Xbox360、初のWii越え達成〜据置ゲーム機週販トップ獲得

9/11に値下げが実施され、アーケード版が今世代最安のHDゲーム機となったXbox360

Xbox 360 アーケード (HDMI端子搭載) 【メーカー生産終了】

Xbox 360 アーケード (HDMI端子搭載) 【メーカー生産終了】

スクウェアエニックスの話題作「インフィニットアンディスカバリー」も同時に発売され、各所で中々の売上を見せていたことから注目された先週の販売台数ですが、いち早くエンターブレインから速報記事が報道されました。

値下げ効果でXbox 360が据え置き型ゲーム機で週間販売台数トップに――エンターブレイン調べ - ファミ通.com

見事、週間販売台数でWii越えを達成。PS3PS2も上回り、据置ゲーム機週販でトップを獲得したようです。今回は、この報道に対して、ポジティブな視点とネガティブな視点の双方で触れてみたいと思います。

初のWii越え、3度目のPS3越え〜前週比はなんと34倍!

まずはポジティブな面から。なんと言っても一番大きな要素は週販でWiiをも上回った、ということでしょう。Wiiが今世代の据置ハードで圧倒的な売上を誇っていることは一般の人々には認知されていること。これを上回ったというニュースは、ゲームに詳しくない人にもインパクトのある内容で、致命的なほどイメージが良くないXbox360知名度アップにつながる可能性があります。

PS3に対しては、今回がエンターブレイン調べでは3度目の週販越えとなります。最初は自分も購入したバリューパック発売のときですね。

Xbox360、バリューパック効果で初の週販PS3越え達成 - わぱのつれづれ日記

この時の販売台数が約1.7万台で、PS3とは僅差。メディアクリエイト調べも上回るも、電撃調べではPS3の方が上と、なかなか微妙な感じでした。そして、2回目は先月のテイルズオブヴェスペリア発売の週ですね。

テイルズオブヴェスペリア初週約10万本、Xbox360本体約2.4万台 - わぱのつれづれ日記

このときは販売台数約2.4万台で、PS3には倍以上の差をつけていた形。ただ、直後にすぐ品切れをおこしてしまっていましたね。今回は約2.8万台、PS3は約8000台ですので約3.5倍と、前回以上の差をつけた形になります。

また、何気にXbox360の週販上昇率もすごいことになっています。先々週は深刻な品切れの影響で843台という3桁の販売台数(メディアクリエイト調べだと1000台越えていましたが)。それに対して先週は28681台ということなので、その比率はなんと約34倍。「値下げにより売上倍増!」とかの売り文句はよく聞きますし、北米ではそれぐらいの差ではあったのですが、日本では奇しくも条件がそろってしまったために、34倍というあり得ないような倍率になっている形ですね。

発売から2年9ヶ月ぐらいで未だ70万台程度と、過去を振り返ってもかなりひどい売上のハードで有りながら、値下げ効果があったとはいえ週販一位になるというのは、PSPがDSを上回った時以上に前代未聞な感じはします。そう言った意味では、非常にポジティブな出来事と言えるでしょう。

品切れ気味でも3万台弱の週販〜問われる供給体制

一方で、ネガティブな視点で見たときです。これは、やはり「3万台弱」という販売台数の絶対値についてですね。この数字自体は、絶対値としてはさほど大きな数字ではないと思います。3万弱で据置ハードの週販トップを取れているというのは、WiiPS3で特に大きく売上を伸ばす要素が無かったという、外的要因も大きいのではないでしょうか?個人的には5万台ぐらいは何とか行くか、と予想していただけに3万台にも届かないというのはちょっと肩すかしを受けたところはあります。

特に気になったのは、あれだけMSKKの泉水氏が「十分な供給体制を取る」と言っていたのに、品切れ気味だったところですね。アーケードやエリートに関しては、9/11の時点でかなりの品薄。特に宣伝で大々的に打ち出していた19800円のアーケードが品切れ気味というのは、買いに来た客にちょっと詐欺臭い印象すら与えてしまったかもしれません。

Xbox 360 (60GB:HDMI端子搭載) 【メーカー生産終了】

Xbox 360 (60GB:HDMI端子搭載) 【メーカー生産終了】

通常版もしばらくは在庫豊富でしたが、今日の時点ではAmazonは品切れ。自分がチェックした大型量販店でも全モデル品切れとなっていました。週の中間の水曜日とはいえ、値下げしてその翌週にこれだけ品切れが目に見える形に現れてしまうというのは、MSの供給体制に問題があると言わざるを得ないと思います。テイルズオブヴェスペリアの時も本体週販は2.4万台ぐらいだった訳で、真面目にXbox360の供給は週間3万台程度が限度なのかもしれませんね。値下げ直後ぐらい、一ヶ月分ぐらい在庫をストックした状態にしていてもおかしくないのに、それが出来ないというのは、MS本社とのやりとりがうまくできていないのか、MSKKが極度に低リスク思考なのか。

また、仮にこの後供給を十分にしたとしても、果たして週販が継続できるかどうか。RPGなどのゲームは初週販売への偏りが大きく、ネタバレなども広く出てくるとそれ以降の伸びは余り大きくはありません。Xbox360はソフトが豊富といわれても、初見の人にパッと見ただけで伝わるほど知名度のあるタイトル、内容が伝わるタイトルはあまり多くないように感じます。こうした状態で今後も継続的に売上を行って行くには、効果的な宣伝を行い知名度アップにつなげる必要があるでしょう。これまでセンスがずれた広告が多かっただけに、こうした面でもMSKKの努力が求められるところのように思われます。

ソフトが売れる下地作りに期待

現状、未だ70万台程度のハードであるXbox360では、ソフトの販売数を伸ばすための母数としての本体販売台数を伸ばすことは急務と思われます。テイルズオブヴェスペリアも出来が良いだけに、本体供給がもう少し多ければもっと売上が伸びたであろう事を思うと、TOVの一ファンとしてちょっと歯がゆさを覚えるところもありますね。

今回、確かに週販Wii越えを果たしたというのは大きな成果ですし、週販1000台前後をさまよい売り場崩壊をしていた時期もあったことを考えれば、今の状況は相対的に見ればめざましい状況と言えるでしょう。ただ、これからXbox360が先に進んでいくためには、過去の自分や、他のライバルとの相対論、比較論だけでは駄目だと思います。まずは絶対的な数字を伸ばすこと、これが今後日本で継続的にソフトビジネスを成り立たせる上での必須要素でしょう。海外が好調で、PS3とのマルチ開発が基本としても、海外視点で作られたゲームは日本人の嗜好に合わないこともありますし、日本市場が狭ければローカライズが軽視される危険もあります。現状ではPS3Xbox360合わせても国内では300万台程度。Wii、DS、PSPPS2という土壌がある以上、本体販売台数が伸びなければ、HDゲームが潤沢に出る環境はなかなか整わないと思われます。

とりあえずは十分な供給体制の確立と、継続的な販促活動を行い、日本でのビジネスを成り立たせるよう、頑張って欲しいところですね。まずは9月の月間販売台数をどこまで伸ばすことができるかに注目してみたいと思います。