Wiiで「零」シリーズ最新作が登場〜テクモと任天堂の共同プロジェクト

好調な売れ行きの続くWii。ただ一方で任天堂のソフトの強さが目立ち、「サードのソフトがあまり売れていない」という批難を受けることもよくあります。

これは、特にPS中心にゲームをしており、これまで任天堂ゲームがそもそも購入対象になっていなかった人が結構いることも影響しているんじゃないでしょうか。任天堂は最強のソフトメーカーでありながら、ファーストメーカーでもあるためソフトを提供できるハードが限定されています。このため、PS2全盛の時代にはせっかく任天堂が質の高いソフトを提供していたとしても、多くの消費者にとってそもそも選択肢になかったわけですから。実際、自分も任天堂はしばらくずっと眼中に無かったですしね。そうした人から見れば、任天堂ハードはいくら売れていようが現状では「自分の欲しいソフトが出てこない」という印象を持ったとしても不思議ではないと思います。(食わず嫌いだという批難はあるでしょうが、そこまで能動的なゲーマーはそこまで多くないでしょうしね。)

PS2時代は、サードもそうやってある意味任天堂ソフトを自分たちのゲーム市場から閉め出すことが出来ていたわけですが、任天堂がゲームハードで圧倒的なシェアを占めるようになってきた昨今、サードとしても任天堂に対してちゃんと競合相手として立ち向かう必要が出てきました。(まあ、未だに「任天堂が強すぎる」と愚痴をこぼすサード開発者もぽつぽついますけどね。)

さて、そんなサードの任天堂ハードでの取り組みに置いて、現在までいろいろなアプローチがなされています。懐古ユーザーを意識してドラクエ・FFのリメイクを効果的に行い成功しているスクエニWiiのインタフェースに積極的に自社ゲームを対応させているカプコンといった例もあれば、PS2とのマルチでとりあえず対応ソフトを出しているところもあったりと様々。

そんな中、また一つ新しいサードの任天堂ハードとの取り組みを見せるところが出てきました。それはテクモです。

PSで展開していた零シリーズ最新作を任天堂と共同で

今回発表されたのは、これまでPSハードで展開されてきたホラーゲーム「零」シリーズの最新作「零 〜月蝕の仮面〜」。

「テクモ プレスカンファレンス 2008 Winter」開催。任天堂と共同でWii「零 〜月蝕の仮面〜」を今夏発売

この作品の発表で注目なのは、これがテクモ単独の販売ではなく、任天堂との共同プロジェクトだということ。これまで任天堂がサードをいわばセカンド的な関係で共同し、ゲームを作ってきた例はそれなりにあるかとおもいます(GCアーケード版マリオカートGCスターフォックスアサルトDS眼力トレーニングバンナム開発etc.)。ただ、サードのある意味定番タイトルに対して任天堂が共同で加わっているというのはちょっと珍しい例な感じもしますね。最近だとフォーエバーブルーが近いと言えば近いでしょうか(アリカ開発、「エバーブルー」シリーズの派生)?

任天堂でサードが弱いという問題については、決算報告などの場でも度々やり玉にあげられており、岩田社長からもそれについては積極的に取り組みを行っているという回答がされていました。任天堂の方からゲームデザインを紹介したり、といった内容でしたね。

今回の例では、販売面での協力だけでなく、開発面でも協力を行うとのこと。また、先日Wiiで発売されたノーモアヒーローズの開発を担当したグラスホッパーも関わっているようです。こうした、トータルな形でのサードとの協力体制というものが、今後もいろいろと見えてくるのかもしれませんね。

任天堂がからむことの効果は?

今回、任天堂がサードと連携した開発を行う例が出てきたわけですが、これが実際にゲームや販売にどの程度影響するかが興味があるところですね。任天堂系を毛嫌いする人などでは「ライト向けにぬるくなるんじゃ」といった懸念を持たれるかもしれません。また、そもそも任天堂が絡んでいること自体で異質なものが入ってきたような感覚を持つ方もいるのかもしれません。

とはいえ、任天堂ソフトのゲームクオリティの高さはこれまでいろいろなケースで評価されており、そうしたゲームクオリティがサードソフトに反映されるのは、好結果を生むこともあるでしょう。また、新規に任天堂ハードからゲームに入ってきたユーザーからしてみれば「安心の任天堂ブランド」というものがあるかもしれません。そうした意味でのプラス方向での効果も大きいのではないでしょうか。

最近の任天堂は自社で弱いゲームジャンルについて、積極的に他社と組む姿勢を見せています。今後も今回のテクモのような例は出てくるのではないでしょうか。未だ根強くある「任天堂嫌い」を、こうした取り組みでどの程度払拭できるのか、その効果に注目したいと思います。