アクティビジョンCEOがPS3撤退可能性を言及〜ロイターが報道

ギターヒーローコールオブデューティシリーズなどを擁し、世界屈指のゲームソフトメーカーであるアクティビジョン。ただ、日本ではあまりメジャーではなく、2度進出するも2度とも撤退するという状態でした。

そんなアクティビジョンのCEOが、現行のPS3の状況に対して苦言を呈していて一部で話題になっていたのですが、今日になってロイターがこれを取り上げたことで騒動が大きくなっているようです。

米アクティビジョン(ATVI.O)、ソニー(6758.T)の「PS3」向けソフト開発を中止する公算=CEO | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters
米アクティビジョン、ソニー「PS3」向けソフト開発を中止する公算=CEO(ロイター) - Yahoo!ニュース

個人的には、このCEOの発言を聞いたときは、よくある値下げ圧力などの発言と思って聞き流していたんですよね。PS3の開発が難しいこと、本体価格が高いことなどは今に始まったことではないですし、以前にも似たような発言は他からありましたからね。薄型PS3や値下げの噂もあるだけに、それを見越したツンデレ発言かとも思っていたのですが、これだけ騒ぎになるとそうも言っていられないところはありますね。

冒険に出づらいPS3、ソフトメーカーから揺さぶり

PS3は未だ逆ざや状態から脱し切れておらず、ソニー自体も厳しい経営状態であることから、PS3で損を増やさないような展開をしているように思います。赤字覚悟でシェアを狙う戦略は取っていませんよね。その消極的な姿勢に、ソフトメーカーが不満をあげるのも分からなくもありません。Xbox360に比べればアーキテクチャが特殊で、単なるマルチ展開でもメモリ制約などでいろいろ苦労がうかがえますしね。日本ではHDゲーム機としてXbox360を突き放していますが、最大の市場である北米では逆に大差をつけられていますので、立場的には厳しいものもあるでしょう。

ただ、そうは言ってもいきなりPS3の開発から手を引く、ということは無いように思います。なんだかんだ言ってもまだまだPS3は大きな市場ですからね。欧州ではPSブランドは強い人気を誇っていますし。アクティビジョンも大手とはいえ、世界不況の中厳しい状況ですので、より厳しい立場のソニーに揺さぶりをかけている、というところじゃないんでしょうか。

世界市場の影響は日本にも

現状、日本のゲーム業界では任天堂が世界に通じるソフトを出している反面、従来PS2などで多数出ていたソフトはファン層が限定、JRPGなどアニメ調のゲームは海外では通用しないなど、市場規模的にもゲームの種類的にも世界的に浮いた市場となってきています。そのため、ゲームメーカーはどうしても視点が海外へと向けられ、海外市場をにらんだゲーム制作が進められています。今回のアクティビジョンの件も、日本で有名でないメーカーだからといって日本のユーザーが笑っていられる話では無いんですよね。PS3ほど大きなプラットホームとなると、海外市場でやっていけないのに日本でだけ成り立たせる、なんていうのは非常に困難でしょうから。

とりあえず、今回の話も2010年、2011年に開発するゲームについての話であり、ゆさぶりの意図が大きいのは確かでしょう。果たして、これを受けてソニーがどういったリアクションに出るか。下手に出ると他のソフトメーカーにもいろいろつけ込まれそうですし、かといって強気に出て本当に撤退されてしまったら目も当てられません。ドロドロとした政治的駆け引きが、今後行われそうですね。