Xbox360「ラストレムナント」ファーストインプレッション

11/20に購入してきたソフトで、残っていたソフトが「ラストレムナント」。

ラスト レムナント - Xbox360

ラスト レムナント - Xbox360

グラフィックは綺麗で、キャラデザも比較的まともだったため興味はあったのですが、東京ゲームショウで端から見ていたときには戦闘でやたら目に付いた処理落ち、それからかなり長い戦闘が気になり、直前まで購入するかどうか迷ったタイトルです。ロストオデッセイも途中でしたし、来週以降も闘神都市IIIやFallout3あたりが気になっているところで、積みそうな感じがすごくしたんですよね。

ただ、結局予約済みだったことと、特典があったことから一応購入。なんだかんだ言って色々練られた作りになっており、この連休楽しんでプレイしています。とりあえず、Disc1枚目、ヌムール炭坑というところをクリアしたあたりの状態で、レビューしてみたいと思います。

専門用語が飛び交うグループ戦闘

まずは、ラストレムナントの肝となるバトルシーン。これが、相当独特ですね。とにかく多数の専門用語、概念が出てくるので、これを把握するだけで一苦労です。

基本は、今までのゲームにおける1キャラを、複数人からなる1ユニットとしている、というのが大きな違いでしょう。行動はユニット単位で行いますし、体力なんかもユニット合計になっています。ですので、ユニット内の特定キャラがやられていなくても、ユニットトータルのダメージを与えると一気にまとめて消滅してしまいます。一気に多数の敵キャラがまとめて消えるのはなかなか爽快です。

その他には、敵味方のユニット間の距離間をコマンドバトルだけで表現するために、いろいろ概念が取り入れられています。まず、ユニット同士が交戦状態になるのを「ロックアップ」と呼び、この状態で固定化されて攻防を行うことになります。ロックアップする前に別のユニットが割り込むと「インターセプト」。1つのユニットに複数のユニットがロックアップすると、「マルチロック」。ユニットを横側から攻撃すれば「サイドアタック」と、専門用語オンパレード。

感じとしては、戦国シミュレーションゲームなどでの団体戦を、コマンドだけで実現してしまっている感じですね。専門用語も、英語ネイティブなら直感的に分かるかもしれないのですが、日本時ではこれだけカタカナ英語が並んでしまうととまどってしまいそうです。海外での展開を視野に入れたゲームではありますが、ある程度こうした用語は日本語名を割り当てても良かったんじゃないかな、とは思いますね。一応、これらの用語はロード中の画面などでチュートリアル的に繰り返し説明されますので、それを見ると徐々に理解は深まってきます。(もっとも、HDDへディスク取り込みしてしまうと、ロードが短くて読みづらいところもありますが。)

ただ、本来かなり複雑なシミュレーション的集団戦争を、従来のコマンドバトルの枠組みで実現しているのは、なかなか良くできるんじゃないかと。個別のキャラに細かい命令が出せないとかもありますが、これが出来ると逆に細かくなりすぎてしまって、さらに戦闘時間が長くなりそうですし。この辺も「割り切り」が見られます。

節々で目立つ処理落ちとテクスチャ遅延

さて、戦闘についてそのシステムの複雑さも気になるところですが、こちらまあこれはこれで味があるという感じはします。いただけないのはやはり、デフォルトで生じる「処理落ち」ですね。とにかく戦闘中はしょっちゅう処理落ちしてスローモーション状態になります。戦闘中、画面に表示されるボタンをタイミングよく合わせて押すとクリティカルが出る仕組みもあるのですが、これが処理落ちがあるときと無いときとでタイミングがまちまちになってしまうのは結構とまどいますね。逆に、処理落ちのおかげで目押しが楽になるシーンも多々あったりはするんですけど。

それ以外に、ダンジョンや街など、ほとんどの場所で「テクスチャ貼付遅延」が見受けられます。PCのゲームなどでも見られる減少で、これはおそらく仕様なんでしょうね。テクスチャを遅らせて読み出すことで、3D描画開始までの時間を短くできるメリットもあるのですが、あまりに頻繁にテクスチャ遅延が毎回起きると、さすがに気になりますね。テクスチャ展開が終わるまで画面を暗転させておくこともできたと思うんですけど、それを選択しなかったということなんでしょうね。

大胆な割り切りの見られる街・フィールド

例えば移動シーン。街やダンジョンの間は直接歩いて移動することなく、マップ上での移動だけですみます(もっとも、実際には街道などがダンジョン代わりになっていて、そこを渡ってからでないと進めなかったりしますが)。HDになってリアルな頭身だと、移動の距離も伸ばさないと変になりますから、このあたりは最近ではよく取られている手法だと思います。

さらにこのラストレムナントでは、街の中の同様の仕組みを取っています。つまり、街自体もいくつかの区画だけ抽出され、その区画間の移動はマップ上から一瞬で行えます。その上徹底しているのが、街の住人との会話。ラスレムでは会話できる住人が限定されています。住人自体は多数いるのですが、その中でも話が出来るキャラはごく一部。そうしたキャラには吹き出しが表示されており、右上のマップ上でも青いマークで分かるようになっています。さらに、物語のフラグ的会話については、吹き出しが赤くなる徹底ぶり。おかげで街のシーンはサクサクすすみますね。

独特なエンカウントと探索システム

また、RPGでよくある道ばたの樽やタンスの中にアイテムがある、というのはこのラスレムではありません。その代わり、「探索」という要素に集約されていて、マップ中の探索点を「ドリル」というキャラを通じて調べることで実施します。この探索も回数が決まっており、このあたりのシステムは「世界樹の迷宮」を思わせるところがありますね。

それから、ダンジョンにおける敵とのエンカウントシステムも独特ですね。敵にただ触れただけだと、それは「不意打ちを受けた」扱いになってしまいます。こちらから攻撃するためには、敵に近づいたところでR2トリガーを使い、エリアを能動的に発生させる必要があります。さらに、RBボタンを使うことで一定時間スローモーションにし、この間にまとめて戦闘したい敵キャラをフィールド上で選択することも出来ます。流れとしては敵を見かけたら少し遠目からRBでスロー発動。いくつか敵をリンクさせた後R2で戦闘開始という感じ。多数をまとめて相手にすると、敵からのドロップも多くなる特典がありますが、逆に敵が多すぎるときなどはRBで細かくリンクして各個撃破するなど、戦略も必要となってきます。この辺も独特ですね。

海外を意識したキャラやストーリー

続いて、キャラやストーリーについて。まだ序盤なのであまり判断はできませんが、いまのところそれほどトンデモストーリーにはなっていませんね。「レムナント」という概念が、若干テイルズオブヴェスペリアのブラスティアと似ているようにも感じますが、まあこの手の概念はよく用いられる設定でしょう。

キャラデザインは比較的落ち着いた感じ。主人公のラッシュですが、最初はちょっと馬鹿っぽいシスコン、という感じでしたが徐々に落ち着いて来た感じ。ただ、どうにも身体の動きが過剰というか、大げさというか。顔が若干アジア風で唇の動きが英語仕様っぽいため、ジャッキーチェンの香港映画を見ているような印象も受けました。

それ以外のキャラでは、金髪イケメンのダヴィッドが、もっとノリいい感じかと思いきや、領主という設定で振る舞いも領主しているところがなかなかミスマッチ。でも悪くないですね。それ以外では、41歳の女騎士のエマがツンデレ風味でなかなかいい味出しています。

ちなみに、ムービースキップは無い模様。この辺は配慮して欲しかったところです。

まとめ〜癖は相当強いがよく練られたRPG

以上、ざっと触れてきましたが、今のところプレイした感じとしては「癖は強いけど、いろいろと割り切りをはっきりさせて練られたRPG」という感じでしょうか。とにかく、いろいろなところで割り切りが目立つ、大胆なゲームデザインですよね。街の移動や会話の省略、フラグの明示化などは戦闘にプライオリティを置く意味でかなりばっさり割り切っています。探索も比較的はっきりしており、街の中を宝探しのようにうろうろする必要もありません。

個人的には、この割り切りは好意的です。オブリビオンみたいに住人との会話を深める、という方向性もこっちはこっちで突き詰めるのも有りでしょうが、こうした割り切りも有りでしょう。フィールドが全く無いとか、明らかに手抜きが感じられるものはイマイチですが、ラスレムでは戦闘も含めて、「大規模・広い世界を出来る限り少ないプロセスでプレーヤーに味わってもらう」というコンセプトが貫かれているように感じます。従来のRPGになれた人からすると面を喰らうのは確かでしょうが、これはこれで一つの方向性ではないでしょうか?

もっとも、そういった割り切りをするならば、戦闘システムについてももうちょっと取っつきの良くなるような用語を工夫して欲しかったですね。自分も最初の方の戦闘は、「自分の選んだコマンドで、一体何が起きているのか分からない」状態でしたし、とにかくこれは取っつきは良くないです。何もかもが独特。ファミ通レビューで各々が「確実に人を選ぶ」と表現しているのは、的を射た発言だと思いますね。(もっとも、このスコアについては癖の強さや処理落ち要素なども考えると、10,10,9,9という点数はちょっと高すぎる気がしますが。)

とりあえず、ちゃんとシステムやポリシーを理解してプレイする上では楽しめるRPGだと思います。王道RPGを求めるなら、ロストオデッセイテイルズオブヴェスペリアの方がいいかもしれませんが、「コマンドでの集団バトル」というものを味わってみたい方にはお薦めかもしれません。ただ、相当に癖は強いので、そのあたりはご注意を。