ゲーム事業明暗分かれる〜任天堂・MS・ソニー中間決算

ゲーム業界でしのぎを削る任天堂ソニー、そしてマイクロソフト。その各社の中間決算報告がされましたが、明暗が大きく分かれたようですね。以下、ITmediaNewsのニュース記事を用いて簡単に紹介してみたいと思います。

好調を継続する任天堂

まずは任天堂から。

任天堂、さらに上方修正 「DSテレビ」は11月発売 - ITmedia News

これはDSとWiiと両方の市場で優位に展開していることから非常に好調を維持していますね。日本市場ではかなり品薄も解消されて一部だぶつきなども見られているようですが、その分海外でDSもWiiも好調な伸びを見せているようです。市場規模としては海外市場の方が遙かに大きいわけで、こうした海外での伸びは任天堂にとっても非常に望ましい結果でしょうね。

逆ざや解消に苦労するソニー

一方、ソニーの方ですが、エレクトロニクスは好調なものの、ゲーム事業はかなり苦戦しているようです。

PS3苦戦 「ゲームメーカーの開発サポート改善する」とソニー - ITmedia News

売上自体はPS3が加わっている分、増加しているようですが、本体の逆ざや(赤字)構造が解消し切れておらず、その分の負担が相当大きく乗っかっているようです(大根田CFOのコメントによれば「(コストダウンしきれていない)繋ぎのモデル」を展開している状態とのこと)。値下げ以降欧州では好調に売れているとして年間1100万台の販売目標は変えていないようですが、この半年で202万台しか販売できていないため、ホリデー需要を入れても目標達成は結構厳しい感じですね。

HALO3効果で好調なMSのゲーム事業

そして、最後はマイクロソフト。国内では壮絶爆死状態を続けるXbox360ですが、海外ではWiiと競り合う形で好調を維持し、
6〜9月の売上はかなり好調だった模様です。

MS、Vista好調で増収増益――売り上げの伸びは1999年以来最高 - ITmedia News

上記の記事によれば、エンターテインメント&デバイス部門は前年同期比91%増の売上高を記録。1億6500万ドルの営業利益を計上したとのこと。特に、MS内製キラーソフト「HALO3」を発売し、爆発的ヒットとなったことが大きいようですね。

「Halo 3」、1週間で売り上げ3億ドルを突破 - ITmedia News

Xbox360自体も当初は結構な高コストだと言われ、PS3の発売予定を信じて焦った設計をした結果、不具合対策で10億ドル以上を費やす羽目になっており、正直HALO3の売上だけでは全然カバーできてはいないと思われます。

Xbox360に史上最大規模の不具合 〜 問われるMSの品質軽視 - わぱのつれづれ日記

ただ、市場として大きな割合を占める北米において、ソフトウェアランキングでいつも上位のXbox360ソフトが維持しているのは、ライセンス収入の面で良好な状態を築けている感じです。こうした状態を継続できれば、ソフトでの収入で赤字分を取り戻すという、従来のコンシューマーゲームビジネスモデルにうまく乗っていけるかもしれません。

今後も続く激しいレース

以上、簡単に触れましたが、まだ次世代機がそろって1年、あと数年は激しい争いが続くことでしょう。現状は値下げすることなく市場一位に躍り出ている任天堂が優位なことは間違いありません。ただ、任天堂の路線とHDゲーム路線は結構傾向が違いますし、HDゲーム路線も今後HDTVの伸びにあわせて伸びてくるでしょう。そうなると、HDゲーム路線でMSとソニーがガチな戦いになる形です。そのときに、どちらが勝利するのか、そしてHDゲーム戦線にまだ参入していない任天堂が陳腐化しないか、そのあたりがポイントになってくるでしょうね。ライト、コア、様々なゲーマー層を、各社どのように広げ、囲い込んでいけるか。これによって、世界のゲーマー種類の分布も変わってくるかもしれませんね。