「FFXIII Xbox360版」が日本国内で発売されない理由

昨晩、ゲーム好きの間では大きな衝撃を持って受け取られた、FFXIIIXbox360版欧米発売。北米で成功を収めているXbox360だけに投資家にも好印象を与えたようで、日経平均が-255円と落ち込む中、スクエニは+160円と反発する結果となっています。

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ただ、あくまで今回の発表は欧米での発売。日本での発売については、昨日のエントリでは「日本語ローカライズコストが少ない」、「海外向けに多言語対応」という2点から、可能性があるのでは無いかと述べた訳ですが、本日出てきたスクエニからのQ&Aでは、日本でのXbox360版の発売は否定されています。

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この手の話は、会社としてプレスリリースするまでは完全否定ということも多いため、「そうは言っても…」という見方をする人も多くいるようですが、本エントリではともかくこの発言が正確なものであると想定して、「FFXIII Xbox360版の日本発売無し」となる理由をいくつか推測してみたいと思います。

PS3独占タイトルとして開発が進められていた事

まず大きな理由としては、「PS3独占タイトルとして開発されていたこと」が上げられるでしょう。この点が、Xbox360の開発環境で作っていたTOVなどと違うところかと。現状の海外版のFFXIIIは「Crystal Tools」というマルチプラットホーム対応のエンジンで作られていますが、そもそもPS3版として開発していたのであれば、やはりPS3版の環境が進んでいることは十分にあり得ます。

いくらエンジンでマルチプラットホーム対応したからとは言え、メディアの形式も違えば、HDDの状況も違います。グラフィックなどの細かい違いもありますから、このあたりの調整はなんだかんだ言って時間がかかって当然でしょう。特にこの手の開発で時間がかかると思われるのは「動作検証」。スクエニの今回のインタビューの中でも「BDに焼いて動かし始めたところ」といったコメントがありますが、こうした実機での細かな動作検証が、実際の製品開発では非常に多数の工数を占めると想定されます。ただでさえ開発に長期間かかってしまっているタイトルだけに、少しでも開発スピードを速くする意味でも、開発が進んでいるPS3に注力するというのは、理にかなった判断だと思われます。

カプコンはDMC4で当初PS3独占であったのを取りやめ、Xbox360と同発にしたりしましたが、あれはカプコンが早めにマルチプラットホーム戦略を取っていた産物でしょう。スタートが遅れていたスクエニとしては、Xbox360対応に時間がかかってもおかしくありません。

Xbox360の国内普及台数が少ないこと

次は、やはり「国内でのXbox360普及台数が少ない」ことではないでしょうか。確かにソフトはそろってきていますが、それでもまだ本体普及台数は63万台程度。苦戦しているPS3に対してもすでに4倍近い差をつけられている訳です。

上記のように、Xbox360対応のインターナショナル版開発に半年ほどかかったとして、その時点で日本でPS3より後発でどの程度売れるか、という判断になるのではないでしょうか?日本語ローカライズコストが少なく、実質的にペイラインは非常に低いとは思うのですが、FFXIIIという対策であっても、PS3の後発では10万本未満の売上となる可能性もあります。黒にはなると思いますが、海外での売上に比べればその割合は小さいと思われます。

これまで、日本では「PS3独占」と繰り返してきた手前、この程度の稼ぎであれば日本ではPS3ユーザーに報いる意味で「インターナショナル版であってもXbox360版発売は無し」という判断がされても、不思議ではありません。

SCEが「国内PS3独占」という契約を持っている可能性

その他の可能性としては、なんだかんだ言ってもPS3最大キラーソフトと呼ばれていたタイトルだけに、SCEが「国内独占契約」を結んでいる、ということもありうるでしょう。特に、日本ではSCEの枠でFFXIIIをCMに使っていたぐらいですからね。何らかの契約で縛りを入れていたとしても不思議ではありません。あとは、開発補助とかでしょうか。

現状は、SCE平井氏も「独占は難しい」と発言したり、ソニー本体もノンゲームを推進したりとゲーム部分でガツガツ囲い込む気配は見えないですが、PS3ロンチ前ぐらいの戦略が未だ有効になっているところも、無くは無いかと思われます。

次なる情報は「DKΣ3713」で公開か

とりあえず、現状スクエニが発している情報は、FFXIIIXbox360版国内発売は無し、というものです。ただ、一方でこれまでの他社前例があるだけに、Xbox360版国内発売の完全には払拭できないところもあるでしょう。TOVも、海外で発表した際には日本の展開は未定とされ、その後の国内イベントで正式に国内発売がアナウンスされた例もあります。

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こうした例を見ると、FFXIIIについては8/2,3に行われる招待型イベント「DKΣ3713」に合わせて何か発表される可能性があるかもしれませんね。

DKΣ3713

上記イベントは、当初ファミ通が「XB 360」というアイコンを誌面でつけてしまい、本誌発売前の水曜日にお詫び記事を出したという曰く付きのイベントでもあります。

お詫びと訂正 - ファミ通.com

上記文章の中で「Xbox 360用ソフトの出展予定はありません」とファミ通スクエニに代わって断言していることから、このイベントで改めて国内PS3独占の発表があるかもしれませんね。

ともかく、海外で起きた出来事は一つの事実として受け止め、国内は国内で今後のスクエニの発表を見守っていくことにしたいと思います。