iPhoneOS搭載タブレット端末「iPad」発表〜$499から

iPhoneで世界中のスマートフォン市場を席巻しているApple。自分もiPhoneを愛用しており、ネットに地図に動画に音楽にと、常に手放せない存在となっています。

そんなAppleが、本日サンフランシスコで朝からイベントを開催。そこで、新製品の発表が行われました。

速報:アップル "latest creation"イベント、iPad 発表 - Engadget 日本版

前々から、タブレットPCが出るだろうと予測されており、前日にはabcニュースなどでもリーク映像が流れたりしていたわけですが、結果的にはその予想通り、という感じでしたね。

巨大な「iPhone」「iPod Touch

具体的に発表された製品は「iPad」。詳細は以下のページをご覧ください。

米Apple、9.7型タッチ液晶搭載/720p対応の「iPad」 - AV Watch

Engadgetのファーストインプレッションはこちら。

アップル iPad 実機ギャラリー&インプレッション(動画追加) - Engadget 日本版

全体の感じとしては、「巨大なiPhone」という形ですね。ゲーム機風に言えば「iPod Touch LL」。OSもiPhoneOS3と、現行のiPhoneと同様のものが使われています(バージョンは一歩進んで3.2のようですが)。iPhoneのアプリもそのまま動作可能。等倍モードと、2倍拡大モードで実行できるようです。等倍モードはちょっと周りが寂しい感じもしますね。スーファミスーパーゲームボーイのように、周りに専用の壁紙とか表示できたら面白そうかも、と思ってしまいました。iPhoneOSということで、最初から多数のiPhoneアプリが使えるのはいいのですが、一方でマルチタスクもありません。使い勝手がiPhoneと一緒ということですね。もうちょっと何とかならなかったのかな。

電子ブックインフラをねらうiBooks

その他の応用としては、iBooksというサービスを立ち上げ、正式に電子ブック産業に参戦。米国ではすでにAmazonKindleが結構なビジネスを展開しており、土台は出来ていましたから、その部分でもAppleはインフラを握ってしまいたいと考えているのでしょう。このiPadの本筋は、電子ブックの方にあると思われます。また、独自のアプリとしてiWorksのiPad版を$9.99で提供。タッチ操作を使った描画やプレゼンなど、iPadの活用範囲を広げてくれそうです。

ハード的な部分としては、カメラが搭載されていないのが一つ。この辺はiPod Touchみたいですね。ビデオチャット用に内側のカメラぐらいあってもよかった気もしますが。その代わり、ドックコネクタを介してカメラを接続できる周辺機器を発売。また、VGA出力アダプタも存在します。また、一番インパクトあったのは、キーボードも使えるドックですね。できればiPhoneでもBluetoothでキーボードを使えるようにしてほしいところですが、OSのアップデートが無いとすると難しいかな。

ゲームプラットフォームとしてもアピール

iPhone,iPod Touchの時点でゲームプラットホームとしても大きくアピールしていましたが、今回のiPadでもより高解像度なゲームを高いクオリティのCGで提供できるようになったことで、よりアピール度を増してきた感じですね。オンラインソフト販売のインフラとしては、AppleStoreは最強ですしね。

また、画面が大きくなった分、キーパッドを表示させてもゲーム画面をそれなりに大きく取れるので、これまでみたいに親指で画面の1/3を隠しながらプレイ、というよりは快適になりそう。両手を駆使するマルチタッチゲームなんかも出てきそうです。(とりあえず、トランプのスピードとかリアルにできそう。)

今回のiPadは外付けディスプレイにも出力できるので、あとはBluetoothでの通常コントローラ接続&操作も認めてくれたら、据え置きゲーム業界をも脅かしてくるかもしれませんね。

WiFiモデルは16GB $499、3G付は+$130で

値段は、3Gなしの16GBモデルで$499から。大体、ネットブックあたりの価格というところでしょうか。32GB,64GBと倍増するごとに1万円ずつ上がっていくのはいつものパターンですね。また、今回は3Gデータ通信機能つきモデルも用意され、これは$130プラスされるかたち。

米国では今回もAT&Tが通信キャリアとなっていますが、今回は契約での縛りはなしで、プリペイドプランのみの模様。250MBまでの制限ありで$14.99/月、使い放題で$29.99というのは、日本のプランと比較すれば安いでしょうかね。イーモバイルプリペイドプランだと4400円/月ですし。iPhoneの場合、AT&Tでは元々データ通信は$30で提供していたので、同じ価格帯ということになります。ただ、AT&Tの場合、通話プランとして最低でも$39.99のプラン(ローカルエリアかけ放題、その他一定額通話付)に加入しなければならないので、iPhoneに限ればホワイトプランが使えるソフトバンクの方が通信メインの人には安いですけどね。everybodyでの月々割引もありますし、3Gも米国より繋がりますし、日本のiPhoneユーザーは米国よりは恵まれているかと。

今回の3G機能ですが、ハードウェア的にはSIMロックをかけずに販売される模様。GSM micro SIMというものが使われるようですが、具体的にどのキャリアがこのSIMおよびデータプランを提供するかは不明。ただ、2年契約縛りが無いことを考えて、マルチキャリアになる可能性は無くはないでしょう。(もっとも、米国でAT&T独占のようなので、結局iPhoneと大きく変わることはない気もしますが。)

発売はWiFiモデルで60日程度、3Gモデルで90日程度かかる模様。世界では3Gについては6月、7月ぐらいということなので、もうしばらくかかりそうですね。

iPhone?MacBook?iPad?〜悩ましいラインナップ

以上、一通りiPadの話題に触れてみましたが、それではこのiPadを買うかどうか、というと結構微妙な位置づけの製品のように思います。基本的には大きくなったiPhoneという形で、大画面によりWebや電子ブックの閲覧が快適になる面がある一方で、持ち運びの際にポケットに入らない、操作に両手が必要になると言った、モバイル面でのデメリットもあります。どっちかというと、ネットブック的な位置づけになるわけですが、タッチキーボードではどうしてもリアルキーボードには劣るでしょう室内ではドックを使えば解決はできますけど。また、ノートPC的に使うのであれば、素直にMacBookでいいのでは、というところもあります。OSXで自由度も高く、iPhoneの母艦などにも適していますしね。

ということで、既にiPhoneを持っている自分からすると、かなり微妙な製品。これがOSX搭載でiPhone母艦&iPhoneアプリ開発もできるような端末なら手を出したんですけどね。Android採用PCのApple版というところでしょうか。利用シーンを考えると、パソコンが無い箇所での動画閲覧などでしょうが、iPhone3GSでも結構な性能でAirVideoやeXstreamNicoなどを使えば無線を使って快適に使えています。画面がでかいのは電子ブックや漫画に適していると思いますが、電子ブックは、日本ではまだサービスが軌道にのっておらず、あと一ヶ月程度ではろくなコンテンツがそろわないようにも思います。

一方、まだiPhoneを持っていない、iPod Touchを買うかどうか迷っていたような人には、一つの選択肢になるかもしれません。PocketWiFiと組み合わせて使う、というのも一つの活用法でしょうね。3Gキャリアがどうなるか、というところも判断材料になってくるかと思います。

それでも、目の前にするとおもわず欲しくなるのがAppleの製品でもあります。正式な発売日の時には、アメリカでまた大いに盛り上がるのではないでしょうか。日本での展開も含め、この後の情報に注目です。