フェイストラッキング技術を応用したゲームが登場〜TeaTime「Tech48」

ファミコンで本格的に普及したディスプレイ+コントローラという形のビデオゲーム。そのコントローラは長らく十字キー+ボタンという形のものが使われていましたが、その他にもPSでのEyeToyDSiなど、カメラを使った画像認識技術によるゲームプレイというのも、いくつか取り組まれています。そんな中で、ある技術を応用した技術が、PCの18禁ゲームで実用化されると言うことで、注目を集めています。

具体的には、「TeaTime」というメーカーの「Tech48」です(注:18禁ゲーム)。

Tech48

TeaTimeという会社は、3Dエロゲーとして非常に高い技術を駆使したゲームを提供している会社ですが、今回は顔認識・追跡技術として「フェイストラッキング」をゲームに応用するようです。

カメラをつかい顔の位置を認識し、CGを変化

具体的なデモムービーも公開されているようですね。

技術的には非常にシンプルで、ディスプレイ側に取り付けたカメラで顔の位置を認識。その顔の移動に併せて相対的に3DCGも変化させることで、まるで実際に3Dモデルを回り込んで見るような感覚を味わえる、というものです。顔の位置を認識したり、映像を取り込んだりすることはEyeToyなどでも既に行われていることですが、3D CGも変化させて立体感を出すという実用例は、あまり見た覚えがありませんね。

これと似た技術は、自分も以前以下のエントリで紹介したことがあります。

新たなゲーム体験を実現?! 〜 Wiiリモコンを使った人体検知システム - わぱのつれづれ日記

上記のシステムは、Wiiリモコンの先頭に搭載されているカメラをつかい、LED付きのめがねをトラッキングすることで頭の位置を認識。その動きに応じて3DCD自体を変化させて立体感を表現するというところは、今回紹介するTech48のものと一緒ですね。Tech48は、頭の位置の認識に顔認識を使っている分、特別なマーカー装着無しに使うことができる非接触型のがメリットですね。

ただ、カメラ自体が今回のTech48では専用のものを用いている感じもします。カメラの左右に、なにやらLEDっぽいものも見受けられますからね。カメラ側で赤外線を発光し、それが顔にあたって反射するものを赤外線カメラで撮影することで、カメラからの距離を把握しているのかもしれません。カメラで距離を測る技術としては、比較的メジャーなものだと思います。一般的なUSBカメラを使えないとすると、ちょっと割高かもしれませんね。

コンシューマ機器での応用は?

今回は、PCのしかもエロゲーでの応用となりましたが、この技術自体は一般のコンシューマ機器でも十分に応用可能な技術だとは思います。というか、むしろコンシューマーのほうで先に導入して欲しかった技術ですね。

一番適用しやすいのは、標準でカメラを搭載されているDSiのゲームでしょうか。一応顔認識技術も、ライブラリとしてすであるようですしね。ただ、DSiは処理能力に限界はあるので、顔認識と3D描画を両立してどの程度のゲームを実現できるかは不明ですが。あとは、カメラのゲーム応用を実際に取り組んでいるPS3Xbox360での展開も期待できるとは思います。こちらでは、カメラが標準搭載でないというデメリットはありますが、処理能力的には余裕がありますからね。また、技術の方向性としてはWiiも合っていると思うので、Wii用のカメラにも期待したいところです。赤外線を使った距離測定が必要なら、むしろこれからそうした機構も備えたカメラを、Wiiスピークの時のように出してくる可能性もある気がします。

あとは、具体的にどういったゲームに応用するか、ということですね。技術的には、顔の位置とディスプレイとの相対的位置関係を利用したもの。Tech48の例では、3Dキャラを回り込んでローアングルからスカートの中をのぞくなど、ある意味ベタにプレイヤー願望をリアルに実現していて効果が分かりやすい分、反響が大きい感じもしますね。女性キャラの目線が常に自分の顔の方を向く、というのもギャルゲーの要素としては効果があるように思います。同様の応用は、アイドルマスターなどで少しことなるアングルからキャラを見たり、タイムリープみたいな3Dキャラのギャルゲでより立体感を出す、ということに期待できそうです。

また、FPSなどでも、完全フリーラン方式のものは難しいかもしれませんが、自動移動型のガンシューティングなどであれば、敵の横側に回り込んで撃ち込むといったゲーム性を実現できるかもしれません。Wiiでの1VS1のチャンバラ戦闘中に、顔の移動で敵の横に回り込み斬りつける、というのも面白そうな感じはしますね。

以上、いろいろと触れてきましたが、バーチャルなゲーム感覚を実現する比較的安価な技術として、今後広がりを見せそうな技術かな、と個人的には感じています。グラフィックの向上だけでは、ゲーム性への変化に限界が来ているので、こうした技術による「新しいゲーム体験」を提供して欲しいな、と期待しています。