2000/01/01になってしまう。
・PlayStation®Networkにサインインしようとすると「エラーが発生したため、“PlayStation Network”からサインアウトしました。(8001050F)」とエラーが表示される。
・ゲームを起動しようとすると「トロフィー情報の登録に失敗しました。(8001050F)」とエラーが表示され、トロフィーデータが表示されなくなる。
・インターネット経由での日付と時刻の設定を行うと「時刻設定に失敗しました(8001050F)」とエラーが表示される。
・PlayStation®Storeで購入したレンタル方式のビデオが有効期限内であっても、再生できない。本日中には修正ができる見込みですが、それまでの間は、トロフィーなどの機能にエラーが生じ一部データが回復できなくなる可能性がありますので該当のPS3®のご使用をお控えください。
お客様には大変ご迷惑をおかけいたしておりますことを深くお詫び申しあげます。
とりあえず、原因は旧型のシステムのバグで、症状はいろいろ各種ユーザーから報告されているとおり。そして、問題は24時間以内に解決する見込みのようです。
「24時間以内に解決」の根拠は〜うるう年誤認識が有力?
この24時間以内に解決、というものですが、その根拠はどこにあるのでしょう。これについて、24時間(日本版では「本日中」)と言う時間指定から、これまで有志によって解析されていた「うるう年判定の誤動作」の説がより有力になったように思われます。
前の記事のコメント欄で述べた考察を以下にものせておきます。
NeoGAF - View Single Post - DO NOT TURN ON YOUR PRE-SLIM PS3 - calendar bug messing up systems
先のエントリのP.S.5のところで引用した上記の記事を考察すると、どうも問題を起こす機種は、現在の日付を「2/29」とうるう年と誤認しており、結果として無効な値をOS側に返している可能性があるようです。このため、OSが無効な日付だと認識し、結果システムの時刻を初期値である2000/1/1に戻しているのではないかと。また、そうした無効な日付の値から、PSNのサービスでも「致命的エラー」と判定してエラーコードをだしているのかもしれません。
一応、日本時間の3/2午前9時になれば、PCなどの機械で時計管理に広く用いられているグリニッジ標準時(GMT)でも3/2になり、内部のシステムが一応有効な日付を返してくる可能性があります。そうなれば、あとはサーバー側の手続きで対応可能、ということなのではないかと思われます。
過去にソニーワンセグウォークマンで似たような症例
今回のケースと似たような例が、実は過去にもソニーの製品で生じたことがあります。
ソニー、ワンセグ「ウォークマン」に“うるう年”問題−2月29日にEPGが取得できない不具合
ソニー、ウォークマンAのワンセグ“うるう年問題”を改善
これは、2008年2月29日、正真正銘のうるう年のときに起きた問題で、同じくネットワーク関連の不具合です。公式の改善アップデートのアナウンスを見ると、起きていた症状として「再生できません。ファイルが破損しています。」 と表示されるといったものもあり、今回のケースと似ていると思います。
ダウンロード | ポータブルオーディオプレーヤー WALKMAN “ウォークマン” | サポート・お問い合わせ | ソニー
このとき、ソニーがとった対応は「2/29のEPG使用の自粛願い」というものでした。そして、問題の日時が経過した後、余裕をもって対応し、4月にファーム修正を行っています。
同様の対応がとられる可能性も
上記の例に載っとるのであれば、今回も似たような対応がとられるのかもしれません。つまり、クリティカルに問題の起こるGMTでの3/1はとりあえず使用自粛で乗り切り、問題が起こらなくなってから、後日ファームウェアのアップデートの際にあわせて問題修正する、という形で。
もっとも、今回のケースで本当にPS3本体の中のデータが一切破損していなかったら、というところはあります。日付や認証関連だけの不具合で、PSNとの正常同期後は破損状態が回復するのであれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合はそうした悠長な対応もとっていられないでしょう。
また、今回情報提供が遅れたことにより、ユーザー側で自主的にHDDの初期化などをしてしまい、物理的にデータが消えてしまったような例もありえます(実際、コメント欄でもそうした報告が寄せられています)。こうした事態で消えたセーブデータなどはおそらくSCE側の対応では復元は難しいでしょうから、今回の不具合の傷跡を完全にぬぐい去ることはできないかもしれません。
複雑なシステムラインナップの弊害か
本当にうるう年関連の不具合だとすると、うるう年でない年でうるう年問題を起こすというのも珍しいようにも思いますね。少し前だと、「うるう秒」関連でMSのZUNEと東芝gigabeatで不具合があったりもしますが。具体的に、何がバグの原因なのか、知りたいところではあります。
マイクロソフト Zune 30GBに閏年バグ、12月31日に動作停止 (追記:gigabeatも)
また、新型では発生していない、というところも興味深いところです。クロック関係のハード、もしくはソフトで、旧型とは使用の異なるところがあると言うことなんですよね。PS3は、これまでに機能や仕様のことなる多数の型番の機種をリリースしています。これらをすべて動作可能な形で検証することに、無理が生じてきているのかもしれません。
いずれにせよ、すでに売出してしまった以上は、旧型サポートもずっと続ける必要があるでしょうし、今回のような障害がまた生じうる可能性はソニーについてまわるかもしれません。また、情報公開が遅れ、世界中の多くのユーザーに故障体験をさせてしまったと言うのは、PS3に対する信頼性を大きく損なってしまったようにも思います。
とりあえず、PSNは今後のソニーのネットワークサービスの中核を担うと期待されているサービス。今後のユーザーからの不満に対して誠実な対応をとり、信頼回復に努めること、また同様の不具合を起こさないようシステム開発やチェック工程の見直しを十分に行っていただけたら、と思います。
P.S.
予想されたように、日本時間午前9時、GMTで3/2午前0時になったタイミングで、PSNと正常に接続できるようになった例が続々と報告されているようです。
enabled games unplayable and limited the use of PlayStation Network downloads.
上記コメント欄を見ると、まだ一部うまく動かないといったコメントも見られます。今回の件との因果関係は不明ですが。まだ公式アナウンスは出ていないので一応、公式にOKが出るまではもうしばらく待った方がいいでしょう。
P.S.2
米PS公式ブログにて、PSNの問題が解決した件がアナウンスされています。
PlayStation Network Service Restored – PlayStation.Blog
上記の記事の簡単な訳は以下のとおり。
原因がうるう年誤認識であることを正式に認めてますね。直に、SCEJからも正常化したことのアナウンスが出るのではないでしょうか。
P.S.3
SCEJのアナウンスも出ました。内容は上記と一緒です。これで一安心といったところでしょうか。
PlayStation.com(Japan) | インフォメーションセンターからのお知らせ
あとは、オフラインで獲得したトロフィーの扱いとかですかね。ユーザーの不満が高まらないように適切に対応してもらえれば、と思います。