スクウェアエニックスがFallout3のゲームエンジンのライセンス取得

携帯ゲーム機やWiiに押され気味のHDゲーム機。ゲーム機本体の価格が高いこと、HDになったことによる恩恵がライト層に伝わりにくいなども要因だとは思われますが、単純にソフトがなかなかそろってこないということも理由の一つになるかと思われます。特に、3Dを駆使しグラフィックスにも凝ったHDゲームになると、素材作りだけでも大変なお金がかかりますし、開発期間も長くなります。HD機の独特なアーキテクチャも、ソフト開発の難度が上がっている原因でしょう。日本と世界での市場規模の違いを見ても、収益を増やすにはマルチ展開が基本になってくると思われますが、これも開発コスト増加要因にはなってきます。

そんな中、少しでもゲーム開発にかかるコストや時間を抑えようと、いろいろと各社取り組みがなされています。国内では、カプコンのMT-Frameworkが成功例として有名ですね。今度Xbox360で出る予定のロストプラネット2ではver.2.00となるようで、着実に進化を続けています。

カプコン、「ロストプラネット2」発表〜トレーラーをXboxLiveで公開 - わぱのつれづれ日記

一方、大手サードであるスクエニもこの分野については積極的で、FF13のベースとなるエンジン「Crystal Tools (旧:ホワイトエンジン)」が、Wiiまで含めたマルチフォーマット対応であると発表しています。

Game Developers Conference 2008現地レポート

ただ、実際にすでに製品を出して実績を上げているカプコンのMT-Frameworkに対して、Crystal Toolsは未だプレイアブルなソフトも無く、その実力は未知数なところもあります。一方スクエニは、このほかに外部からUnreal Engine 3を導入しており、ラストレムナントで実際に採用して発売しています。ただ、こちらも目立つテクスチャの張り遅れや、安定しないフレームレートなど、ゲーム自体はそれなりに面白かったものの、そもそものソフトとしての出来映えの時点で未熟さを露呈してしまったソフトでもありました。

今度は「Gamebyo」のライセンス取得へ

そんなスクエニですが、UE3だけでなく今度は『Fallout 3』でも採用されていたゲームエンジン「Gamebryo」のライセンスを取得したようです。

スクウェア・エニックス、『Fallout 3』で使われるGamebryoエンジンのライセンスを取得 - Game*Spark

国内メーカーだと、アクワイア侍道3なんかがこのエンジンで開発されているようですね。PS3版発売からXbox360発売がスムーズに行われたのは、このgamebryoエンジンのおかげかもしれませんね。

侍道3 - PS3 侍道3 - Xbox360

スクエニの和田社長は海外への志向が強く、これまでもXbox360JRPGをリリースしたり、海外のゲーム開発会社を買収したりしていました。外部からのエンジン導入ということでは既にラストレムナントの例があるのですが、実際問題360でも数々の未熟な点があり、同発予定だったPS3版は発売未定のままだったりと、あまりUE3で成果は上がっていないんですよね。一方、自社製のCrystal Toolsも、まだまだプレイアブルもなく実績無し。そうした状況の中、Fallout3という世界的ヒット作を売ったもののエンジンに、興味を示したのかもしれません。

おそらく、スクエニ内部でもCrystal ToolsとUE3、そしてこのGamebryoのエンジンについて、比較検討を進めているでしょう。果たして、いつ頃このGamebryoを用いたゲームが出てくるか、ですね。Fallout3やオブリビオンのシステムで、FFやDQの世界をさわれるというのも、ちょっと面白そうではありますけどね。