「Xbox360週販PS3越え」報道あれこれ

11/1に5000円値下げ+ソフト2本付き+Falconで発売されたXbox360バリューパック。非常に好調な売れ行きを示しており週販が注目されましたが、僅差ながらPS3を上回ったことは先日お伝えしたとおりです。

Xbox360、バリューパック効果で初の週販PS3越え達成 - わぱのつれづれ日記

上記ニュースはファミ通ソースの速報ベースでのものでしたが、上記エントリに追記しておきましたがメディアクリエイト集計でもわずか239台差という誤差レベルの台数で上回っており、日本で有名な民間調査機関の双方で週販PS3越えが達成されたわけです。

マスコミのニュース記事にも取り上げられた「週販PS3越え」

このニュース、11/11に新型PS3も控えていることから明らかに瞬間最大風速的なものですが、自分を含めたゲーム系ブログとしてはネタとしてはインパクトあったため話題に取り上げていました。ところが、思ったよりもこのネタは一般マスコミの関心も惹いたらしく、いくつかの機関がニュースとして取り上げているようです。以下、自分が見たニュースをざっと紹介してみます。

時事ドットコム:週間販売、XboxがPS3抜く=発売以来初めて−民間調査会社
Xbox360:週間販売数、値下げ効果でPS3を上回る エンターブレイン調べ - 毎日jp(毎日新聞)
Xbox 360が反撃開始--PS3を追い越し据え置き型ゲーム機の週間売り上げ2位に:ニュース - CNET Japan

一般マスコミといっても、比較的日頃からゲーム関連を取り上げているところばかりではありますね。ちなみに、毎日新聞エンターブレインソース、CNETと時事通信メディアクリエイトソースとなっています。

毎日新聞の方はゲーム系担当の河村成浩氏が執筆しているだけに、一応の解説も加わっていますね。何気にエンターブレインソースの詳細な数字も紹介されています。

エンターブレインによると、ここ半年間の週間推定販売数はPS3が8000台〜3万8000台、Xbox360は2000台〜5000台で推移した。しかし、10月29日〜11月4日の販売数はPS3の1万6130台に対し、Xbox360は1万6622台まで伸ばし、逆転した。PS3は11日に従来機より1万円以上安い新モデル(3万9980円)の投入を控えているが、従来機の販売は週1万台以上のペースを維持。しかし、ひと足先に5000円の値下げを実施したXbox360が利を得た。

結局、エンターブレインソースでは492台差。こっちも誤差レベルな感じはしますね。ただ、これら集計にはAmazonは入っていないらしく、ニコニコ動画だけで150台ぐらいバリューパックが売れていたのを見ると、結構な数がAmazonで売れていそうな感じはします。ですので、そっちを入れるともう少しトータルでは差が付いてそうな気はしますけどね。

Yahooトップページにも「Xbox週間販売 初めてPS3抜く」の文字が

そして上記の記事の内、時事通信の記事はYahooニュースでもピックアップされています。

週間販売、XboxがPS3抜く=発売以来初めて―民間調査会社(時事通信) - Yahoo!ニュース

このニュースは、さらにごく短期間ではありましたが、Yahooのトップページにも「Xbox週間販売 初めてPS3抜く」という見出しで掲載されていました。

【魚拓】Yahoo! JAPAN

上記のYahooのニュース記事では、コメントなども投稿できるようになっています。

週間販売、XboxがPS3抜く=発売以来初めて―民間調査会社(時事通信)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース

さすがにコメント内容でXbox360に好意的なものはあまりないですね。Yahooニュースだと、とくにゲームに対してそこまで強い関心のある人ばかりが見に来る訳ではないでしょうから、これまで各社が積み上げてきた「イメージ」というものが大きく影響しているのでしょう。ようするに、Xbox360の一般向け印象は悪い or 無いということなんでしょうね。

Xbox360的にはいい宣伝効果

上記のように、Xbox360は正直ゲームマニアには知られていますが、一般人や超ライトゲーマーでは存在すら知らないことも想定されるハード。そもそも印象が薄い、あっても故障のイメージばかりというのは、Xbox360としてはなかなか深刻な問題ではあると思います。

いくらゲームが面白い、オンライン部分が優れていると主張しても、実際にかってやってみないことには分からないところです。自分も、やってみてその面白さを感じているところですから。やった人が熱心に人に勧めても、共感できないことには単にうざいだけですからね。自分はネットので好評に惹かれて購入した口ですが、一般層まで含めると、口コミだけではなかなか大きな広がりは生まれてこないように思います。

それだけに今回の「PS3を抜く」という一般人でも分かりやすい言葉と共に紹介されたのは、MSにとってはいい宣伝効果になった感じですね。ごくわずかの差、瞬間最大風速に過ぎなくても、「PS3Xboxが週販で抜いた」というその一点だけで、他のどんなアピールよりも一般人の関心は惹ける気がします。

PS3は「Wiiを週販で抜く」ことで吹き飛ばし狙い

一方、これまで常に7〜10倍の差をつけてきたXbox360に、一瞬とはいえ抜かれてしまったPS3毎日新聞の河村氏は「ひと足先に5000円の値下げを実施したXbox360が利を得た」とか言ってますけど、実際には先に値下げをしたのはPS3。10/17から従来PS3も5000円値下げしており、それ以降週販は約12000台→17000台へと増加しているわけです。むしろ、Xbox360バリューパックの値下げの方が、この10/17のPS3値下げをうけて電撃的に決定した感はありますしね。小売りへの受注は39795円で行っていたぐらいですから。「5000円の値下げ」という点だけを見れば、PS3が先行、Xbox360が追従した感じです。

Xbox360バリューパック 11/1発売!!〜ソフト2本付きで約5000円値下げ - わぱのつれづれ日記

とはいえ、売上が増加しているPS3も、それでもまだ新型PS3に向けて買い控えている層は大勢いることでしょう。PS3腎炎からしてみれば、幸いWiiマリギャラ発売でも本体売上を伸ばせず約4万台程度で落ち着いている状態。新型PS3を5万台ほど売れれば、念願の週販Wii越えを達成できます。今回の「週販でXbox360に抜かれる」という不名誉な報道は、「週販でWii抜き」という報道で即時上書きするのが、一番の対策になりそうな感じです。

懸念点としては、やはりPS2互換性がないこと、そちらを希望している消費者が10/17以降値下げされた従来PS3を買ってしまっていないか、ということでしょうか?あと、11/11の集計では週販集計では11/4〜11の期間に入ってしまいます。一方、その次の週になるとWiiにもバイオハザード・アンブレラクロニクルという本体牽引可能性のあるタイトルも出てきます。単に売上だけ見たらSCE的にはちょうど一周年の11/11から新型というのが美しいのですが、この週販ランキング、報道といった観点だけで見てしまうとマイナスかもしれませんね。

マイクロソフトにはもっと「空気を読んだ」戦略を

以上、「Xbox360週販PS3越え」報道について見てきましたが、個人的には今回の報道はマイクロソフトが頑張った結果、という感じはしません。というのも、ネットで大きく盛り上がり、店舗でもかなりの売れ行きを見せているのにもかかわらず、かなりの品切れを生んでしまったんですよね。バリューパックについては、受注が集まらない&MSの出荷数不足などを懸念していたのですが、具体的な出荷数は、以下の電撃オンラインの週間ランキング記事の記述から推測できます。

ハード市場では本作の発売に合わせてスタンダードモデルに2本のソフトが同梱された“バリューパック”(\34,800)が発売されましたが、今週の販売実績は前週比7.2倍増の1.7万台(内、バリューパック比率…60%前後)と今年度最高の販売実績をマーク
電撃オンライン:週間ソフト売り上げランキング

17000台で60%がバリューパック、そしてほとんどが品切れだったという状況から、ようするにバリューパックの出荷は1万台だったということです。エリートですら初回出荷5000台で各所で品切れ、ネットオークションで高騰という事態を招いたにもかかわらず、今年最大の攻め場所であるバリューパックを、11/1の週に1万台しか出荷できなかったのは、マイクロソフトも痛恨のミスと言えるでしょう。

もちろん、ショップ側でのXbox360への信頼度はこれまでの爆死でがた落ちで、受注自体が少なかったのはあるでしょう。それでもファミ通などでもよく取り上げられるゲームショップ・マーヤの店長のブログでXbox360の売れ行きに好意的な印象を持ち、「本体の欠品が痛い」というコメントが書かれていたりします。ショップだって、売れるのなら仕入れたいと思うのは当然なんですよね。

**店長からのメッセージ** 疲れました〜〜〜!

マイクロソフトとしては、いつ追加受注が来てもすぐに出荷できる体勢を取っておくべきだったのではないでしょうか?どうせ11/11に新型PS3が出たら当分PS3に話題を奪われてしまうのは目に見えているのですから、それまでにたくさん売らなければいけないのは明白だった訳ですから。バリューパック自体のCMも無かったですし、マイクロソフト日本法人(通称:MSKK)がよくXbox360ユーザーから批判されているのもよく分かる気がしますね。

Xbox360のショップでの存在感の無さは、自分もバリューパック関連の店頭状況を見るため近所のゲームショップ、量販店をまわって痛感しています。このあたりの問題については、以下のAll Aboutの記事が実によく指摘しているように思います。

360の弱点 自販機に並ばない缶ジュース - [ゲーム業界ニュース]All About

とにかく、ゲームも綺麗で面白く、オンライン要素も自然に組み込まれており、ソフトラインナップも充実してきてゲーマー向けには魅力が増してきているXbox360ですので、それを少しでも引き上げ、多くの人に伝える広報・拡販戦略をマイクロソフトにはお願いしたいものですね。マイクロソフト的には、一番市場のでかい北米で好調、次にでかい欧州でPS3と接戦中なだけに、欧州に力を注ぎたいのも分かりますが、やはり我々は日本人ですからね。日本でもさらにソフトが売れ、サードが損失を怖がらずソフトを投入できる&積極的にローカライズする土台を作って欲しいものです。