SCEAトレットン氏「PS3からPS2互換機能を取ったのはもっとPS3ソフトを買ってもらうため」
11/11から4万円を切る価格で売り出される新型PS2。HDDは40GBで無線LAN付きと、最低価格でありながら現行20GB版を凌駕するスペックを持っていますが、一方でPS2互換性が完全に削除されたことがいろいろ賛否両論を呼んでいます。
PS2互換機能削減については、自分も以下のエントリでいろいろと考察しています。
欧州でPS2互換機能なし廉価版PS3発売 〜 HDD40GBで399ユーロ - わぱのつれづれ日記
現状のPS3の仕様であるBD・Cell・HDDという要素を崩さず値下げする要素として、PS2互換性の低下は理にかなっていると自分は一定の評価をしていたつもりなのですが、問題発言が多いことで知られるSCEAのCEO:ジャックトレットン氏がまたおかしな発言をして、いろいろと反発を受けているようです。この件に関しては、GameSpot Japanの方で翻訳記事が出ているので、そちらを紹介したいと思います。
Tretton氏は同紙に対し、PS2との互換機能をPS3から取りのぞいても、製造コストは大きくは変わらないと話した。しかし、PS2のゲームをプレイするという選択肢をなくすことで、顧客がより多くの時間とお金をPS3に費やしてくれることを期待しているという。同氏はまた、ソニー独自の調査によれば顧客は既にPS2を所有している場合が多く、この機能がなくともそんなに残念には思わないだろうと付け加えた。
ようするに、「PS2互換がついてるとPS3ソフトが売れないから外した」という言い分です。コストではなく、PS3ソフト売上を伸ばすためだと。これでは、まるでPS2互換性が脚を引っ張っているような印象すら受けます。
これについては、PS3擬人化で有名なIKaのマホ釣りNo.1さんの「すりーさん」シリーズにおける以下の4コマを見ると、よりせつなさがこみ上げてくるかと。
問題発言の多いSCEAトレットン氏
元SCEAトップだった平井氏は、SCEJの社長となって、非常にまともな発言をされるようになりました。久夛良木氏よりもよっぽど角の立たない、ゲーム重視の発言をしていますしね。それに対して、このトレットン氏は過去にもいろいろ問題発言をしています。これについては業界No.1のトレットンウォッチャーであるengadgetさんの記事を紹介しておきます。
ソニー:「PS3の在庫を見つけたら1200ドル進呈」 - Engadget Japanese
ソニーのトレットンさん:PS3の「品薄」は5月までに解消 - Engadget Japanese
ソニー「任天堂はユーザを失っている。ゲーム人口を拡大するのはPSP」 - Engadget Japanese
トレットン氏は平井氏に変わってSCEのCEOになったわけですが、今回の発言を見る限り、その強気な発言っぷりはなかなか変わらないようですね。
過激な発言はビジョンを明確に示すため?
こうした、経営者のトップの過激な発言というのは、度々みかけるものです。相手を挑発する、勝利宣言するなどなど、端から見ると滑稽だったり、カチンと来たりすることもありますよね。これはSCEだけに限らず、MSや任天堂なども過去にはあったことです。
ただ、そうした発言にも意味はある、と考察しているコラムがありましたので紹介してみたいと思います。
「豪語する人々〜その訳は〜」Part1
「豪語する人々〜その訳は〜」Part2
こちらの考察によれば、以下のような結論になっています。
彼らはトップの役割を忠実に果たしていただけなのだ。何も好き好んで自らの反感を買うような発言をしているわけではない。自らの繁栄を予測しなければならない立場にあるトップとして、わかりやすい言葉で自分の『予想した未来』を伝えようとしただけなのだ。結果として、それが大言を吐いていると捉えられているだけなのである。大口は「トップの役目のひとつ」なのだ。
これは確かに一理あるようには思いますね。ただ単にその場その場を取り繕うような、並平凡なコメントだけを経営者がしていては、その企業の方向性は見えてきません。経営者の持つ理念、信念を分かりやすい形で断言していくのは、経営者としては重要なことなのでしょう。
消費者の反響も意識したビジョンの提示を
とはいっても、消費者から発言に対して強い反発を食らってしまうようでは、こうした過激な発言はマイナス要素も大きいように思います。以下のkotakuの記事では今回のトレットン氏の発言に対する反論・嫌悪が入り乱れてますしね。
Spin: Jack Tretton Says Dropping BC Wasn't For Cost Measures
たしかに、PS3にとってはソフト売上を伸ばすことは至上命題であり、そのための方策を打っているのだとする自負は分からなくも無いのですが、そうした発言を聞いた消費者がどういった感情を持つのか、そうしたところもある程度意識した方がいいように思いますね。大幅値下げをして勝負をかけ、社員も広報など一丸となって頑張っているのでしょうから、その足を引っ張らないようなビジョンの提示方法を心がけて頂きたいものです。