新型PSP 国内累計売上台数100万台突破

ニンテンドーDSの圧倒的な勢いに隠れがちですが、MH2P以降好調を維持しているPSP。新型PSPも発売週に25万台を販売するなど、非常に好調な売れ行きを見せています。

新型PSP 単体発売初週25万台を達成 - わぱのつれづれ日記

そんな新型PSPですが、本日SCEより以下のようなプレスリリースが行われました。

PlayStation.com(Japan) | お知らせ | 新型PSP®「プレイステーション・ポータブル」9月20日の国内発売から2ヶ月で売上台数100万台達成

新型PSP売上台数が100万台を突破し、これは初代PSPよりも2週早いとのこと。年末年始の発売でもなく、DSに対する敗北が決定的になった状態でこの成果というのは、純粋に評価できるものだと言えるでしょう。

実質「出荷台数」と同意な「売上台数

ちなみに、この「売上台数」という指標。SCEは昔から「生産出荷台数」という、一見出荷台数に聞こえながら実際は生産台数に過ぎないという非常に分かりづらい指標を使っていましたが、PSPPS3の過剰在庫でさすがに無理が出てきたため前回の中間決算から生産出荷での発表はとりやめ、代わりに使い始めたのがこの「売上台数」となります。

ついに「生産出荷台数」発表をやめたソニー - わぱのつれづれ日記

上記でも述べているように、このSCEの使う「売上台数」とは世間的に使われる「出荷台数」と一緒のもので、メーカーから問屋や小売りに販売した台数のこと。つまり、具体的にメーカー側の売上となっているから、売上台数と表現しているわけですね。ちなみに任天堂のプレスリリースなんかだと、「販売台数」と表現しています。これらは「セルイン」と呼ばれるもので、消費者が購入した台数は「セルスルー」と呼ばれるようで、このあたりは上記の自分のエントリで解説しているので、興味ある方はご覧ください。

ちなみに、一部ネットで騒がれている「日本の出荷数量はアジアを含む」という表現についてですが、現状ネットで確認できるのは昔使っていた「累計生産出荷台数」についてのみのようです。

ハードウェア累計生産出荷台数 | 会社情報 | ソニー・コンピュータエンタテインメント

前回発表した売上台数では国別の台数が公表されてなかったので、現状「日本の売上台数」として「アジアを含む」とした発表はまだなかったと思います。今回の「新型PSP売上台数100万台」という発表も、一応プレスリリースの中で「国内累計売上台数」という言葉を使っていますので、アジア分は含まないのでしょう。もし含めていたらさすがに法律的にやばそうですからね。(なお、香港、台湾、韓国でも新型PSPは2007年9月より発売されているようです。)

ビジネス経緯(アジア) | 会社情報 | ソニー・コンピュータエンタテインメント

携帯ゲーム機の時代 〜 PSPSCEを支えられるか

今回の新型PSPの好調の報告、それに対して据置ゲーム機Wiiも含めて低調な様子を見ると、完全に日本のゲーム市場は携帯ゲーム機に移ってしまった感がありますね。たしかに、DSやPSPの手軽さは魅力ですし、PSPはグラフィックもそれなりに綺麗なので、そちらにこだわるユーザーも取り込めている印象があります。据置ゲーム機だとどうしてもTVのある部屋でしかやれませんし、家族がいたりするとやりづらいでしょうからね。独身男性などであっても、仕事や他の遊びで忙しくてなかなか家でじっくりTVの前でゲームというのは減ってきているように思います。家に帰ったら帰ったで、ネットとか他の娯楽もありますからね。

「消費者の時間を奪いとること」というのが、娯楽業全般に共通するテーマでしょう。携帯ゲーム機がこれだけ普及してしまうと、据置ゲーム機はなかなか厳しい印象。開発コストも大きく、数が出ないと成り立たないビジネスモデルだけに、「主役でない」展開は相当無理がありそうです。

任天堂の場合、Wiiは本体コストも安いですし、DSという大きな柱もあるだけに、最悪現状のパーティゲーム+αという路線だけになってもしばらく生き残って行けそうですが、PS3に多額の投資をして回収が義務づけられているSCEの場合は、PS3の売上拡大が必須。PSPが好調なのはいいのですが、PSPだけでSCEを支えきれるほどのパワーがあるかというとそれも難しい印象です。SCEを支える「PSゲーマー層」は、無双5やウイイレ2008の売れ行きを見ても、安定して続編を購入してくれる(SCEにとっての)優良顧客ではあるのですが、それでも金と時間には限りがありますからね。むしろ、「PSゲーマー層」の空き時間をPSPが奪ってしまうと、PS3のゲームが売れないという悪循環も生まれかねません。

PS3ゲームをPSPでリモートプレイしたり、映像をPSPで見たりするなど、連携効果も狙っているのは分かるのですが、「据置<携帯」の状態での連携に対する失敗例として任天堂がやった「GCGBAの連携」というものもありますしね。そこまで大きな牽引効果は生まれないように思います。経営的に現状ソニー本体の脚を引っ張る形になっているSCE。その中では一番の好材料であるPSPの好調をいかに全体としてプラスとなる方向に持って行くか。平井社長をはじめとする経営陣の手腕が問われるところです。